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観光地の猫に名前をつけること
シチリア島に渡って小さな駅をいくつか通り過ぎると10時間に及ぶ鉄道旅が終わる。長かったかどうかは覚えていないけど、案外元気だった気もする。海を渡るクライマックスがちゃんとラスト8割くらいのところで来るの、大事。映画みたいな構成の鉄道旅。と言うと是非とも人に勧めたくなりますね。北から南へ行くのがおすすめ。
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タオルミーナ駅は他の寂れがちな半島南部の駅らとうって変わってきらきらと可愛らしい。何柄って言うの?ヨーロッパね、南イタリアね、イスラムらしさもあるのかな、を感じさせる幾何学模様の装飾。ようやく着いた!とちゃんとテンションが上げてくれる。観光地って、良いのよ。
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鉄道が到着した海沿いからタオルミーナの街までは高低差があるのでバスを待つ。どれに乗れば良いか、何となく周りの人が教えてくれてありがたい。崖の上の山道を登っていくスリリングなバス。バス同士のすれ違いが簡単にできないので互いに待つタイプの急峻山道。そこから見下ろす真っ青な海。ふぁさーっと視界があけていく開放感!さらに、さっきまでの雨模様が幸いして虹が掛かっているのが見える。丘から見下ろす海と虹。これでもう、大好きな街と決まったも同然です。
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バスを降りて、再び坂道を昇り降り。重たいスーツケースをひいひい言いながら引っ張って、二泊する宿へようやく到着した。
この宿がとっても可愛らしくて大好きになった。全体的にこじんまりとしていて、ブーゲンビリアみたいな花が咲いていたかどうかは分からないけどブーゲンビリアみたいな華やかさと細やかさがあって、シチリア島内から買い集めたというタイルがはめ込まれたテーブルやスツールがロビーに置いてある。カジュアルで気取らないけど明るくてお洒落で、それはタオルミーナの街そのものが持っているのと同じ空気で、とにかく細々と好きなところが沢山見つかるホテルなのでした。
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そしてこの宿には、それはもう、可憐としか言いようのないふわふわの猫がいた。初日は玄関に。翌日はロビーにふわふわと入ってきて、私と宿のお姉さんの足元をもふもふしていた。宿のお姉さんは少しの日本語と英語を喋る人で、猫の名前はSebastianoと教えてくれた。Sebastianoと名付けたのは、この宿には色んな国の人が来るから、どこの国の人でも覚えやすい名前をと思って。Sebastianoなら、国によってはセバスチャンとか、馴染みのある名前だからみんな覚えやすいんじゃないかって。そんな観光地の猫の名付けの話。Sebastianoはある時自分の部屋に来て、今はここにいるけど、私の猫(My Cat)なわけじゃないこと。ただ、今はここにいて、寝る時も私の部屋に来る。でもあくまで、たまたま今いる、というだけ。ただ最近のシチリアの夏は酷く暑くて、あまりの暑さの中でSebastianoが見当たらないと心配で心配で仕方がなくなってしまうこと。
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Sebastianoを愛おしそうに撫でながら、私の猫ってわけじゃないんだけど、と繰り返し語るのが印象的だった。自分の手の内にあるわけじゃないものに心を砕くこと。通りすがる人々みんなが覚えられる名前をつけること。それらの小さな美しさ。
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夜はタオルミーナのメイン通りを最初から最後まで歩き、メイン通りが終わったさらにその先にあったレストランで夕食を食べた。イタリアンシェフからお借りしたシチリア旅行本に載っていたところ。カポナータの色味が渋めの色で、ピスタチオが乗っていた。日本で想像するカポナータと違っていて、そしてとてもとても美味しかった気がする。
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