ど根性あさがお
読みもの「ど根性あさがお」
「ただいま。」
帰宅した
当時小学一年生の娘の
ほかほかでぺとぺとな
手に握られていたのは
よれよれのビニール袋に入った
しなしなの草だった。
いや、
草ではない...。
学校で栽培している朝顔の
間引きした数本を
少量の土で
無理くり持ち帰ってきたものだった。
それは
ドレッシングをかけてしばらくした
ベビーリーフのように
しなしなを極めていた。
焦った私は
空き牛乳パックを切った。
娘と二人
そこに土を入れて
しなしなを植え
水をやった。
こりゃ無理かもなって
内心思いながら...。
*
ところがところが
牛乳パック住まいの
しなしな、いや
朝顔は
そこから数日で
奇跡の大復活を遂げた。
...ぴんしゃんした上に
大きくなりはじめたのだ。
朝顔のやる気を感じ
大きい鉢に移すと
さらにそいつはデカくなり
8月に入ってから
見事な花を咲かせた。
ど根性な生い立ちを
微塵も感じさせない
白ふちの、
ブルーのような紫のような
実に上品で美しい花だった。
*
生き物って
時々すごく崇高で
ハッとするよね。