怖い話のウラ話・第15話「百物語のこと」
よくある百物語をしたと言う実話だと称する体験談。百人が各々ローソクを持ち寄って一話ごとに吹き消すそうですが、ちょっとおかしくありませんか?
たとえば、あなたが百物語に参加したとします。真夏の夜のことです。少し暗くなった頃ですので、だいたい夜の七時半くらいでしょか?
まず、最初のひとりが恐怖体験を語り出します。次の人が、更に怖い話を語ります。そうやって何人か語り終わるたびに、ローソクを吹き消すのですが、時計を見てください。まだ数人しか話してないにも関わらず、かなりの時間が経ってませんか? このまま語り続けたら、百人すべてが終わる前に朝が来てしまいます。
たとえば、一時間に十人が体験談を話したとして、全部で十時間もかかります。十人なら、ひとりの持ち時間はたった六分しかありません。挨拶して入れ変わっている内に、六分なんてすぐに過ぎてしまいます。しかも、真夏の夜が短い時期に、百人目が終わる前には朝日が登っています。
ものすごーく短い話をするならありえるかも知れません。持ち時間は三分以内です。しかし、そんなの怖いかなぁ? 忙しすぎて怖がっている暇などないかも知れません。
下手をすると、
「どこそこで幽霊を見たんやけど」
くらいの簡単な話になるかも……。
体験談を怖そうに語るなら、もう少し時間が必要だと思います。聞いている方も、
「あっ、そうなの」
くらいの感想しか持てませんし、怖いなら怖いなりの語り方もあると思います。
いくつかの実話の心霊体験を語る番組で、ナレーターが、
「百人もの人が集まって、百物語をやったところ……」
と、ハッキリ言ってました。
「夕暮れから話しはじめても計算が合わないだろう?」
と、ふと思う。
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