河島志乃部、アフターストーリー(A piece of Fake)
毎日は充実している、仕事もプライベートも何なら友達だって、恋愛は...まぁ、置いといて。
けど、心にぽっかりと開いたままで塞げない穴だってある
おかえりもお疲れ様も言ってくれる人のいない一人暮らしの部屋、、うるさいな。
休日の昼下さがり、ピンポーンの音で起こされる、日々のオーバーワークでゼロになったHPを回復できる束の間の休み時間もこうやって簡単に潰されてしまうのだ。
「お届け物です」
白い靴下に爽やかな色のポロシャツ姿の配達員のお兄さんでさえもこういう日は、ウザい。
毎日『お前、無駄に元気だな?』って上司に言われる私でさえ、たまには一日中屍になりたいものだ。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
布団にダイブして枕に顔を埋めながら雄叫びを上げてみる、大丈夫、今は昼間、だからお隣さんも下の人も皆いないんだ
あぁ、まただ、差出人不明のお届け物が届いた。
中身は赤いコート、いゃ、もうすぐ夏なんだけどなぁ。
冬生まれで、尚且、寒がりの私にとってはとっても良い贈り物だが、これはまた、次のシーズンまでクローゼットの中でお休みであるが…仕事柄赤いコートなんて着てられないからこいつもいつ出番があるのかもわからない。
「デートとか、デートとか、、そんな時にでも出番がありますように…」
クローゼットに吊り下げられたカバーのかかったままのコートを拝みつつ扉をしめるのだ。
私の元に差出人不明のお届け物が届いたのはつい最近の事だ。
施設にいた頃も、なんだか良くわからないけど贈り物だよと、時々何かを貰っていた。
どれも、自分の年齢よりはちょっと下なんじゃないかな?って思えるものばかりで当時は気にもとめてなかったけど、、
随分と小さい靴
ブカブカの帽子
全然趣味じゃない服
何処の国のかわからない人形
施設の叔母さんはこの人形、すっごく高いんだよって言ってたけど、私はこんなものには興味は無かったんだよなぁ。
けど、唯一、ずっと使ってるものがある。
髪留め。
あぁ、私の好きな色はわかってるんだなぁ。