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雪街タクシー

"海街ダイアリー" みたいに言ってみた。

そんなわけで関東、とりわけ東京は、雪が3センチ積もっただけで大混乱なのは毎度のことなのだけれども。それなのにやっぱり、会社もお店も休みにはならないスゴイ日本なのである。

お昼頃はぼたん雪になったり、止んだりしていたから出かけるのを迷った。先日、明け方に激しいめまいに襲われて、一人で嵐の中の船に乗ったようにぐるぐるしたので、病院を予約していたのだ。

「うーん……落ち着いていそうだから、雨に変わるかな。今日逃したらお仕事忙しくなっちゃうし行くか……」

さいわい、聴力にも問題はなく、めまいは一過性のものだろうということでお薬をもらって様子見に。「そういう時は予約しないでいいから早くきてね」と言われたものの、めまいにお薬が効くとは知らなんだ。「ほっとくしかないんだと思った」と言ったら笑われてしまった。

一安心して、はたと薬局の外を見るとめっちゃ雪。めっちゃめっちゃ雪やないかい。生まれも育ちも神奈川なのに、ツッコミたい時はエセ関西弁になるのはなんでなん。いや〜どうしよう。うっかり防水でもない革のショートブーツで来てしまった。ヒールがないだけマシか。

タクシーをGOしてみるものの、全く捕まらない。そりゃそうだよね。
仕方なく、へっぴり 腰をやや落とした重心低めの体勢で駅のバスロータリーへ。長蛇の列である。うへぇ。乗れるかしら……と不安になったけれど、そもそも来ない。もう予定時間を20分近くすぎている。見ると、チェーンがうまく付けられず出発できないバスもいたりして、ロータリーはてんやわんやしていた。

向かいのタクシー乗り場に目をやると、タクシーがばんばん戻ってくるところだった。もしかしたらタクシーの方がコンスタントに列が減るのでは? だっていま全然並んでないし!

そそくさとタクシー乗り場に行くと、なんといつもと逆側に列が伸びていた。なんでやねーん! だから列が短く見えていたのだ。なんでこういう時にいつもと逆に列ができてるの?? 裏切られた気分で仕方なく並ぶ。まあいつかは順番が来るでしょう……。

んで、50分。なんならもう寒すぎてステップ踏むしかあるまい。
踊ってたおかげで腰が痛い。タクシーは時おり戻ってくるが、ひたすら待つわたしたちに容赦なく吹雪が頬を打つ。なんでこんなに吹雪いてんねん。後ろのおじさんも、そろそろわたしにつられて一緒にステップ踏みそうである。

タクシー、一人で1台使っちゃうの悪いな……。でも知らない人に「家どこですか」って言うのもなあ。よし、2〜3台まとめて戻ってきたら、一人で乗ろう。1台だけ戻ってきたら、声をかけよう。

そしてわたしは、1台のタクシーが乗り場に着く寸前に声を出した。
「女性の方で◎◎方面の方、いらっしゃいますか?一緒に乗りましょう!」

なんと勇気がいるのだろう。ものすっっっっっっごく勇気が要った。若干噛んだ。わたしの2人後ろにいた女性が「はい!いいですか!?」と手を挙げてくれて、2人で乗り込んだ。

「わたしも一人で乗るのなんだか申し訳なくて、誰かに声をかけてみようと思ってたの〜!」

そう言ってくれた見知らぬご近所さん。反応が早かったのは、同じこと考えてたからなんだね。そんなわたし達の話から状況を察した運転手さん、ついさっきまで「早く乗って!」と不機嫌だったのに、すっかり上機嫌に。

「寒かったよねえ、こんな日は大変だよねえ。忙しくてまだ夕飯も食べてないよ。みんなでラーメンでも食べに行く?」

ナンパかーい。

「いやもう50分も待ったから帰りたいです!」と、ごめんなさいしてみんなで笑った。

あの後、タクシー乗り場は同じように声を掛け合う人がいたかなあ。
街は毎度のことながら大混乱だ。会社も、勇気を出して(?)みんな休んじゃったら、いつかこういう時はお休みが普通になるかもしれないね。
と、社会不適合者なわたしはつい思ってしまうのであった。

まだまだ寒いな。タクシードライバー御用達のラーメン屋さん、聞いておけばよかったな。


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Karen Tokita 〜優しいうた・ボサノヴァ〜
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