全く正式じゃない抹茶を飲むとどうなるのか
読みもの「全く正式じゃない抹茶を飲むとどうなるのか」
子どもの頃、
何かのイベントで
「お抹茶体験」をした記憶がある。
和菓子に釣られた田舎の小学生(私)は
体験の列に並び
正座をして
見よう見まねで
お茶碗をくるくる回した。
飲んでみたら
今までの人生の中で最も苦いものを
ゴクリッ!と飲んでしまったことに気づき
正座したまま
飛び上がりそうなほど
びっくりした。
*
抹茶ラテ的なものを除き、
「抹茶はすこぶる苦い」と
思い込んできた人生。
「苦いけどそれがいいんだよ」
みたいなのは
「魚のはらわた食べるのが通なんだよ」
(※中尾彬さんの声で再生してください)
に通ずる
素人が手を出してはいけない世界
のように感じたし、
きちんと着物を着て
お作法もしっかり習ってからしか
飲めないお抹茶ってのは
格式高い
遠い世界の飲み物だった。
*
ところが
抹茶との再会は
意外なところでやってきた。
ある日の夫の実家。
台所に居た義理の母ちゃんが
どこからともなく
茶筅を取り出して
ヤカンの湯で
ササササっと抹茶を点てて
飲ませてくれたのだ。
ふわふわに泡だったお茶は
苦くもなく
スッキリした味で美味しかった。
*
「台所で抹茶点てていいんだ!」
「まさかのヤカンでいいのか!」
「茶碗くるくる必須じゃないんだ!」
「苦くないじゃん!」
「ここまでカジュアルでいいんだ!」
いろんな気づきが
一気に私の中になだれ込み、
大変な意識改革がおきてしまった。
*
その後
アマゾンで茶筅と茶杓を、
楽天で茶碗をポチり
いつも
店の外まで漂ってくるいい香りを
両方の鼻の穴で
めいっぱい嗅ぐだけ嗅いで
通り過ぎてきた
名古屋地下街にある「妙香園」で
抹茶を購入。
抹茶のことなど
何もわからない
ちんぷんかんぷんな夫婦に
妙香園の店員さんは
とても親切にしてくれて
一緒にお茶を選んでくれた。
お茶界隈の人は
意外と優しい。
こちらが
「格式高そう、怖そう」と
思い込んでいるだけで。
*
さて
YouTubeの
抹茶の点て方レクチャーを一応見た後に
全く正式じゃない方法で
点てたお茶は
初回こそ
失敗してめちゃまずかったものの
(はじめて点てた抹茶・くそまず事件
についてはまたの機会に)
その後何度も点てるうちに
なかなか美味しいお茶が点てられるように
なってきた。
全然正式じゃないお茶を飲むと
どうなるのか。
答えは簡単。
「幸福度が増す。」です。
あと
「カテキンいっぱい摂取できる。」
*
思えば
紅茶やコーヒーにだって
素人が再現できないレベルの
超真剣&超正式な入れ方が
あるけれど
そう入れないと
飲んじゃいけないわけじゃなくて
簡単で安価なティーバッグがあったり、
粉末でお湯入れるだけ
なんてのもあるわけだから
抹茶だって怖がらずに
普通の暮らしの中で
点ててみたら
いいじゃないの。