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ど根性あさがお

読みもの「ど根性あさがお」

「ただいま。」

帰宅した
当時小学一年生の娘の

ほかほかでぺとぺとな
手に握られていたのは

よれよれのビニール袋に入った
しなしなの草だった。

いや、
草ではない...。

学校で栽培している朝顔の
間引きした数本を

少量の土で
無理くり持ち帰ってきたものだった。

それは
ドレッシングをかけてしばらくした
ベビーリーフのように
しなしなを極めていた。

焦った私は
空き牛乳パックを切った。

娘と二人
そこに土を入れて
しなしなを植え
水をやった。

こりゃ無理かもなって
内心思いながら...。

ところがところが

牛乳パック住まいの
しなしな、いや
朝顔は

そこから数日で
奇跡の大復活を遂げた。

...ぴんしゃんした上に
大きくなりはじめたのだ。

朝顔のやる気を感じ
大きい鉢に移すと

さらにそいつはデカくなり

8月に入ってから
見事な花を咲かせた。

ど根性な生い立ちを
微塵も感じさせない

白ふちの、
ブルーのような紫のような

実に上品で美しい花だった。

生き物って
時々すごく崇高で

ハッとするよね。


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