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人のこころとからだ まとめ

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私たちの「こころ」や「からだ」について書いた文章をまとめています。こころとからだは、一つの現象の二つの現われであると思っています。人という営みは、個人のこころとからだを通して、多…
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2024年3月の記事一覧

いつかの言葉【マザー・テレサ】

「愛憎」などという言葉があるように、「愛」と言うとその反対の感情として「憎しみ」というものを思い浮かべがちですが、愛の反対は「無関心」だとマザー・テレサは言います。 人間は複雑な感情を抱く生き物ですから、愛といってもいろんなカタチを取るのでなかなか捉えどころがありません。 ですが自分の感情の記憶を呼び起こしてみても、愛と憎しみが絡み合って混在するようなことはあっても、愛と無関心が混在するというようなことは、ちょっと想像できません。 愛も憎しみも、その対象に対して非常に強

暮らしの体育

野口整体は「療術」ではなく「体育」というのがその立ち位置なのですが、創始者である野口晴哉(はるちか)は、たびたび「女子の体育」ということを提唱していました。 現代の日本で「体育」あるいは「運動」と言ったときに、多くの方がイメージされるのは「競技体育」のイメージではないかと思います。 「競技体育」というのは、それぞれが持てる体力や技術を出し合って競い合い、その優劣をつけて愉しみ、そして切磋琢磨し合う、そのようなからだを育てようという体育です。 それはある意味「競うからだ」

より大きな何かのために

ライアル・ワトソンの『未知の贈りもの』という本に、インドネシアの夜の海でのエピソードが出てきます。 真っ暗な夜の海に船で浮かんでいると、さまざまな色に変化する不思議な光のパターンが現われ、やがて船をすっかり取り囲んだ。 それは無数のイカの群れだった。 その光は、船のデッキを歩く人の動きに沿って波打ったり、一人が咳をすると驚いたかのように脈打ち始めたり、まるで全体が一つの生命体であるかのように、デッキ上の人間の動きに合わせてセンシティブに反応していた。 その不思議な光景