光について
不思議な魅力と不可解さを多く持つ光について
光といえば太陽から降り注ぐ直射日光や炎の光、夜道を照らす街灯・家の中から溢れる光などなど
あげるとキリがないほどにたくさんの種類があると思います。
また、その光の状態に着目してみると真夏のカラッとした強い日差しや、そこから守ってくれるモザイク柄の木陰、
真夜中の怖いくらいの静かな光や、洞窟やトンネルのような遠い場所から這ってきているような光など、
その光のニュアンスに着目するととても奥が深く魅力的なものだと感じます。
特に建築をやっている身からすると、どの場所にどのように開口を設けるとこの部屋はどのような光の状態になるのだろうか?
光はどのように室内に入り、どこにぶつかって空間を照らすのだろうと考えを巡らせることが多々あります。
そうした詩的な考え方をする一方で、なぜ部屋の光は一瞬で消えてしまうのだろうか?という疑問を持つことがあります。
それで時々光を捕まえてみようと手を覆い中をのぞいてみるけど、やっぱりそこに捕まえたと思ったはずの光はない。
状況を変えてカーテンを閉め切った部屋で、電気を消すと一瞬で消えてしまいます。
原理は単純に光が物にぶつかり消失するまでに繰り返される反射時間が一瞬であるということだったのですが。笑
そんな感じで光ってなんだか不思議だなとぼんやり考えているとまた一つの疑問が浮かびます。
私たちの眼前にあるその空間は、実は暗闇なのではないかと。
光は物にぶつかり、ぶつかった光が私たちの目をめがけて一直線にやってきた時その反射した物体を認識することができると思います。
つまり、目の前にある空間には光は通過しているものの、反射するものはなく目には認識されない暗闇になるのでは、と。
空間としてはなんとなくわかっているけど、目の前に見えている手のひらのすぐ1mm先くらいはすでに暗闇なのではないか。
そう考えると私たちの感じている3次元に見えている世界は、実は空間は見えておらず暗闇の層を通過した先にある
球体の平面に物が敷き詰められたスクリーンに映し出された2次元の世界のようにも思えてきます。
空間は透明なのではなく見えていないということになるのか、見えていないということが透明なのか。
和泉 秀 / shigeru izumi