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【2025.02アップデート】Appier Group企業分析
こんにちは、KARAKINGです。
はい、Noteの更新2年サボってました。
そんな2年間でも、いまでもNoteを見てくれる方がいてくれていてありがたい限りです。
こんなにも見てくれる方がいるのと、今中小企業診断士の勉強しているので、勉強がてら企業分析を更新していきます!
前回記事
■業界各社比較
まずは同業界の各社比較をアップデート!
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パート①:AppierGroupをアップデート。
相変わらず「え!?AppierGroup?どこ?」だと思います。
AppierGroupは2012年に台湾(台北)で設立され、2019年に日本オフィスのある会社を買収、その後2021年に東証マザーズ、2022年に東証プライムに指定替えをした企業です。
「時価総額1000億円超のユニコーン企業!!」
大規模なエンタープライズを顧客としているので、我々消費者にはなじみが無いのです。読み方は「エイピアグループ」です!!
■AppierGroupの企業情報
2024年12月期も29%の高成長、来年度も高い成長予想。
AIブームは更に拡大しています。後述しますがChatGPTなどの生成AIと領域が少し違うので、まだまだまだ成長続ける見込みです。
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以前はグロース企業らしく、収益を投資に全振りしていましたが、今や堅調に利益を稼ぎ出しています。売上の伸びに対して販管費をうまくコントロールしています。AI企業だけあって社内業務の効率化と生産性を向上。
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■AppierGroupの事業内容
AppierGroupはマーケティング領域に特化したサービスを展開しています。
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AI搭載マーケティングプラットフォームの構築を目指す
【広告クラウド】
CrossX:機械学習とディープラーニングを活用し、ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換。
【データクラウド】
AIQUA:AIによってパーソナライズされたメッセージを、最適なタイミングで様々なコミュニケーションチャネルを活用してエンドユーザーに届け、エンゲージメントを向上。
BotBonnie:LINE、Facebookメッセンジャー、Instagram、WhatsAppなどのプラットフォームで、会話型マーケティングソリューションを提供し、フォロワーのポテンシャルを最大限に活用。
【パーソナライゼーションクラウド】
AiDeal:機械学習と深層学習を活用し、ユーザーの行動パターンから購入をためらうユーザーを予測し、それらのユーザーに限定してインセンティブを提供することで、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現。
AIXON:自動構築される機械学習モデルを活用し、ユーザーの行動を全方位的に予測。社内にAIテクノロジーシステムを構築する手間をかけることなく、自社が保有する消費者データの有効活用を実現。
さらには、フランスの「AdCreative.ai」を買収し、生成AIによるコンテンツ制作エンジンも加え、AppierGroupのAI搭載マーケティングプラットフォームの構築が一歩前進。
また、買収により「ハーゲンダッツ」や「フィリップス」といった大口顧客も獲得。
上記の通り、マーケティングに特化したプロ集団といった印象。
顧客には、資生堂・カルフール・ピザハット・トヨタなど、大手企業でも採用されていて顧客も毎年増加、現在は1800社超。
■SWOT分析
S:強み (Strengths)AIネイティブなソリューション:
技術メンバーは世界中から集めた優秀なエンジニア集団
・クロスチャネルマーケティング、データ分析、予測、自動化といった領域で高度なAI技術を活用しています。論文も多数出稿しています。
統合プラットフォーム
・複数のソリューションを単一のプラットフォームで提供することで、
データのサイロ化を防ぎ、企業全体でのデータ活用を促進しています。
・Appierのプラットフォームを通じて、マーケティングからセールスまで
一貫した顧客体験を設計・実行・分析できます。
グローバル展開と多様な顧客
・全17拠点で世界に展開。アジア太平洋地域を中心にグローバルに事業を
展開しており、多様な業界・規模の顧客基盤を有しています。
テクノロジーだけでなく、コンサルティングやサポートを含めた包括的なサービスを提供しています。
W:弱み (Weaknesses)比較的新しい企業:
2012年設立と、比較的若い企業であるため、長年の実績を持つ大手企業と比較すると、ブランド認知度や信頼性の面で劣る可能性。
市場での競争が激化する中で、より一層のブランド力強化が求められる。
AI技術への依存:
AI技術がソリューションの中核であるため、AI技術の進化や変化にビジネスが大きく影響を受ける可能性があります。
常に最新のAI技術を取り入れ、ソリューションをアップデートしていく必要があります。
価格:
高度なAI技術を活用したソリューションであるため、中小企業にとっては導入コストが高く感じられる可能性があります。
価格に見合う価値を明確に伝え、幅広い顧客層にアプローチしていく必要があります。
O:機会 (Opportunities)DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速:
多くの企業がDXを推進しており、AIを活用したマーケティングや顧客体験ソリューションの需要は増加傾向にあります。
Appierのソリューションは、企業のDX推進を強力にサポートするものとして、市場での成長機会が大きいです。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)市場の拡大:
顧客データの統合・活用ニーズの高まりに伴い、CDP市場が拡大しています。
AppierのプラットフォームはCDPとしても機能するため、市場拡大の恩恵を受けることができます。
グローバル市場の成長:
特にアジア太平洋地域はデジタル市場の成長が著しく、Appierのグローバル展開にとって追い風となります。
新興国市場におけるデジタル化の進展も、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性があります。
AI技術の進化:
AI技術は常に進化しており、Appierは最新のAI技術をソリューションに組み込むことで、更なる機能向上や新たな価値提供が期待できます。
T:脅威 (Threats)競争の激化:
マーケティングテクノロジー市場は競争が激しく、国内外の多くの企業が類似のソリューションを提供しています。
競争優位性を維持するためには、常に技術革新を続け、差別化を図る必要があります。
景気変動:
世界経済の景気変動は、企業のIT投資に影響を与える可能性があり、Appierのビジネスにも影響を及ぼす可能性があります。
特に、不景気時には企業のコスト削減志向が高まり、IT投資が抑制される傾向があります。
技術革新のスピード:
AI技術の進化は速く、競合他社も常に新しい技術を取り入れています。
技術革新のスピードに遅れると、競争力を失うリスクがあります。常に最新技術をキャッチアップし、自社のソリューションに反映させていく必要があります。
規制の変化:
個人情報保護に関する規制など、データ利用に関する規制が強化される傾向にあります。
規制の変化に対応し、法令遵守を徹底する必要があります。
人材獲得競争:
AI技術者は需要が高く、人材獲得競争が激化しています。
優秀なAI人材を確保し、育成していくことが重要になります。
■財務分析
高い成長と財務コントロールがとても上手い。
IR資料もクオリティが高くて、上場が日本市場ってだけで、グローバル企業ですからね。。経営管理メンバーが優秀過ぎます。
成長性 ★★☆
売上高成長率:29%増加
顧客獲得数:YoYで15%増加
※2027年には売上2倍を目指していますし、会社の実力は十分だと思います!
唯一の懸念は優秀な人材を採用できるか?なので★2.5にしました。
効率性 ★★★
売上総利益率:50%以上キープ、粗利益が高い=強い商品力
営業利益率:改善。効率化による生産性の向上が見て取れる(本業だけに)。コストコントロールがとても上手い印象。
安全性 ★★★
自己資本比率:76.9%。安定した財務基盤。
手元流動性:1,801.7億円を維持
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■PKSHA Technologyとの比較
個人的には純国産(東大発)PKSHA Technologyにも頑張ってもらいたくて、AppierGroupと競合するのか気になったので調べてみました。
■相違点
・Appier Group
マーケティングに特化したAIプラットフォームを提供する
・PKSHA Technology
AIソリューションとSaaSの2つの形態で、業務全般を対象とし、
特にコンタクトセンター領域に強みを持つ。
■取引顧客の比較
・Appier Group
年間売上100億円以上の顧客が売上収益の90%以上を占める。
大規模なエンタープライズ顧客に注力。
Eコマースとデジタルコンテンツ業界に強み。
様々な業界におけるマーケティングのベストプラクティスを持つ。
•PKSHA Technology
エンタープライズ企業を中心に3,000社を超える企業にAI技術を提供。
コンタクトセンター業務、社内ヘルプデスク業務など、様々な業務で
24時間365日稼働するAIアシスタントを提供。
大手金融機関、信託銀行など、大手企業との取引実績がある。
相違点: Appier Groupは大規模エンタープライズ顧客のマーケティング領域に特化し、PKSHA Technologyはより幅広い顧客基盤と対象業務を持つ点が異なります。バッティングは少ないと考えられますね。
■生成AIはAppierGroupの事業に影響を与えるか
■AIでマーケティングの何が変わる?(再掲)
従来のマーケティング領域では、
・集客、
・顧客属性によるセグメンテーション、
・顧客属性ごとに複数のチャネルを組み合わせた広告
・ステップメール、キャンペーン広告、アプリ
・チャットやコールセンターによる顧客接点
・購買履歴やコンタクト履歴を統合(CDP:カスタマーデータプラットフォーム)
といった様々なツールを駆使して、プロのマーケターが各ステップの最適なアプローチを検討してきました。そのためにはプロのマーケターを採用、育成が必要です。特に日本ではマーケター人材が足りず、企業の悩みの種でした。
AIによって、今までは「これぞプロ!」というマーケターのノウハウをAIで代用することを実現しています。
日本のAIベンダーも、需要予測や顧客のセグメンテーションなどマーケティング領域でのデータ分析とAI化に力を入れていますが、AppierGroupの大きな特徴は「各種ツールにAIを実装している」ことだと思います。
さらに、従来は「人がやっていた知見をAIに代用」でしたが、
最近のトレンドであるジェネレーティブAI(ChatGPTもジェネレーティブAI)を取り入れて、広告やコンテンツ・画像などのアイデア出しもAIにやらせてしまおう、という新しい取り組みにも力を入れていくということです。
■AppierGroup強みのまとめ
・時価総額1000億円を超える豊富な資金力
・積極的な投資による圧倒的な成長(売上・従業員・技術力)
・はじめからグローバル展開
・まだまだ伸びしろのあるマーケティング領域
・研究開発を経て、プロダクトをリリースしている
・M&Aの実施、生成AIの活用(NEW)
2022年に上記の通りまとめましたが、フランスの生成AI企業も買収し、絶賛爆速成長中ですね。
今まで何となくプロっぽくやってきたWEBマーケティング会社なんかは競合としてめちゃめちゃ怖い存在でしょう。
→と思いましたが、AppierGroupは大規模エンタープライズ顧客向けなので、国内のWEBマーケティング会社は競合にはならないですね。
■投資判断
※Goolgle Gemin先生による投資判断アドバイス(責任は取りません)
企業分析・財務指標分析を踏まえ、AppierGroupへの投資判断を再度アドバイスさせていただきます。
依然として成長投資の側面が強い
財務指標からは、AppierGroupは高い成長性を持つ一方で、収益性はまだ改善の余地がある成長投資段階の企業であることが改めて確認できました。
ポジティブな点
高い売上高成長率:市場成長を上回るスピードで売上を拡大しており、成長余力は依然として高いと言えます。
高粗利率:売上総利益率は非常に高く、ビジネスモデルの強さを示唆しています。
健全な財務体質:自己資本比率、流動比率が高く、財務安全性に問題はありません。
高いPBR:市場は将来の成長に期待しており、株価上昇のポテンシャルを秘めていると考えられます。
注意すべき点
利益の不安定さ:営業利益、ROEはまだ低い水準であり、今後の利益成長が株価を左右する重要な要素となります。
競争激化:マーケティングテクノロジー市場の競争は激しく、Generative AIの台頭など、外部環境の変化に事業が影響を受ける可能性があります。
景気変動の影響:景気後退局面では、企業のIT投資が抑制され、業績が悪化するリスクも考慮すべきです。
株価のボラティリティ: 成長企業の特性として株価変動リスクは高く、短期的な株価下落も想定しておく必要があります。