ある人との約束
「自分の道を歩く」
ある人曰く、私はまだ覚悟が足りないのだという。
その人は、私が泣きつくといつも私を完璧主義すぎるんだと指摘する。
人と比べすぎる私に、納得がいくまで何時間も語りかけてくれるその人は、
「そのままでいいから、そろそろ自分でことばを紡ぎなさい」と言った。
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いつだって私は馬鹿がつくほど、がむしゃらだった。
ちょっと余裕ぶってみたり、見栄えを気にしたり、そんな器用なことはできない性分で、
人からは「どM」とか「気真面目」と言われる。
側からみれば、そんな様子は効率が悪く、何も考えていないかのように映るのかもしれない。
そして、私は頻繁に、そうした人と比べては自分の欠点を見つけ、自分の力不足に落ち込んでしまう。
自分が努力してきたことすら「がむしゃらにやった」の一言で片付けて、
自分の失敗には目を光らせるも、成功した戦略や思考回路をことばに落とし込んでいなかった。
そんなとき、その人はいつも、
私に代わって現状を整理してことばを与えてくれた。
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しかし、私はその現実すらも、乗り越えたいという欲望に駆られた。
それをぶつけたら、その人は「じゃあ自分でことばを綴ってみなさい」と言った。
思考した過去を卑下してしまうのなら、思考したその時に、それを記録してみよう。
その人の紡ぐことばがそうであるように、過去の私の記録が、
未来の私を助けてくれるかもしれない。
そんな希望を込めて、私はその人と文章を書くことを約束した。
いつも外では笑ってごまかしてしまう自分の考えを、
ことばに落とし込む練習をしてみようと思う。