キンモクセイを上書きしたい
ご近所じゅうから
キンモクセイの香りが
どこからともなく立ちこめる
日曜の夕暮れ。
野生の小学生軍団と
パパ軍団(子どもと遊んでくれるパパ勢)が
日没ギリギリまで鬼ごっこをして遊んでいる。
パパさん世代は
キンモクセイの香りがすると
どうしても「トイレのにおいだ!」と
はしゃいでコメントしてしまうのだが
令和を生きる小学生軍団は
キョトンとして
「それうちのパパも言ってた」
「うちも」
と口々に不思議がる。
*
私も昭和生まれなので
残念ながら
キンモクセイの香り=トイレ
の呪縛から長年抜け出せずにいたのだが
ここ数年、
トイレの芳香剤でキンモクセイに
遭遇しなかったこともあり
お散歩の途中でキンモクセイの香りが
してきても
「トイレ」と思わなくなり
こうなるといよいよ
山田詠美の放課後の音符(キイノート)で
綴られていた
キンモクセイにまつわる文章の甘酸っぱさに
集中できるようになった。
わぁぁぁ…甘い。
胸が苦しい。
苦しいけど欲しい甘さ。
*
気がつくと
パパさんたちに感化された小学生軍団が
「トイレ」「トイレ」と
連呼している。
君ら、キンモクセイなトイレなんて
知らんだろ!(笑)
時代を越えて追いかけてくる
キンモクセイ=トイレの図式。
キンモクセイを
甘く上書きするには
まだまだ時が必要かもしれない。