いざとなったら退かない。最後まで諦めない。

私は「群衆の中で正面から襲ってくる暴漢を避ける」というテロ対策訓練を経験したが、逃げ惑う群衆が自分の動きの障害になって思うように動けなかった。

群衆に突き飛ばされたところに暴漢が突っ込んできて、あえなく刺されてしまった。日頃から護身術として、突っ込んでくるナイフをサバく稽古をしていたのに全く使えなかった。これは衝撃の事実だった。それから毎年、テロ対策訓練に参加している。


列車内での刃物犯罪や、密室での暴漢への対応は、現場にいる群衆に邪魔されながら行うことになる。どんなに練習を積んでいても状況が違う。身動きが取れなくなるのだ。

多くの武道・武術は広い場所で稽古していて、前後左右に自由に動くことができる。それ自体がとても特殊な環境。こっちが転びそうになったら暴漢役の人が待ってくれたりする(笑)

そのような状況でも、暴漢役の人は(ゆっくりでも良いので)刺しにいくべきで、こちら側は最後までそれに対処すべき。転んだのなら、転んだ状態で対処する練習もやってみる。
先ほどの群衆の中で身動きが取れない場合は、さばこうとするのではなく、前に出るべきだった。

犯罪現場にゲームオーバーはないのである。


護身の技を憶えるよりも大切なのは、
いざとなったら退かない。最後まで諦めない。気持ちを切らない、という意識。諦めない意識を醸成するような稽古を取り入れよう。

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