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山が走った!
「山が走った!」〜その恐ろしい意味とは
まだ娘達2人が子どもの頃…
二学期制で秋休み中、2人とも家に居た時のこと
ちょうど台風が去って、私は仕事場にしてた貸家の様子を見に家を出て約5分後…
義母から着信があり車を止めました
「◯◯さんの裏山が崩れた!」
それからどうやって引き返したか、あまり覚えていません
とにかく早く!早く!子ども達と義母を避難させないと!
そればかりが頭の中でぐるぐると回り、震える手でハンドルを握りしめていました
◯◯さんの家は2軒隣で、崩れた裏山はうちの裏山と繋がっていたのです
やっと帰宅して、取る物も思い付く物だけまとめて子ども達と義母を車に乗せて私の実家へ…
娘達が
「犬は?犬は!」
当時、うちには大型犬が2匹いました
私の車は小さくて、大人2人子ども2人で精一杯…
「一緒に乗せられないから、あなた達を送ってからまた連れて来るから!」
3人を実家で降ろして、私はすぐトンボ帰り
実母と義母の
「危ないから行ったらいかん!!」
と叫ぶ声を背中にして…
引き返したら、家より随分手前から車が並んでいて、その中にはパトカーや救急車・消防車が何台も並び騒然となっていました
「この先は危険なので行けません!」
と警察官に言われて
「すぐそこが家なんです!家族がまだ居るので連れて出ますから!」
咄嗟にそう言って通してもらいました
犬達を連れ出している最中
「もし今裏山が崩れて来たら一緒に埋まっちゃうな…」
と思いながらも、必死で犬達を車に乗せました
(家族だから、我が子だから、見捨てるなんて絶対出来ない!)
雨がまた降り出してずぶ濡れになりながら、ただただそれだけを思って…
そのまま1週間くらい私の実家で、私達夫婦と娘達2人・義母・大きなワンコ2匹で避難生活しました
(ワンコ達はどちらも体重40kgという、本当の大型犬でした)
その後家に帰ってからも、しばらくは怖くて土砂崩れの現場を見に行けませんでした…
裏山のほぼテッペンから、立っていた杉の木ごと下に「そのまま」雪崩れ落ちたのでした
その下にあった◯◯さんの家と、家に居たご夫婦を飲み込んで…
その時の様子を見ていた両隣の人達が揃って言ってた言葉は
「聞いたこともないもの凄い地鳴りがして、外を見たら…『山が走った!』」
と…
徐々に上から崩れ落ちるのではなく
沢山の杉の木は立ったまま、まるで『山が走るように高速で下に移動』したのだと!
「でもスローモーションで見てるような気がしたよ」
そう言っていた隣家の人の言葉は、今でも鮮明に残っています
土砂崩れが発生したのは台風の最中ではありませんでした
台風が完全に去った後だったのです
『雨台風』と呼ばれるくらい雨量が多くて、また台風の前にも雨が降り続いていたため…
山の土砂が相当の水を含んで地盤が緩み、それが限界を超えたのでしょう
この時の経験、その後も何年も続いたトラウマ…大雨が降る度恐怖に陥ってしまう
これが、私が環境活動を始めたキッカケでした
《その後、行動に移したことを記事にしています》