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コルクラボに入って、なにか、変わった?#67

「あなたが好きなあなたになる。」

って、コルクラボのキャッチコピーをはじめて聞いたとき、ほんとは

「ずいぶんと、自分勝手なコピーだな。」

って思ったんだ。自分だけが中心に据え置かれていて、周りの人のことを考慮していないように、感じられたりもした。

でも、そんな不思議な場所に、ぼくは2018年12月から参加しはじめた。

「コルクラボって、どんなところ?」

って聞かれると、いつも答えに迷ったりする。編集者として有名なコルクの佐渡島さんがはじめた場所ではあるけれど、編集者コミュニティでもなく、オンラインサロンでもなく、学校でもなく、職場でもない。

そして、そもそもそんな説明できない場所に対して、

「なんで、コルクラボに入ったの?」

って、ラボに入ったころよく聞かれたりした。

「大学生の頃、編集者になりたかったから。」とか「会社以外にも、複数のコミュニティに属してみたかったから。」

とか、その場をしのぐように、なにかの言葉をひねり出してみたりもした。

一つひとつの答えはうそではなかったけれど、その先にもし

「ほんとに?」

って聞かれたら、少し目が泳いでいただろうと思う。そんなコルクラボには

「自分のことを、思い返す。」

イベントが多い。

例えば、合宿の中で過去の大切な人との記憶を思い返したり、毎週開催される読書会や、テーマを決めてみんなで語り合うイベントを通して、自分の普段の日常や仕事を思い返したり、毎週1回出される「お題」と呼ばれる質問に答える中で、自分の過去の感情を思い返したり。

「そうやって、よかった思い出も、しんどかった思い出も、それに、周りにはあまり知られたくない恥ずかしい思い出も、すべてを思い返す。」

ということを、コルクラボに入ってから、周りの人の助けを貸してもらいつつ、ずっと続けてきた気がする。

これは佐渡島さんが以前、

「急速に物事が変化していく中で、みんなが本当に探しているのは未来の目標や役割ではなく、それ以前の、そもそも今自分はどこにいるかのような気がしている。」

と書いていたことにも、つながっているように思う。

一番長い付き合いで、一番信頼しないといけない自分がほんとはだれなのかを、周りの人との会話に助けてもらいながら、掘り下げて思い出していくことで、いま、自分がいる場所をたしかめていくこと。

そうしてぼくも、久しぶりに、自分のことを思い返すようになった。

小学校で不登校になり、中学校で家出を繰り返して学校に行かなくなり、高校を3ヶ月で中退したぼくは、社会に出ることが、どうしようもなく怖かった。

だから、いざ社会に出てはたらきはじめることになったとき、最初に思い浮かんだのは、

「力をつけて、役割を見つけて、お金をもらって、自分がいられる場所を、社会の中に作らなければ。」

って、その思いがすべてだった。

そして10年間、インターネットと呼ばれるものの周辺に身をおいて、それなりに、自分なりに、必死にはたらいた。そうして少しずつぼくは、社会の中での自分の役割を見つけていったんだと、いまは少し、分かるようになった。

子どもの頃は、あれほど毎朝お腹がいたくなった月曜日が、楽しみになることも多くなっていった。いつのまにか学校の何十倍も、この社会と呼ばれる場所が、どうしようもなく、好きになった。

この居心地のよくなった場所で、もう少し時間を過ごしていたいと思う反面、時々、チクチクとなにかがのどもとに刺さっているような感覚が増えていった。

それはもしかしたら、社会に求められる役割を通して、ぼくは少しずつ

「だれかが好きなあなた。」や、ともすると「だれかが好きなだれか。」

になりつつあったのかもしれないと、コルクラボに入って、思い知らされるようになった。

だからこそいまは、

「あなたが好きなあなたを、思い出したい。」

という気持ちが、日に日に、強くなっていくのを感じる。

コルクラボのみなさん、ありがとうございます。みんなに助けてもらうことで、よく分からない自分の輪郭に、下書きの線くらいは入っていくのが、分かるようになったよ。それにそんな自分を通して、今度こそ、だれかを助けられる力が、もう少しほしいよ。

(でもほんとに変わったのは、あれほどいやがってたサウナに、これほど通いつめるようになったこと。)

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