痙性の改善は出来る?出来ない?
お読みいただいている皆さんありがとうございます。
理学療法士の唐沢彰太です!!
【痙性とは??】
私が今までリハビリさせていただいてきた患者さんの多くは脳卒中後の後遺症に悩まされている方々です。
脳卒中後の後遺症の代表格が【痙縮】です。
痙縮は、痙性を伴う運動麻痺の慢性化と捉えることができます。
この痙性の中心症状は、<伸張反射の異常亢進>です。
伸張反射とは、関節や筋の損傷を防ぐためにあります。
関節が急激に動かされた時に、筋が急激に伸張にされるため、出来るだけ伸張速度をゆっくりにするために抵抗します。
これは、速度が早ければ早いほど、抵抗するために必要な力が増えるため、伸張反射も強くなります。
この伸張反射の重要な点は、基本的には他動的に動かされた時に出現するということです。
この伸張反射は、大脳皮質によるコントロールが可能なことが分かっていて、脳卒中などで脳皮質が損傷するとこの伸張反射のコントロールが難しくなります。
その状態で関節運動を繰り返すと伸張反射が亢進していきます。
その結果、少し筋が伸張されただけでも伸張反射が出現しどんどん敏感になっていき、収縮した状態で固定され痙縮へと変化していきます。
【リハビリで改善できる??】
では、この痙性はリハビリによって改善できるのでしょうか?
ここで注意したいのは、リハビリの目的は痙性を改善することではないということです。
動作や行為に痙性が本当に影響しているのかを分析してから介入していく必要があります。
この痙性の程度と運動のレベルには、相関がないことが分かっています。
つまり、痙性が強くても運動が出来る人はたくさんいるということです。
よって、痙性を考慮して訓練を進めることが患者さんにとって【良い】ことであるをまずは考える必要があります。
先ほど簡単に書きました通り、痙性の主原因は伸張反射の異常であり、その伸張反射は脳でコントロールすることが出来ます。
みなさんも、突然肘を伸ばされるよりも「今から曲げますよ」と言われた方が準備ができて、スムーズに肘を伸ばされると思います。
つまり、伸張反射の異常を改善していく為には、【予測】が重要になるということです。
ただ、関節の運動や感覚を予測する為には、
1,イメージ
2,注意の焦点化
3,身体への注意能力
などの能力が必要です。
これらを1つ1つ評価して、リハビリを進めていく必要があります。
例えば、
・1人称で運動イメージが出来るのか?
・そもそも身体に注意を向けることが出来るのか?
これらを知覚の評価やKVIQといった検査を用いて評価していきます。
また先に書いた通り、動作や行為を観察して痙性との関係を十分に分析して、介入するべきかどうかを考える必要があります。
もしかしたら、もっと優先すべきことがあるかもしれません。
この辺りを観察や分析でしっかりと考えられる力が必要になります。
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