本気でクソデッキ調整録〜ズアーとの2年間の歩み〜
好きなカードはありますか?
私はある。
(MTGアリーナBO3スタンで、クソデッキしか回せない病に罹っている)筆者は、コンセプトカードが好きだ。
ドローロックする。というコンセプトで、当時のスタンに一石を投じた《ズアーの運命支配》。当時のキッズ達(現おじ達)は気になって仕方なかった。「ズアーって誰!?」
そう。《ズアー》というカードは、本人よりも魔法(エンチャント)が先に世に出て、しかも有名になってしまったのだ。
そして満を持して登場した《結界師ズアー》。
ドローロック系ではなく、エンチャント寄せ⁉
なのに、なぜ3マナ以下⁉
《ズアーの運命支配》が引っ張って来れないじゃないか!!
…思い出話に早口オタクと化してしまったが、今回の本題とは一切関係ない。
『団結のドミナリア』にて収録された《永遠の策謀家、ズアー》が今回のクソデッキの主役だ。
郷愁という名のバイアスに踊らされながら「メタに合っている(キリッ」と無理やりこじつけて擦り倒した調整録、お楽しみ頂ければ幸いだ。
1.団結のドミナリア期
最近だと《ケアヴェク》が該当するが、まさか生きてると思っていないキャラクターの再登場は熱い。
不老キャラクターは、はっきりとした死亡描写が無い限りいつでも再登場しうる。MTGの積み上げてきた歴史の強みであり、MTGおじホイホイである。
『団結のドミナリア』期、BO3スタンの特徴は『黒い』『3/3』『追放除去』辺りだ。
《しつこい負け犬》と相打ちできる3/3サイズであれば、カードカウントとして扱える。そこにデッキとして追放除去を備えれば、上位メタデッキと渡り合えそうだ。
…もっさりしてんなぁ。。
3マナ域、脅威の19枚。デッキの1/3は3マナ域である。全体除去を備えず、愚直に1対1交換を繰り返すデッキでの致命的な欠陥。
3〜5T目は、除去を撃っても1挙動しか取れず、相手の繰り出す脅威に対しジリ貧だった。
1挙動のもっさり感を埋めるべく《神聖なる憑依》で擬似的な2挙動を目指したのだが‥
自分にとってのベストムーブが、先手なら圧勝。後手だと圧敗。
しかし、後手では《リリアナ》のお手玉である。
環境トップは黒いデッキ。エンチャントに触られづらいので、《神聖なる憑依》が稼働すれば勝てる。先手なら勝てるのであれば、一応の存在意義はあるか…
自分へ言い訳し、誤魔化しながらもクソデッキとして楽しんでいた。出来れば2マナ域の補強が来ないかな。《監禁の円環》の互換パーツとか。そうしたら、後手からテンポを捲り返せるようになるのに‥
2.兄弟戦争期
なんの成果も!!得られませんでした!!
いきなりだが、エンチャントデッキにおいて、特にカードプールは広がらなかった。『兄弟戦争』はアーティファクトを用いた戦争のセットなのだから当然である。
カードプールが広がらないなら、それはそれでやる事はある。黒いデッキが環境トップなのは変わらず《神聖なる憑依》は対抗戦略足り得る。『テンポが悪い』という欠陥は認識している。それを補うものを学べばいいのだ。
メダリオン効果ならば、もっさり感への特効薬となる。速度も対抗戦略も確立した。これはキタんじゃないか⁉
もっさり感が軽減されても、4色は事故るだろ!!
キテるのは筆者の頭である。
一応、ブン回りの強さは際立つようになった。
リミテ番長《語られざるものの警告》の裏面は0/0。マナ総量は表面を参照するので5。自身がクリーチャーであろうと《ズアー》能力を使えるので、5/5+αの接死・絆魂・呪禁・飛行・トランプルの化物となる。
メダリオン効果で5マナまでたどり着き易くなった&展開力が増してⅡ章が強くなった。ブン回りの強さで際立つポイントだった。
まぁ、真の化物達の前では只のクソだったが。
禁止カードとして名高い3種。グリクシスミッドレンジは『兄弟戦争』期に隆盛を迎えた。
後手で、上記カード群を順番にプレイされるだけで壊滅。特にクリーチャーとエンチャントをもぎ取る《絶望招来》はまさに絶望。
グリクシスミッドレンジをメタった結果、このクソデッキではある。サクる種としての《神憑く相棒》。2/2ゴブリン・シャーマン・トークンをブロックする《達成》。《絶望招来》がそよ風となり得る超展開《神聖なる憑依》。
一応、トップメタのカードへの対抗戦略は成立していた。しかし、色事故でそんなに勝率は出なかった。
次のセットは、何をもたらしてくれるのだろう。
3.ファイレクシア:完全なる統一期
なんの成…
いや待て諦めが早い。確かに、ファイレクシアセットなのだから、比重がアーティファクトに偏るのは分かる。しかしそれでも、掘り出し物はあるはずだ。
だが残念ながら、オーラは《ズアー》能力対象外なのだ。
何かがあるはずだ。クソデッキを昇華させるパーツは、意外なところに…
《監禁の円環》《仮初めの時間》《力線の束縛》追放除去のエンチャント群、効果が倍。
《神憑く相棒》倍。
なるほど⁉統率者戦即禁止が囁かれただけの事はある。(風評被害)
なお、《神聖なる憑依》と『各種英雄譚』は《機械の母、エリシュ・ノーン》は無関係だ。
メダリオン効果無しで5マナは、ある程度重い。何かしらのマナサポートが欲しい。カードタイプがエンチャントで、マナサポート役…
テメェら俺のことボケてると思ってんだろ
篁さんは最高のキャラクター。
白緑黒青デッキで事故る、という話をしたにも関わらず、何故そこに赤のマナサポートを加えにいくのか。ボケてると思われても仕方ない。実際、正常な判断能力を失っているなと筆者自身も感じていた。狂気。
当然事故る。ろくでもない戦績だった。
しかし、狂気に落ちることで見えてくる事もあった。
《鏡割りの寓話》は、クソデッキに入れても強い。MTGと相性が良い。
《機械の母、エリシュ・ノーン》はつよわい。
《力線の束縛》と《ズアー》の組み合わせは、フェアからアンフェアに半歩踏み出している。
1.は当然なのだが、まぁ強かった。
《鏡割りの寓話》はⅠ章でアタック出来ればマナサポートし、Ⅱ章でルーティングすれば5色デッキを円滑に回す。クソみたいなマナベースを支えた。《鏡割りの寓話》のせいでクソみたいなマナベースになる事実には目を背ける。
時系列が後の話だが『プロツアー・機械兵団の進軍』にて、赤黒青の3色デッキが《鏡割りの寓話》を3T目に出す為、赤黒2色にまとめたそうだ。後付けだが、本調整録は完全に逆行しており、筆者の調整能力の無さが浮き彫りになっている。
2.は《機械の母、エリシュ・ノーン》が、単騎でフィニッシャー足り得ないという話だ。
5マナは軽くないコストであり、必然ゲームを畳む能力が求められる。しかし《黙示録、シェオルドレッド》の前でもじもじする様を見ると「ストーリーではさっくり処してたのに…」と悲しくなる。
他のカードとのかみ合い、特に対戦相手への抑圧が絡むと非常に強い。《機械の母、エリシュ・ノーン》は、自分のメインボードでのシナジーを目的に採用するのでは無く、相手への抑圧を期待しサイドボードから投入すべきと結論付けた。
3.は大きな学びだった。1マナで投下した《力線の束縛》が《ズアー》により『6/6接死・絆魂・呪禁』と化す。
5色デッキは事故率が高い。しかし《鏡割りの寓話》以外にも5色にするメリットが存在した。
4.機械兵団の進軍期
デッキリスト進捗無し。
採用候補は下記2種。
《鏡割りの寓話》Ⅱ章があってなお、4T目で墓地にエンチャントが落ちづらい。
オーラは採用無く、バトルを裏返すほど攻撃的に振る舞えない。
収穫が無かったのは残念だが、それ以上に大きなトピックがあった。
親の顔より見たメンツ。
環境の前提は崩れ、群雄割拠の時代へと突入する…
5.決戦の後に期
禁止制限の後に。絶対王者陥落後、クソデッキは何を手に入れたのか。
オーラは不採用なので、白緑エンチャントデッキほどの即時性は無い。それでも星座能力は強力な上、サボタージュ(本体ダメージ)能力はコピーしたいもので溢れている。これは行けるのでは⁉
喉首狙い、減ってる気がしないんだけど!!
『黒除去に対して弱い』というのは、除去耐性を持たないクリーチャーデッキ共通の悩み。それでも《絶望招来》亡き今、黒除去の絶対数は減っているはず。そう思っていた時期が、私にもありました。
実際にはエスパー/青黒のミッドレンジを始めとし《喉首狙い》は無限に飛んできた。なんで対象外がアーティファクトクリーチャーなんだろう?恐らく同じ怨嗟を吐きながら衰退していった白緑エンチャント使い達、仲間はここにもいるぞ。
6.エルドレインの森期
ローテーション落ちの無いスタン、個人的にはかなりのワクワクだった。先だって述べたように、禁止制限により圧倒的一強はおらず多様性があった。赤単や青白兵士などの高速デッキ。黒軸ミッドレンジ。遅さ担当5色版図。自身の好きなゲームレンジで戦える選択肢が用意されていた。さて、クソデッキは何を選ぼうか。
後に下環境で禁止となる程のカードパワー。その禁止の一翼を担った《力線の束縛》もスタンで利用できる。
エンチャントデッキでも、遅いデッキが組めるか。アド源、除去、フィニッシャーに加えてズアーがいればもしくは!?
‥まだちょっとカードが足りないな。
《太陽降下》を初めて組み込んだのだが、フィニッシャーとの適正がいまひとつ。
《神聖なる憑依》《機械の母、エリシュ・ノーン》は、自身の後にエンチャントを展開して強くなる性質。すべてのクリーチャーを流す《太陽降下》との組み合わせはいまひとつ。《アトラクサ》のように、単独でゲームを畳む能力が不足していた。
7.カルロフ邸殺人事件期
諸君、私はアンフェアが好きだ。
マナを誤魔化して展開した時など心がおどる。
…あまりにこの段落に気が逸って、エキスパンションをひとつ飛ばしてしまった。
0マナや1マナで展開したエンチャントを《ズアー》でクリーチャー化した時など、絶頂すら覚える。
アンフェアの体現者。4/4や6/6が接死・絆魂・呪禁となるのは脳汁ものだった。
また、本デッキリストのみサイドボードをちゃんと書く程度には、サイドが強かった。
緑青赤土地コンボ、白赤召集はそれぞれキーカードを得て一世を風靡した。
2〜3マナでのキラーカードをサイドに搭載でき、デッキとしての総合力が高まった。
正直、この段落で調整録を終えてもいいのだが、一応最後もお付き合いあれ。
8.サンダー・ジャンクションの無法者
《ラクドスの加入》がクリーチャー化するのがコンボ条件に含まれる。《ズアー》でクリーチャー化すれば《アブエロの覚醒》が不要になる、という事か。
…揃わねぇよ!!
墓地肥やしが貧弱過ぎてデッキでは無かった。
だが、それだけで墓地に2種のコンボパーツを落とす、というのは都合が良すぎた。
《巨体変異》がアーティファクトクリーチャーなのも、デッキ的な美しさを欠いた。エンチャントならば…ないものねだりである。
9.おわりに
以上で本調整録は終了だ。お楽しみ頂けただろうか。
賛否両論から始まった3年ローテーションのスタン。筆者は非常に楽しめた。
もう目前にブルームバロウが迫っており、次はどんな出会いが待っているのか。とてもワクワクしている。
去りゆくエキスパンション達よ。ありがとう。楽しかったよ。