The Merge をみてイーサリアム投資の雲行きが怪しくなった2つの理由
イーサリアムは2022年9月15日に「The Merge」とよばれる大型アップグレードが行われました。このアップグレードは正常に完了しています。
この記事では2つの観点からイーサリアムへの中長期投資のリスクについて考察します。
(1) PoS の検証が中央集権化した (2つの特定ノードに支配された)
(2) SEC管轄による法整備のリスクが高まった
PoWからPoSへ
一番注目される変更点は、コンセンサスアルゴリズムがPoW (プルーフオブワーク) から PoS (プルーフオブステイク) への変更されたことです。
PoW は電力消費の観点で批判を浴びており、この批判を回避することを一つの目的とされていました。
マイニングがわずか2つのアドレスによって支配される
PoS へ変更されたあとのマイニングについて興味深いデータが出てきました。変更後、全ての検証作業のうち、わずか2つのPoSノードによって全体の46%の処理がなされたというのです。
失われた?分散性
仮想通貨の世界では「分散性」が重要視されます。中央集権ではないシステムを堅牢にするためには力が分散されている状態が好ましいとされます。
今回の調査結果はPoS化することで意図せず「中央集権的」な状況を作り出してしまったといえます。
分散性の挽回不可能?
一方でPoS では検証作業がランダムで割り当てられますが、ノードが保持するイーサリアムの量によって優先順位が決まるといわれます。
わずか2つのnode に46%の処理を支配されたということは、ステーキング報酬は彼らに集中することになります。
つまりこれは富むものがより富む結果を招きます。
また、PoWと比較してPoSとなった現在、報酬(=新規に発行されるイーサリアム)は約1/10 と減少しました。供給量が減少するため、理論上イーサリアムの価格は上昇圧力を受けることになります。
この点もまた新たなマイナーを獲得するための障壁になると考えられるのです。
PoS系仮想通貨が証券該当の可能性
イーサリアムのThe Merge が完了した9月15日と時が同じころ、米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長が興味深い声明を発表しました。
ゲンスラー委員長はイーサリアムを名指ししていませんが、この声明をThe Merge 完了後にあわせて声明を発表したことがポイントです。PoSを採用する全ての仮想通貨への警告ではありますが、タイミング的にイーサリアムを名指しした、と言えそうです。
証券に該当すると何が起こるのか?現時点で具体的に何が起こるかを想像することは難しいです。
しかし、現状のイーサリアムは現行の法律が及ばない事実上フリーダムな世界です。同様に無秩序な存在であるDeFi やNFT といった既にあるエコシステムも無関係では済まないでしょう。
結論
これまでPoWによって積み上げてきたイーサリアムの実績はPoS への変更によってゼロリセットされてしまった可能性が出てきました。
(1) PoS の検証が中央集権化した (2つの特定ノードに支配された)
(2) SEC管轄による法整備のリスクが高まった
2022年9月末日時点において、イーサリアム (ETH) を5年~10年スパンでの長期保有してよいのか?雲行きが怪しくなったと個人的に解釈いたします。