VS魔女の雑草

なかなか文量のあるインタビュー記事だった。
ある食糧危機の原因に対処する学者さんたちの奮闘。

元記事、読み応えあって面白いのでお時間ある方は是非読んでほしいのだけれど、以下かい摘んで書いてみるね。


アフリカではある寄生植物が問題になっている。
『魔女の雑草』の異名を持つストライガという植物。
こいつはトウモロコシなどの穀物の根に寄生してその栄養を吸い取って枯らしてしまうらしい。
年間の被害は1兆円にものぼるそうで、放置すれば食糧危機は必至。

画像1

(一面に咲くストライガの花。美しい光景だがこれは人類が食糧を奪われたことを意味する……)

ストライガの駆逐が難しいのはその巧妙な生存戦略にあるという。
やつらは0.1mmほどの埃のような極小の種を大量に産出。
それは風にのって広範囲にばらまかれる。
降り立った種は発芽し穀物への寄生を開始するのだが、付近に寄生できる植物がない場合は種のまま何年も待機状態になるそうな。
当然後から穀物が植えられた場合、即座に感知して寄生を開始する。

こんな始末なので一度土地が汚染されてしまうともうそこで作物は育てられないのだろう。まさに魔女の雑草。

巧妙な寄生メカニズムですが、実はストライガにはひとつだけ弱点があります。発芽する前の種の状態なら何年でも生きているわけですが、一度発芽したら、宿主への寄生を成功させないと、1週間くらいで死んでしまうのです。この弱点を利用してストライガ駆逐の方法が考え出されました。『自殺発芽』という方法です

こちらは名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所の土屋雄一朗特任教授の言葉。
日本の研究者がストライガ撲滅のために動いてるのだ。

自殺発芽という方法自体は昔アメリカにストライガが侵入した際に取られた方法らしい。
作物を植えていない汚染された土地に、ストライガの発芽を誘発する物質を撒き、強引に発芽させて枯れさせる。
当時のアメリカではエチレンガスで行ったそうな。
でもエチレンガスは軽いので空中からヘリで撒くとはいかないので、一定間隔で地中に注入するという地味で大変な作業を頑張ったらしい。

しかし、今回はアフリカの広大な大地。
コスパも良くしないととてもじゃないがこなせないと。

そこで土屋さんたち研究チームはストライガを調べ上げてその受容体にのみ反応する分子を探し、ついに自殺発芽誘引分子、SPL7(スフィノラクトン-7)を完成させる。
これを水に混ぜて散布すればいけるだろうと。
現在ケニアで実地試験中とのこと。


だいぶ端折っちゃったけど概要はこんな感じ。

すごいよね、日夜私たちの知らないところで危機に対応してくれてる人達がいる。
食糧危機って人類滅亡シナリオのうちの一つ。
それをこうやって文字通り芽を摘んで対処してくれてるわけだ。

ストライガの方の生存戦略もすごい。
どうやって進化したらこんな巧妙な戦略を取るようになるんだろう。
科学技術がなかったら対処できないところだったね。

研究をがんばってくれてる学者先生たちに感謝しながらコーンスープをいただくことにしよう。




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