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将棋沼はじめました:知らないことだらけの世界を紐解く面白さ
将棋との出会いは棋聖戦
ある日、Facebookで珍しく将棋の話題が流れてきた。藤井七段がタイトルを狙って試合をしていて、それが今AbemaTVで中継されているらしい。
仕事終わりの夕方。AbemaTVをほとんど見たことがなかったけれど、ちょっと気になってアプリをインストールして番組を見てみた。
ちなみに将棋については、羽生さんと藤井聡太がすごい、という程度の知識しかない。
Abemaの将棋専門チャンネル。藤井聡太とおじさん(のちの推しの渡辺明三冠(当時)(36)である)が戦っている。対局の様子が解説されているが、さっぱり戦況がわからない。どっちが藤井聡太の陣地なのかもよくわからない。画面の上に勝つ確率がAIで計算されていて、一手ごとに変わっている。数字を見て、藤井さんが負けそうなことだけは分かった。
コメント欄でも、次の手の予想や雑談が繰り広げられている。アベマのコメントは、ニコ動のコメントよりもかなりまったりしていて、お茶の間の家族の会話のような自由なテンションなので、自分もコメントを入れても良いような気がして入れてみたりした。
この日は渡辺明さんが勝った。危なげない感じの勝利だったので「ああ、渡辺明さんって三冠なだけあってすごい強い人なんだなあ」と思っていたら、その前に藤井聡太に2敗していたらしい。ようやくの1勝だったのか。(この日は棋聖戦3戦目。)
感想戦というPDCAサイクル
試合が終わったあと、記者質問を終えて二人とも会場を去るかと思いきや、二人で駒を動かしながら話し始めた。「感想戦」と呼ばれるものである。
え、振り返りをするの?振り返りMTGですか?途中の思考とか手の内を明かしたりしちゃうんですか?これって最高のPDCAサイクルではないですか。目から鱗すぎて、世の中の全ての対戦で「感想戦」やったらいいんじゃないかと思った。
しかも、感想戦の一番すごいのは、棋士が全ての動きを覚えているということ。最初から全ての手を覚えているらしく、目にも止まらぬ速さの連携プレーで手を動かしていく。本当に速い。シュシュシュっと動かして、お互い重要な手が分かっていて、そこで自然と止まる。
ちなみに、感想戦の藤井聡太の声が全然聞こえない。何話してるか聞き取れない。一方で渡辺明さんの声はよく通る。コメント欄でもそういうことが呟かれていて、ああみんな思ってること同じなんだなと思った。そして、飄々とした雰囲気の渡辺明さんに好印象を持った。ブログを見に行った。
翌日、渡辺さんは負けて藤井棋聖が誕生した。棋士には師匠がいるものらしく、人のよさそうな藤井棋聖の師匠杉本八段が記者会見に同席していて嬉しそうでほっこりした。藤井さんは相変わらず喋るの苦手そうだった。
WikipediaやAbemaの解説によると、藤井さんはAIを使って研究しているそうで、普通の人が想像できない手を選んでくることが多いらしい。なんだか時代を感じる。
将棋をやってみる
さて、中継を見ていても、専門用語や棋譜が読めないと楽しめないということが何となく分かってきたので初心者向けの将棋アプリを入れてみた。
「ぴよ将棋」というなんとも初心者向けっぽい名前のアプリと、もう一つ詰将棋などができる「将皇入門編」というのを入れた。
将棋は小学生のときに兄に倣ってやっていたことがあり、駒ごとの動き方なども大体知っていたが、細かいところは忘れていた。基本の動きを覚えながら、10手落ちから開始した。ぴよ将棋は相手のコンピュータの強さを選べ、初心者の「ひよこ」から、最高レベルの「ピヨ帝」まで幅広くいるので多分一生楽しめる。
現在のレベルは、ピヨ帝に10手落ちでギリギリ勝てて、平手の試合ではLv1ひよこに穴熊でのみ勝てる状態。道のりは本当に長い。
しかし自分でやるようになったお陰で、中継の解説やコメントが少しわかるようになって、自分でも素人なりに「自分ならどこに指すか」を考えたり、AIが予想するベスト手を見たり、対局の雰囲気を感じとったりできるようになった。
AbemaTVトーナメントが面白い
ある日、将棋chで「Abemaトーナメント」が中継されていた。ちょっと気になっている渡辺明さん率いる「チーム渡辺」が戦っている。そもそも将棋に団体戦などあったのか。そしてその団体戦がじわじわ来るのだ。3人1組のチームが、次に出る棋士を決める作戦会議を開くのだが、彼らはタレントではないので、なんだか高校の文化祭を覗いている気分になる。棋士一人一人のキャラクターが見えてきて面白い。ああ、これはきっと宝塚の別箱公演で、これまで見えてなかった若手を見つけるのと一緒なんだなと思った。
Abemaトーナメントは持ち時間が5分、いわゆる「早指し」で対戦する。最初は少し時間を使って考えるが、時間がなくなると5秒以内で考える暇なく指していく。これは見ないとすごさが伝えられないのだが、将棋なのにとにかく手に汗握るほどの迫力がある。ストリートファイターの試合を見ている気分だ。
棋士の性格も対局に出て、詰将棋が苦手なタイプだとなかなか決め手がなくそのうち逆転されてしまったり、実力差があっても粘りがすごかったり。
ちなみにこのトーナメント、現在進行中なのだが、チーム渡辺と藤井聡太さんのいるチーム永瀬は勝ち残っている。ラスボスは羽生さんと藤田晋のスペシャルチームらしい。そこが一番謎である。
今週末の私のカレンダーには、「チーム渡辺」という予定が追加された。
知識ゼロから世界を紐解いていく面白さ
7月9日に初めて棋聖戦を見てから2週間ちょっと。ここまで沼にはまるとは思わなかった。きっかけをくれたAbemaTVには感謝しかないので、そろそろ課金しようと思っている。
AbemaTVのコメント欄は優しくて、初心者にも「半年ROMれ」などとは言わない。質問したら、流れるコメントの中で誰かがさらっと答えてくれる。例えば今日は渡辺明さんの対局があったのだが、1日目の終わりに対局相手の豊島さんがお辞儀をしたあとしばらく席を外していて、その理由がわからなかったので質問したら、ちゃんと答えがかえってきた。「封じ手」の手続きをしに別室に行っていたらしい。そして知る、「封じ手」というニューワード。
知らないことが多すぎて面白い。全然知らない分野を掘り下げて開拓してくのが新鮮で、しかもプロの試合を鑑賞するだけでなく、将棋の場合は自分自身も実践できるし、プロと一緒に次の一手を考えられるのは他にない楽しさがある。
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ということで、まだ書ききれていないことも結構あるものの、いったん将棋についてのお話は終わり。おすすめの書籍や漫画やブログなどあれば、教えていただけると漏れなくチェックします!
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