#自己紹介をゲームで語る
「今にして思えば、この選択こそが【人生の転機】になったのだ」
という類いの話に心当たりがある方は、どれくらいいるだろうか。
私自身も、幾度となく彼ら彼女らが【人生の転機】と呼ぶ出来事に相づちを打ってきたが、ふとした——例えば今、私の人生について思い返す機会を得た——ときに、では私の【人生の転機】とは何だったのかと考えることがある。
人生とは、常に選択の連続である。
例えば、夢を叶えるべく一歩踏み出す選択であったり。
あるいは空腹になったら何を食べるかの選択。
今、noteを書き(読み)進めるかどうかの選択もそうだ。
そうした様々な選択を重ねていくことこそが人生を謳歌することだといっても過言ではないだろう。
その中でも【人生の転機】となり得るほどの選択ともなれば、それはおそらく人生の選択肢を大きく増やすために必要な条件だった選択に違いない。
以上を踏まえて、では私の【人生の転機】とは何だったのか。
結論を述べると、これから私がこのnoteで伝えるのは【人生の転機】などではない。
私の人生に於いて、いったいどの選択が【人生の転機】と呼ぶに相応しい選択だったのかを見つける術を、どうやら私は未だに会得していないと判断したからだ。検証するからクイックロード機能か人生イベント再生機能プリーズ。
そこで、私はこの場に限り、私の人生に於ける全ての選択を【人生の転機】であったといったん仮定した。すなわち、「私にとって、私の人生でプレイした(遊ぶという選択をした)全てのゲームタイトルは【人生の転機】であった」である。
人生の選択肢を豊かにしたこれら全てのタイトルの中で、「私の指向(あるいは嗜好)に大きな影響を及ぼしているもの」に限定し、さらに選りすぐったタイトルをご紹介させていただきたい。
なお、私は私のパラ振りの原点ともなったこれらを「人生ジャンル」と呼んでいる。パラメータが偏っていると、選択肢って見えても選べないんだよね。僕は詳しいんだ。
また、今回は、ストーリーやキャラクター、世界観やスタッフといった構成要素ではなく、なるべくお題である「ゲーム」という主題に特化し、数ある人生ジャンルの中でも3つに絞ってお伝えするように心掛けたい。そうでもしないとたくさんあるから……。
1. アンジェリークSpecial
遊んだことのない方のためにざっとあらすじを引用したが、プレイ当時の私は、あらすじや趣旨を何一つ理解しないまま、ほいほいと遊んでいる。そして案の定、何も知らないままに大きな衝撃を受けたタイトルだ。
まず何より衝撃だったのが、CDプレイヤーにをCDセットして遊ぶという「ハードの限界を超えた遊び方」である。おそらくこの記事を読んでいる大半の方は「何言ってるんだ」状態になっていると思われる。私も、実際にプレイしたことがなければ同じ状態になっているに違いない。
主人公である女王候補のアンジェリーク・リモージュちゃんは、守護聖様という美麗な男性たちと交流を図ることになる。
その交流の際に、あらかじめセットしたCDプレイヤーから、待っていましたと言わんばかりになんと守護聖様が喋る。画面に表示されているメッセージと同じセリフを、守護聖様が我々プレイヤー……女王候補の耳に、直接、語りかけてくるのである。
しかも足繁く通っていると、ある日突然めっちゃ友好的に喋りかけてくる。見慣れたテキストと聞き慣れた声が、ある時を境に明確に変わるのだ。
そして、なんとこれが9人分あるのである。「パターン×9」だ。
初期のアンジェちゃんの気力では、大陸の育成をお願いしたら1人、多くても2人の守護聖様としか交流できないのにである。多すぎる声。膨大なトラック数。私は全部を聴いてない。
しかし、そうしてどんなに足繁く通って親密度を高めようとも、何一つ安心はできない。日の曜日は育成がお休みの曜日なので、「公園に行きましょう」と守護聖様をお誘いすると「気分じゃない」というお断り事案が頻発する。そしてアンジェちゃんの気力は減少する。
運良くお誘いに成功しても、公園のベンチに座るラブラブカップルに対して羨ましいかどうかを訊かれ、ご機嫌を損ねると即終了である。正解が分からない。どうして羨ましくないと答えると今日はここまでにしようと言われるんだ。クイックセーブなんぞ小癪なワザなど使わせぬわ。
更に運良く質問に答え続け、疲れたかどうかを訊かれた際に「いいえ!」と答えると場合によっては「自分が疲れたので」と言って打ち切りである。これが9人分あるのだ。
……伝わっているだろうか。
そうなのだ。彼らは、もはや画面の壁を超え、我々と交流をしているのだ。
彼らには、9人の守護聖様には、それぞれにこれまでの人生があり、価値観があり、そしてアンジェちゃんと交流を図ることによって、その交流の結果、絆を深めていく。
もしもスタート画面で「はじめから」を選択してしまえば、たとえまったく同じ「選択」をしても、恐らくはもう二度と同じまったく同じ彼らには出会えないだろう。全く同じ絆など生み出せぬのだ。
このゲームは、守護聖様は、我々にプレイヤーに対してゲームという枠を超えて、我々に問いかけているのだ——女王候補として、宇宙の女王になれるのかを。
私はこのゲームからの挑戦に、四苦八苦の末、最終的に宇宙の女王になるという答えを出した。9人もいる守護聖様たちの予期せぬハプニングに対処するのが精一杯だったために余裕がなさすぎて、甘いロマンスに関しては全てが手遅れだったため未達成のままである。恋愛は女王試験よりもはるかに難しい。
いつの日か、このゲームからの挑戦を再び受けられる日がやって来るだろう。
今の私なら、彼らの人生に対してもっと寄り添い、立派な女王になれる……かもしれない。
アンジェリークが人生に多大な影響を与えた初めての恋愛シミュレーションADVであることは上述の通りだが、もう一つ、このタイトルが生まれたことによって「ネオロマンス」シリーズとして新しいジャンルが確立されたことも、私の人生において重要な出来事であったことも加えておこう。
今現在でもネオロマンスは私の人生の一部であるからだ。
私の人生はゲームとその他の経験によって積み上がっているが、ゲームの歴史は時代に合わせて受け継がれていくことによって積み上がっている。今でも人生ジャンルに触れることができるのは、ひとえに生み出してくれるクリエイターの皆様のご尽力のおかげである。そのことに感謝できるようになったのは、アンジェリークで宇宙の女王になったことがある私が、今ここにいるからだ。
ゲームもまた、遊ぶ度に新たな発見が見つかるコンテンツだからさ。
なにせ、私の人生ジャンルは殆どが「今では遊べない・遊ぶのが難しいゲーム」ばかり……。
令和にチューニングされたアンジェリークシリーズの最新作、「アンジェリーク ルミナライズ」も、どうぞよろしくお願いします。
2. マジカルバケーション
魔法モノが好きな皆様。
魔法使いになることが夢だった皆様。
ファンタジーをこよなく愛する皆々様。
お待たせいたしました。お求めの【究極の魔法体験】、このゲームで叶います。
まず何よりの最大の魅力は、世界に存在している魔法属性が、なんと「16種類」という豊富な数を取り揃えているところだ。
プレイヤーの分身たる主人公は、初期設定はその中の大多数である「13種類」の中から好きな属性を一つを選び、魔法を習得できる。
テンションめっちゃあがりますね!?
これぞ! まさに! 魔法の浪漫〜〜〜っ!
「覚えられない!」と頭を抱えるのはまだ早い。最初は頭を抱えるが、取扱説明書を横に進めていくうちに、ゲームに『慣れさせられる』ので、いつの間にかこの相関図は頭の中に入ってしまう。
例えば、私の主人公「美属性」の場合を例に挙げると、「お姫様の美しさは刀身の前でも霞まない。けれども、お姫様は毒によって倒れてしまう」といった具合だ。うろ覚えだけど。
しかも、それぞれの属性を司る精霊たちもまた魅力的で、美属性を司るパウダーちゃんは、とある美しくないアイテムを一定数所持しているだけで捨てるように要求してくる。かわいいですね。ただし、要求を飲まないと二度と仲直りできず、いわゆる「取り返しのつかない要素」に分類されるというハードっぷり。
そして、このゲームは精霊たちに負けないくらい個性豊かな15人のクラスメイトたちと「冒険」を経て様々な困難を一緒に乗り越えていく物語になっている。
物語の主役は、プレイヤーの分身たる主人公を含めた彼ら彼女ら15人のクラスメイトでもあるところも魅力の一つ。
ネタバレを避けるため詳しい言及は控えるが、私が現在も箱推し過激派になっている一因は間違いなくこれである。登場人物の全員が一丸となって立ち向かわなければ味わえない栄養素がここにある。
また、作中の魅力として欠かせない通信機能「アミーゴ」を、時代に合わせて遊びやすく調整されたコンソール版も絶賛発売中。
ぜひよろしくお願いします。……Wii U版しかないのだけど! Switch版の移植お待ちしています。
職業「魔法使い」を選択して、魔法が使えるようになるゲームはたくさん遊んだけれど、やはりマジバケ以上に念願の「魔法使いになりたい」が叶ったことがないのだ。
3. メルクストーリア
私の人生の大半はゲームで積み上がってつくられているが、その中でももっとも時間を費やしたゲームこそが人生を形成している……つまり、私の指向に最も影響しているとも言えるのではないだろうか。
その答えが、メルクストーリアである。
ゲームをプレイしていて、エンディングを迎えてしまうことが惜しいと思った経験がある方はどれくらいいるだろうか。
楽しいからこそ、終わりを迎えるのが寂しくなってしまう。
そのため、中々エンディングを見ることができずに寝かせておいたり、あるいは最後の最後になる直前で手を止めてやり残したことがないか、もう一度過去に巡った場所に足を向けてしまう現象である。
メルストは、私の「好きなゲームをずっと遊び続けたい」を、現在進行形で叶えてくれている私の推しタイトルである。
ここで、メルクストーリアとはどんなゲームなのかを軽く紹介しようと思う。
メルストのストーリーは、基本的に癒術士見習いの少年と瓶詰め少女のメルクの二人が、様々な町や国を訪れ、その先で起こった出来事を紡いでいく物語である。
メルクたちが物語の主軸となるメインストーリーと、メルクたちが旅先で出会う人々が主軸となる国別ストーリーの二つがあり、なんとほぼ隔月でどちらかが更新される。昔はちゃんと正月休みしていたのに……。
ちなみに、こちらがメルストで初めて実装されたイベントである。当時、私はこのイベントのストーリーを読み、そしてメルストを一生遊び続けることを決意した。メルストはストーリーを読むだけなら実質インストールと通信環境さえ準備できればOKなのでよろしくお願いします(※ステマ)。
そして、章の冒頭で紹介したあらすじのとおり、メルクストーリアの世界は、一貫して「ハッピーエンド」が確約されている優しい世界である。
これはリリースしてから5年後に明かされたメルストの世界観だ。どうやらリリース前から既にこのコンセプトが決まっていたらしい。以来、メルストは8年間に渡り、この優しい世界の物語を紡ぎ続け、私はそれを追いかけ続けている。
もちろん、この魅力的な世界観とメルストが紡ぐ物語の虜になっていることは言うまでもないだろう。
だが、長い間、ずっと遊び続けられている理由は、何といっても、スマートフォン向けアプリという特徴が大きいのだ。
リリースから8周年を迎えたメルストは、これまで大きなエンディングを一つ迎え、世界を彩る数々の小さな物語のエンディングを魅せている。我々プレイヤーは何度も何度も数々の物語の始まりと結末を見届けてきた。
先日、二度目のコンサートが開催されたので足を運んだが、これまでの物語を思い起こさせる演奏に、会場中が涙し鼻を啜り心が一つになっていたことは記憶に新しい。
8年間と言ってもあまり実感がわかない方も多くいらっしゃると思うので、8年前にリリースされたウェブアプリを調べてみたところ、「LINE: ディズニー ツムツム(2014/1/29〜)」「グランブルーファンタジー(2014/3/10〜)」「アイドルマスター シンデレラガールズ(2014/11/25〜)」など挙げられるようだ。普段はスマートフォンでゲームを嗜まれない方も、これらのタイトルが生まれた年といえば、何となく伝わるかもしれない。
メルストもまた、これらと同じくスマートフォンで遊べる、基本無料形態のゲームである。
買切のゲームとの大きな違いは料金形態に集約されるが、その関係で基本無料のゲームには、基本的には「区切り」はあっても「終わり」がない。基本無料のゲームにとって、終わりとはすなわち「サービス終了のお知らせ」に他ならないからだ。
例えば、買切ゲームであれば「エンディング」が終わりの一つという見方もできるが、基本無料のゲームに「エンディング」が実装された場合、このエンディングは一つの区切りという扱いで、次の「エンディング」へと続いていく。
上述したゲームたちは、こうして8年間の運用を続けてきた、いわばゴールの見えないマラソンを走り続けているタイトルなのだ。
私は何よりもまず、長い間、運用を続けてくれていることに感謝している。ゲームは受け継がれていくことで続いていく。8年前と現在とではプレイする端末のスペックも求められる質も全く異なるものになる。にもかかわらず、チューニングを続けて遊び続けられるというのは、何よりも素晴らしい財産であると思い知らされている。心から感謝を。
基本無料で運用するスマートフォンアプリは、私たちユーザーと共に歩んでいる。そうして共に成長していくことができるなら、それは夢を叶えてくれる可能性を秘めているゲームだ。
私たちユーザーには、遊び方を選択する自由がある。ここでもし自分にあった遊び方を見つけることができれば、その選択こそが【人生の転機】と呼ばれるのではないだろうか。
メルストは、私にとって唯一の「これからもずっと遊び続けたい」「エンディングを見て終わりにしたくない」という夢を叶えてくれているタイトルだ。
メルストに出会えたからこそ、私はクリエイターの方に対する一層の感謝の気持ちと、応援したいという気持ちを、常に心掛けるようにしている。
最後に
紙に描かれた絵や文字は、手元にあれば、何度でも読み返すことができる。
また、近年ではこれらをデータとして保存することが容易になり、こうしてデータ化された絵や文字や音楽は、もっと簡単に保存ができるようになり、またバックアップも容易になり、また何度でも読み返すことができるようになった。
しかし、同じように絵や文字や音楽等で構成されているのに関わらず、令和の世になっても、ゲームは世代を超えて遊ぶことが難しいのが現実である。
もちろん、理論の上では「ゲーム機を入手して再生すればいい」「アプリをインストールすればいい」といえるが、現実には古いゲーム機は古いほど動かなくなっていき、遊ばれなかったアプリは運営を終了していく。
移植を待っているゲームは多々あるが、移植されるゲームは、移植前に多くの人々に手に取られたゲームであることが大半なのだ。
私の人生に影響を与えたゲームというのは、書き切れなかったものも含めてたくさんある。
好きなゲームは、もっともっとたくさんある。
だからこそ、今挙げた私の人生に影響を与えたタイトル、通称人生ジャンルに少しでも興味があれば、ぜひ遊べる今のうちに遊んでいただきたい。
ゲームに旬はない。
「今にして思えば、この選択こそが【人生の転機】になった」という言葉は、未来にならなければ真偽が分からないからだ。
いつも、今、現在こそが【人生の転機】になり得るだろう。
そして最後に。
これまでの多くの出会いに改めて感謝を申し上げまして、以上、「私に大きな影響与えているタイトルのご紹介」を以て、私の自己紹介に代えさせていただきます。そういえば自己紹介記事書いていなかったからちょうど良かったなと思ったので。