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【アート情報】アモーレパシフィック美術館「Elmgreen & Dragset: Spaces」展レポート

こんにちは、karinです。
今回は、ソウルのアモーレパシフィック美術館で開催中の「エルムグリーン&ドラッグセット:Spaces」展に行ってきましたので、その様子をレポートしたいと思います。

アモーレパシフィック美術館って?

地下鉄から直結の入り口

アモーレパシフィック美術館は、日本でも人気の「ETUDE」「INNISFREE」などを展開する韓国化粧品メーカー、アモーレパシフィックの創業者・徐成煥(ソ・ソンファン)が収集したコレクションを基に1979年に開館。2009年に現名称に改称されました。韓国古美術や国内外のモダンアートを展示・研究し、若手アーティスト支援にも力を入れています。現在の美術館は、2018年にソウル・龍山の本社ビル内に新たにオープンし、多岐にわたる活動を展開しています。
ソウル駅から2駅、新龍山(シニョンサン)駅の1番出口からはビルに直結しているので、アクセスが便利なのも嬉しいところ。

アーティストのエルムグリーン&ドラッグセットって?

本展のアーティストは、マイケル・エルムグリーン(1961年、デンマーク)とインガー・ドラッグセット(1969年、ノルウェー)によるアーティストデュオで、ベルリンを拠点に活動しています。社会や文化が抱える課題をテーマにしつつも、反逆的なユーモアを交えた作品で知られています。日本では、2008年の横浜トリエンナーレや2012年の大地の芸術祭に参加しています。

本展のレポート

本展は、エルムグリーン&ドラッグセットの30年に渡る活動の集大成であり、アジア最大規模の個展とのこと。
会場は、広いという言葉では足りないほどの展示空間で、大きなプールやモダンな家が一軒丸ごと再現されていたり、レストランやキッチンなど、多様なインスタレーションが展開されています。その中には、大理石でつくられた今にも動き出しそうなほど精巧な人形が配置され、何かの物語を感じさせます。


いずれもハッピーではなさそうな不穏な雰囲気が漂い、誰の家?どんな状況?と想像せずにはいられません。

キッチンかラボのような場所では防護服を着た女性が顕微鏡を覗いています。

特にプール周辺の彫刻は、それぞれが独自の世界に没頭しており、お互いに関わることなく存在しているのが印象的です。VRヘッドセットを着けた少年は、見えない実体に手を伸ばし、手前の少年はプールを見下ろして考えに耽っています。

空を見つめる少年。"私たちが幼い頃に経験した孤独と憧れを思い出させます。〜中略〜少年の姿は希望と可能性を象徴し、これは断絶された状態でも希望と夢を追求する人間の本性を思い出させます。"(公式サイトより)

我々鑑賞者の視線を無視する彫刻。大理石彫刻という古代から用いられる伝統的なその手法とVRという対照的な要素。
それを鑑賞者としてみた時に初めて”はたから見る”と、デジタル化する現代生活とその影響と少しの滑稽さが際立ちます。
その滑稽さ、がこのアーティストの特徴のように感じました。

等身大のスケールに、作品を見ているのか混乱する感覚に陥ります。どこからどこまでが作品なのか、その曖昧ささえも楽しく感じさせる、ユニークな展示でした。
会期終了までまだ期間ありますので、ぜひ訪れてみてください!

展示概要

「エルムグリーン&ドラッグセット:Spaces」
会場:アモーレパシフィック美術館
会期:9月3日~2025年2月23日
開場時間:10:00~18:00
料金:一般18,000ウォン

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