セミファイナル99
ミ〜ン、ミン、ミン、ミン、ミ〜ン……
ミィッ〜ン、ミン、ミン、ミン、ミィッ〜〜
まだまだ残暑の残る初秋の候
梅雨明けが遅れたせいか、セミたちの鳴き声もひびいている。
一匹のセミが転がっていた
子供たち:「わーい、セミさんだー」
喜びの声をあげながら近づく子供たち
ミ゛!
子供たち:「ん?」
ミミミミミミミミミミィッ〜!!
子供たち:「うわ〜ん!」
とつぜん暴れだしたセミに、度肝を抜かれ、一目散に逃げ出す子供たち
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セミ太郎:「ハハハッ、死んだふりして人間おどかすのってオモシレー」
多くの人間たちにトラウマを植えつけさせた
そう、あの悪名高き『セミ爆弾』である
セミ太郎:「だいたいよー、おれ達セミってのは人生のほとんどが土の中なんだぜ」
誰も聞いていないなか、セミ太郎の独り言は続く
セミ太郎:「で、みじかい期間、繁殖行為のためだけに、外の世界に出るってわけ」
セミ太郎:「目的を果たしたら、もう終わり」
セミ太郎:「でも、せっかく外の世界に出れたんだから、娯楽の一つや二つも欲しいってものよ」
このセミ爆弾をするということは、目的を果たし、体力が尽きる直前ってことである
このため普通は2〜3回の発動がせいぜいだ。
ところがセミ太郎は、これまでに何と99回も発動している。
セミ太郎:「でも、もう流石にあと一回が限界だな」
セミにとって生涯最後となるセミ爆弾
これを『セミファイナル』という
なおセミ爆弾は相手が驚くことによりカウントされる。
そして、あと1回ビックリさせることに成功すれば『セミファイナル100』という
前人未到……もとい、前蝉未到の偉業を達成することになる。
しかしトラウマを植えつけられるのは人間に限った話ではない
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ニャー、ニャー
飼い主:「ちょっと、ミーちゃん待ちなさいって」
猫のミーちゃんは、花も恥じらう乙女の年頃である
ニャー、ニャー
ミーちゃんは可愛く鳴くことにより、自分をよく見せるという、したたかな所がある
ミーちゃん:「ん?あれは何だろう」
好奇心旺盛なミーちゃん、さっそうと駆け寄る
その先は、一匹の転がったセミである
セミ太郎:「おっ、何かきたぞ」
セミ太郎:「人間じゃないけど、最後に一花咲かせて散ってやるぜ」
ミミミミミミミミミミィッ〜!!
大暴れするセミ太郎
しかし、ミーちゃんは動じない
驚かないのでカウントにならない
この時点で『セミファイナル100』は失敗99である。
それでも凄いぞセミ太郎。
ミーちゃんが、何かうざったいなあ〜、と腕を上げたその瞬間
セミ太郎:「へへっネーチャン、いい肉球しているじゃねーかよ〜」
ミーちゃん:「ちょ、ちょっとアナタまさか……」
ミーちゃんとしては冷や汗ものである
100を失敗したセミ太郎はもうヤケクソになっていた
セミ太郎:「何だよ、もったいぶるなよ、減るもんじゃあるめーし」
渾身の右ストレートが突きささる
ぼすっ!!
ミーちゃん肉球ど真ん中ってやつだ
ミーちゃん:(ニ゛ャ……)
本当は ニ゛ャーッ と思いっきり叫びたかった
だがそうなったら、今までハスキーボイスで文字通り猫をかぶってきた意味はなくなってしまう
ミーちゃんにはミーちゃんの意地がある。頑張れミーちゃん!
セミ太郎:「クソッ、強情だな」
さらに深く突きたてようとした
ミーちゃんの表情が、みるみる変化していく
セミ太郎:(あれっ、微笑んでいる?)
……
セミ太郎:(いや、笑っているのか?)
……
セミ太郎:(まてまて!)
嗤 っ て い る
そう気づいた瞬間、にぶい音がなる
ぼきゃ!!
凄まじい肉球の圧により砕かれたのだ
セミ太郎:「ひぎゃーーーー!」
セミ太郎101回めの大暴れである
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しばらくの時間が流れが経った
とっくにミーちゃんの姿はなかった
セミ太郎:(はぁ、はぁ……)
もはや虫の息である
何かが近づいてくる
セミ太郎:(死神でも迎えにきたか)
死神?:ノート
死神?:ネタ、ドウシヨウカナ
死神?:フォトギャラリー、ドウシヨウカナ
死神?:ナニカ、ナイカナ?
死神?:アッ!
すでにセミ太郎は力尽きていた
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飼い主:「さて、記事も書いたし、あとは見出し画像どうしようかな〜」
飼い主:「そうだ、みんなのフォトギャラリーを使ってみよっと」
好奇心旺盛なミーちゃん、もちろん覗きこむ
ついつい、ミーちゃんは思いっきり叫んでしまった
ニ゛ャーッ
〜おしまい〜
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お読みいただき、ありがとうございました。
本当はね、恋愛エッセイ風の短編ストーリーを書くつもりだったんですよ。
……何なんだ、このコントは orz
はあ、エッセイ執筆の道のりは遠い
ちなみに写真のセミは3時間後に消えてました。
撮影時には発動しなかったんですけどね〜。
【辛島信芳の著書】
IT技術などに興味のある方は、是非ご覧になってください