社会不適合者

羨ましいなって思う。
わたしは多分社会適合者だ。
周りの人間にどうしたら気に入ってもらえるかわかっている。小さな波風すら立たせたくないわたしはそういうものをのらりくらりと避けて、そんでもって忍耐力というものもそこそこ備えられているので、理不尽なことを言われても反論はしない。

否、反論できない。

そういう理不尽が起きるといつも実感する。
わたしはわたしが1番かわいいのだと悟る。
わたしはとてつもなくマジョリティなのだと悟る。

わたしは日本によくいる“普通”に分類される人間だ。
皿を割ったり、誰かと言い合いになったり、バイトを逃げ出したりなんてしたことない。(嘘、2回くらい、皿は割ったことがある。)
今だってそうだ。理不尽な上司に逆らったことなんて一度もない。まあこういうところに愚痴を溢しはするが。

あの頃よくライブハウスで出会していた人のコラムを読んだ。

「社会不適合者の文字が頭に浮かんでいた」

先輩の嫌がる行動を起こしてバイトから逃げたあいつをわたしは勇者と呼んだ。素直に羨ましいと思った。
わたしは逃げ出す方法を模索して挙句の果てその場に居続ける臆病な人間だから。

臆病って病ってつくのに治せる薬ないのかよ。
ごめん八つ当たり。

己のことを社会不適合者と呼ぶ大半の人は言い訳を探しているだけのこと。だからその言葉を言われても「そんなことないよ」と返す。励ましているとかではなく、そんなことないのだから。

かの勇者は社会不適合者ではあったが音楽には適合していた。
勇者はわたしのことを羨んでいた。
光栄なことだとは思う、でも嬉しいとは思わなかった。

わたしも音楽で食べていけるのなら社会不適合者になりたかったよ。なんてこれも八つ当たり。

いいなと思ったら応援しよう!