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プールあがりのセブンティーンアイス

読みもの「プールあがりのセブンティーンアイス」


夏休み。

さぞかし子どもは外で走り回り
体力を消耗しまくってくれるかと
思いきや

暑すぎて
そうそう子どもを
外遊びに放つこともできない。

運動不足解消に
プールへと誘う。

娘は
習いたての平泳ぎを
練習しようと
ヘルパー(浮き)をつけて
25メートルを何本も泳ぎ

私は
習いたて平泳ぎさんが
水中に没しないように
横で補助しながらプールをせっせと往復する。

水から上がる時に
どっと感じる重力。
筋肉疲労と自重のハーモニー。

「どうだ、どうだ!!
素晴らしい運動量だ。

この調子なら
夏の終わりには
うっかりスリムになってしまうわい!!
うわははは。」

そんな我々親子を
帰り道で密かに待ち伏せる輩がいる。

セブンティーンアイスの自販機である。

「くっ、卑怯なり!!」

抵抗する間もなく

我々はグリコの餌食となり
消費したはずのエネルギーを
美味しく補充するのであった。

抗えない魅力がそこにある。
だいたい自販機の存在自体が
ウキウキしすぎている。

周りを見渡せば
髪の毛をタオルでぐるぐる巻きにした
親子連れや

頭の先からつま先まで
どっぷり青春に浸かった中高生が

ベンチに座り

セブンティーンアイスを
かじっているのだった。

セブンティーンアイスよ。

どうしてお前はいつも
くるりとむいたそのゴミで
ほんの少しのめんどくささを
こちらによこしてくるのだ。

渦巻きのソーダフロートを
かじると

ソーダ・バニラ・ソーダ・バニラ

二つの味は
ひとつになって

夏が溶けて
私に流れ込んでくる。


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