烏田

非正規肉体労働者。中年。男。 好きな言葉は「うつし世はまぼろし」

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非正規肉体労働者。中年。男。 好きな言葉は「うつし世はまぼろし」

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noteをつける動機のようなもの

先日、役所の福祉課に行った。 生活保護の申請をするためだ。 しかし申請は下りなかった。 貯金が基準をわずかに上回っていたためだ。 役所からの帰り道、 なぜかふと、noteを書こうと思いついた。 そのときは見事な冬晴れの空で、 あまりに澄んだ大気のせいで、 ずっと耳鳴りがしていた。 私は今まで一度も正社員として仕事をしたことがない。 ずっと派遣やアルバイトで肉体労働をしてきた。 幸せだと思ったことはないが、それほど不幸せだとも思っていない。 友はいない。恋人もいない。

    • Adobe Creative Cloud 1年分が当たりました

      ここ最近で一番嬉しいことかもしれません。 先日からnote上で開催されていた#つくるのはたのしいコンテスト。これは「つくるのはたのしい」をテーマにnoteに記事を書こうという企画です。 その中で、自分で書いた記事をツイートした人の中から5人にAdobe Creative Cloudコンプリートプラン1年分が当たるという企画がありました。それになんと私が当たりました。 ちなみにアドビクリエイティブクラウドとは何かご存知ない方に簡単に説明すると、サブスクで使える画像処理や動

      • 生産量ゼロへ。私の工場の派遣切りの詳細がわかってきた話

        私の勤める工場で派遣切りが始まったのは以前お話した。 ここにきて、これから工場がどのような生産体制になるのか全体像が明らかになってきた。 1 生産ゼロへ私の所属する部署が生産をゼロにすることが判明した。 私の部署は基本的に見込み生産方式で作ってきた。見込み生産とは、あらかじめこれくらい売れるだろうと予測し、計画に沿って生産していく方式だ。 これとは逆に、客から注文を受けてから作るのが受注生産方式となる。 見込み生産の良い点は、あらかじめ製造しておくことにより客からの

        • 私の職場(工場派遣)で派遣切りが始まった。

          上記の通りです。ついに恐れていたことが始まりました。  私のことをよく知らない人の為に簡単に自己紹介すると、アラフォーで工場派遣で働いている男です。独身です。 人員削減の予兆はもちろんありました。緊急事態宣言後も職場はやっていましたが、仕事量が格段に減りました。暇な時間が多くなり、ついには調整休が入りました。 調整休はもちろん休業補償の対象なのでそれは良かったのですが、この辺りから請負社員の人数が減ってきたのです。 以前に書きましたが、私の職場は正社員、契約社員、派遣

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          コロナ感染拡大、レバノン爆発、tiktok規制、山下智久と女子高生、そして孤独者におすすめの小説「掃除婦のための手引き書」

          新型コロナウィルスの新規感染者数が東京都で400人を超えるようになった。今回の感染拡大で顕著な特徴は、若い世代に感染が広がっていることだ。二十代、三十代が全体の六割を占めている。そして感染経路がわからない人も全体の六割だ。経路が判明している中では、引き続き「夜の街」関連の人が多いが、最も多いのは家庭内感染だ。 私に同居している家族はいない。接待をともなう飲食店には行ったことがない。感染する可能性は低いといえる。 レバノンはベイルートで爆発が起こった。私もYOUTUBEでそ

          コロナ感染拡大、レバノン爆発、tiktok規制、山下智久と女子高生、そして孤独者におすすめの小説「掃除婦のための手引き書」

          梅雨明け、猛暑、そして老い

          暑い。 強烈な日差しに焼かれている。私は日焼け止めは塗らない。ベタつくのが嫌なのだ。 ようやく梅雨が明けた。記録的な長さだった。 そしていつの間にか8月になっていた。 早すぎる。ついこの間まで2月くらいだと思っていたのに。コロナのせいだろうか。それとも歳のせいか。 今週から私の職場は夏休みに入っている。コロナの影響で会社の休みが変動になったのだ。代わりに盆休みはなくなった。 日中、街に出ると若者たちの姿を目にする。どうやら私と同じタイミングで学生たちも休みになった

          梅雨明け、猛暑、そして老い

          【小説】このハンバーガー、アボカドはさむの忘れてる

           弓子さん    アボカドを食べたことない人が、アボカドについて何か書けると思いますか?    唐突に話を切り出して申し訳ありません、弓子さん。ですが、まず初めにこれから読む文章についてのポイントを上げておくべきだと思ったのです。なるべくシンプルに、わかりやすく。自分の思いを伝えるためにも。  弓子さんは僕によく言っていましたよね。「何考えてるかわからない」って。そう言ったあとに、「いろいろ難しいこと考えているんだろうな」ってフォローするかのようにつけ足して。  でもね僕

          【小説】このハンバーガー、アボカドはさむの忘れてる

          岩手県で初の新型コロナ陽性確認とGoToトラベルについて

          先週、新型コロナウィルスの国内における新規感染者数が過去最多を更新する日々が続いた。それと同時に政府肝いりの政策「GoToトラベル」が始まった。 そして本日、今まで感染者が確認されていなかった岩手県で二人の感染者が確認されたことが、達増知事と盛岡市の谷藤市長の共同会見で明らかにされた。 これは一体何の茶番なのだろうか。私には迷走しているように見える。 大義名分としては経済の話がある。 もっともなことだ。我々にはコロナの前に日々の生活がある。人間である限り、水を飲み、食

          岩手県で初の新型コロナ陽性確認とGoToトラベルについて

          【小説】片腕の兄弟

          1  急にふらっと見知らぬ街に出かけることがあった。学生時代に始めた遊びで、通学定期券内の一度も降りたことのない駅に適当に降りるのだ。そしてふらふらと散策する。観光名所はあってもなくてもかまわない。特に店にも入らない。歩き疲れたときに喫茶店で休むくらいのもの。ただ街自体を見て回るだけ。これが結構楽しかった。  社会人になってからでもその小旅行の楽しみは続いた。見知らぬ街で電車を降り、ただふらふらと散策する。自由になるお金が増えたこともあり、少し遠出もするようになった。休みの

          【小説】片腕の兄弟

          工場のライン作業中に意識トリップ  ー肉体労働者でもつくるのを楽しむ方法ー

          こんにちは。私は工場で働いている烏田(からすだ)と申します。アラフォーの派遣社員です。 タイトルにトリップと書いてありますが、決して危ないクスリを使用しているわけではありません。 なぜ私のような肉体労働者がnoteに小説を投稿し始めたのか、が今日のテーマです。学のない肉体労働者が創作をしているのを疑問に思う人もいらっしゃると思いますので、解説します。 実は前々から小説を書いてはいたのです。 私は読書が好きで、過去には書評ブログなんかも書いたことがあるんです。 それで、

          工場のライン作業中に意識トリップ  ー肉体労働者でもつくるのを楽しむ方法ー

          【小説】桜木町で、君の姿を

          私の名前は「あみん」 変わってる名前だ。 親が昔はやった歌手から名づけたのだ。 一番ヒットしたのは『待つわ』という曲。 サビの歌詞はこう。 両親的には 忍耐力のある子に育つようにとの思いをこめたらしい。 そのせいもあってか 私は待つのが得意だ。 今日も私は待っている。 何を? 私の“運命”の人を。 私の運命の人は この桜木町のどこかにいるかもしれないのだ。 範囲広すぎ? そうかもしれない。 それでも私は待ち続ける。 奇跡が起こるのを。 * あれは今から三年前

          【小説】桜木町で、君の姿を

          派遣の仕事量が増えてきたが、その理由がえぐい……

          私は工場派遣で働いている。 最近減っていた派遣先工場の仕事量が、ここになって増えてきた。3〜6月はずっと暇だったのに7月になって復活した。すでに残業も2残くらい当たり前になってきた。 だが、仕事量が増えたその理由がえぐい。 うちに職場には正社員のほかに、直接雇用の契約社員、請負社員、そして派遣社員の4種類の人間が働いている。 その中の請負さんに振っていた仕事を減らして、他の作業場に割り当てているのだ。 つまり、マーケットの需要が回復したわけではなく、工場内部での仕事

          派遣の仕事量が増えてきたが、その理由がえぐい……

          【小説】白詰草

           B氏は通りをふらふらと歩いていた。空はどんよりとくもっている。まるで腐ったレバーを食べて、食当たりをおこしたような空だ。  通りにはB氏のほかに誰もいない。とてもさびしい通りだ。人工的な道の両脇には、街路樹が植えられている。やせ細った白い木だ。枯れかかっている。栄養失調なのではなかろうか? まるでわたしのようだ、と彼は思った。 「なんて陰鬱な場所なのだろう」  B氏は疲れていた。どうしてこんなに疲れているのか、彼にもわからなかった。彼は道端のベンチに腰かけた。木のベン

          【小説】白詰草

          【小説】尻だけ出して、ののしってください

           それはとても暑い日でね、と男は言って話し始めた。  私は小学校の四年生でした。その日は夏休みでプール登校の日でした。学校は家のすぐ裏にあって三分で着くんです。友達からはうらやましがられましてね。ただあまりに近すぎると、それはそれで問題もあるんです。遅刻をよくするようになりましてね。すぐに着くものだからぎりぎりまで寝るクセがついて。いまだに直らないんです。  その日もプールが始まる直前まで家にいたんです。まあ、マンガかテレビゲームでもしていたのでしょう。気がついたら開始時

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          【小説】あるバスでの出来事

           小雨の降るなか傘もささずに高校を飛び出し、校門前のバス停で駅方面のバスに飛び乗ったわたしの心もようは、その日のお天気と同じく、くもりときどき雨のありさまなのでした。食品スーパーのバイトは午後七時からなのですが、所属する女子バドミントン部が遅くなったせいで、どうやらギリギリセーフになりそうです。  なんとか間に合いそうなのは良かったのだけれど、バス内では子供たちがうるさくさわいでいます。後ろの方に座っている、黒いランドセルを背負った兄弟らしき男の子たちです。そしてとなりには

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          【小説】夏の葬列

          「お姉ちゃんは夢って見る?」  妹の声を聞いて、菜月は顔を上げた。  目の前には明日香の疲れた顔があった。目の下にはクマができていて、肌の張りもなかった。二十歳の大学生には見えないな、と菜月は思いつつ妹にたずねた。 「夢っていうのは寝てるときの? それとも将来の?」 「寝てるときの」 「あまり見ないかな。でも、それは覚えていないだけで、実際は見てるのかもしれないけど」 「わたしはね、よく見るの。でもほとんど覚えてられない。すごく面白い夢や、すごく悲しい夢だなあって

          【小説】夏の葬列