プールあがりのセブンティーンアイス
読みもの「プールあがりのセブンティーンアイス」
夏休み。
さぞかし子どもは外で走り回り
体力を消耗しまくってくれるかと
思いきや
暑すぎて
そうそう子どもを
外遊びに放つこともできない。
運動不足解消に
プールへと誘う。
*
娘は
習いたての平泳ぎを
練習しようと
ヘルパー(浮き)をつけて
25メートルを何本も泳ぎ
私は
習いたて平泳ぎさんが
水中に没しないように
横で補助しながらプールをせっせと往復する。
水から上がる時に
どっと感じる重力。
筋肉疲労と自重のハーモニー。
「どうだ、どうだ!!
素晴らしい運動量だ。
この調子なら
夏の終わりには
うっかりスリムになってしまうわい!!
うわははは。」
*
そんな我々親子を
帰り道で密かに待ち伏せる輩がいる。
セブンティーンアイスの自販機である。
「くっ、卑怯なり!!」
と
抵抗する間もなく
我々はグリコの餌食となり
消費したはずのエネルギーを
美味しく補充するのであった。
抗えない魅力がそこにある。
だいたい自販機の存在自体が
ウキウキしすぎている。
周りを見渡せば
髪の毛をタオルでぐるぐる巻きにした
親子連れや
頭の先からつま先まで
どっぷり青春に浸かった中高生が
ベンチに座り
セブンティーンアイスを
かじっているのだった。
*
セブンティーンアイスよ。
どうしてお前はいつも
くるりとむいたそのゴミで
ほんの少しのめんどくささを
こちらによこしてくるのだ。
渦巻きのソーダフロートを
かじると
ソーダ・バニラ・ソーダ・バニラ
二つの味は
ひとつになって
夏が溶けて
私に流れ込んでくる。
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