「まちやど」に泊まる旅
熱海の前に滞在した、名古屋での記録はこちら↓
ローカル×ローカル リユニオンの旅も後半戦。熱海に着いた。
「頑張ります症候群」を発症していることを自覚した日の夜、たっくさん話を聞いてくれた「べぇさん」に会いにきたのだ。
熱海駅から歩くこと15分。熱海銀座通りに、べぇさんがいるゲストハウス「MARUYA(以下マルヤ)」はたたずんでいる。
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実は、今回のひとり旅には裏テーマがある。
それは、「<まちやど>に泊まる」こと。名古屋の円頓寺商店街にある「喫茶、食堂、民宿。なごのや」も、熱海銀座通りにあるマルヤも、どっちも「まちやど」と呼ばれる宿である。
「まちやど」とは、まちを一つの宿と見立て、宿と地域の日常をつなぎ、まちぐるみで宿泊客をもてなすことで地域価値を向上していく事業だそう。
宿のスタッフが「まちのコンシェルジュ」となって、そのまちでの過ごし方をサポートしてくれたり、滞在を通してまちの人とのコミュニケーションを楽しんだり、地元のひと行きつけのお店でご飯を食べたり。
まちの日常にちょこっとおじゃまできるのが、まちやどに泊まる旅だと、わたしは考えている。
(↑マルヤの近くにある温泉、「日航亭大湯」。ここでも、地元の方とのちょっとしたお喋りにほっこり)
先の記事で書いたように、見知らぬ土地へ行った時、そこで暮らす人の日常が垣間見えると、わたしはあたたかい気持ちになる。
こういう日常が、普段のひとり暮らしの生活には無いからだと思う。
きっと、うらやましいんだろうな。
事実、ハラハラする刑事ものや医療もののドラマより、最近もっぱらお気に入りなのは、日常を切り取ったドラマやアニメばかりだ。『隣の家族は青く見える』とか、『きのう何食べた?』とか。『白い砂のアクアトープ』なんて、観ていると沖縄に住みたくなってくる。
だから、今回のような旅をすると、あたたかい気持ちになる反面、帰りの電車の中で、ひとり寂しくなったりもする。
それでも、普段と違う場所に行って、自分ではない誰かの日常に触れることは、わたしにとって、自分自身がどんな暮らしがしたくて、どんな生き方をしたいのかを考える、貴重な時間になっている。
「今のままでいいんだっけ」、「結局どうしたいんだっけ」。どこかへ行って、誰かと出会い、対話することを続ける限り、わたしの中でこの問いが消えることは無いのだろう。
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いかんいかん、しんみりしてもしょうがない。気を取り直して記録の続きを。
マルヤを拠点にして過ごした熱海での2日間は、予想以上に濃い時間となった。
べぇさんが、同時期に泊まっていた「うずさん」を誘ってくれて、はしご酒をしたり。お店から帰ってきても、マルヤの共有スペースで夜中まで話したり。善意の押し付け、日本の美意識、母親からのLINEがやばいこと、など、テーマはたくさん(笑)。
そして、うずさんと同じタイミングで京都にいることが判明し、現地で待ち合わせることにもなった。サングリアを飲みながらべぇさんが熱く語ってくれた、三十三間堂にも行く予定である。
こんなふうに、予想もしていなかった結果が舞い降りてくるから、旅はおもしろいし、人との出会いもおもしろい。
明日からは、そんな京都への旅が始まる。どんなことが起きるのかわくわくしながら、今日もまた、スーツケースを引っ張り出した。