EMSを使うと筋肉はつくのか否か
EMSとは
EMS(Electrical Muscle Stimulation)は、電気刺激を使って筋肉を収縮させるトレーニング法です。この記事では、EMSは効果がるのか?EMSのメリットとデメリットについて具体的に解説します。EMSは多くの人々に注目されており、その効果については様々な議論があります。まずは、結論から申し上げましょう
参考資料;https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/54/10/54_764/_pdf
結論;自力での筋収縮が出来ない・苦手な場合は効果が高く、それ以外では大きな効果は期待できない
これはEMSのシステムの大きな特徴と言えます。電気信号を使って筋肉を収縮させます。ここに意識的な操作は必要ありません。EMSの機械が強制的に筋収縮をさせる為に『意識的に筋収縮が出来ない人』『筋肉の感覚が鈍感な人』『麻痺などで運動神経が上手く働かない人』『寝たきりの人』等の
【筋肉を上手く動かせない人】を対象にした場合にはとても大きな効果を発揮します。
この他にも、運動は出来るけど感覚が鈍い人にEMSを使用しながらのトレーニングも効果的です。この場合専門的な知識が必要なので、トレーニング知識が豊富なトレーナーに依頼しましょう。
効果が低いパターン;筋力が十分にありトレーニングに使用しない使い方
一番の最たる例は、寝たままのEMSの使用です。先ほどのように『寝たきりの人の筋出力向上』には効果がありますが、『普段自力で動ける人』が寝たまま筋肉をつけるような目的での使用は、一時的には効果が出ますが、その後は大きな効果が継続して出る事はありません(よくある寝たままダイエット的な使用法です)
これは『トレーニングの三原理・五原則』からも逸脱しているからであり、かつ体の変化とは常に一定の刺激では不可能だからです
腹部にEMSを使用する事によって、一時的に腹筋が過収縮を起こすことで代謝に使うエネルギー不足に陥り腹部周辺の体脂肪を優先的に代謝させていきます。
結果最初の間は復囲の減少が起こり痩せる状態が起きる場合もありますが、継続して続ける事で効果はほとんど無くなります。
その間の『生活習慣は変化していない』ので、EMSに体が適応した段階でまた逆戻りになるパターンも考えられます
EMSの効果的な使い方①;トレーニング前のウォーミングアップで使用する
これは後述するメリットにも含まれる内容になりますが、先に解説しておきましょう。
トレーニングで重要なのは筋肉のモーターユニットをいかに上手く使えるかが大事になります。これをEMSを使用する事でモーターユニットを活性化させ、トレーニングの筋収縮を円滑に行う事が可能となります
ただし、収縮速度(周波数)が高すぎると筋疲労を起こしパフォーマンスが下がる事もあるので注意が必要です。
EMSの効果的な使い方②;トレーニングと併用して使う
2つ目は『トレーニングをしながらEMSを使う』という方法です。どういう事かと言うと
例えば、『スクワットの際に、臀部、大腿部にEMSを使用する』というものです。筋収縮を無理やり起こしながら、更に負荷をかける事で筋肉の疲労を早め、トレーニング時間を短縮する事が可能です
しかし、これにはトレーニング自体の熟練度が必要なので初心者の方にはおススメできない方法です
ここまでに、EMSについて色々見てきましたが最後にまとめとしてメリット・デメリットをいくつか挙げておきます
それでは、まずはEMSのメリットから見ていきましょう。
メリット
時短で効率的なトレーニング:
EMSは、短時間で効果的なトレーニングを行うことができます。通常のトレーニングと比較して、EMSでは同じ筋力向上の効果を得るために必要な時間が短くなる場合があります。忙しいスケジュールを持つ人々にとっては、貴重な時間を節約できる利点があります。
筋肉の活性化:
EMSは、筋肉を直接刺激するため、深部の筋肉まで効果的に活性化することができます。これにより、通常のトレーニングでは刺激しにくい筋肉群を効果的に鍛えることができます。
怪我のリハビリテーション:
怪我をした筋肉や関節を避けながら、EMSを使って筋肉を刺激することができます。これにより、怪我のリハビリテーションを効果的に支援し、筋肉の落ちた部位を強化することが可能です。
筋力維持:
けがや病気によって運動できない期間、または高齢者などの筋力が低下しやすい人々にとって、EMSは筋力を維持するための有効な手段となります。筋肉の刺激を与えることで、筋力の低下を抑制し、身体機能を維持することができます。
デメリット
筋力の増加に限界がある:
EMSは筋肉を直接刺激するため、一定の筋力向上効果が得られますが、本物の重量トレーニングなどと比較すると、筋力の増加には限界があります。特に、競技力を向上させるためのトレーニングとしては、その効果が制限される可能性があります。
費用:
EMSの機器やセッションの費用が高額な場合があります。特に、高品質の機器を使用する場合や、定期的なセッションを受ける必要がある場合は、経済的な負担となる可能性があります。
効果の個人差:
人によってEMSの効果が異なることがあります。個人差や体質によって、同じプログラムを受けても効果が出にくい場合があります。また、一部の人々には、EMSの刺激が不快に感じられることもあります。
まとめ
EMSは効率的なトレーニング手段として注目されていますが、その効果や利点には限界があります。
ここではっきり言える事は『筋収縮をする能力や筋出力の改善にはなる』がそれ以上の『筋肉の増加は難しい』と言えるでしょう
やはり筋肉量を増やすには、個々の目標や体質に合わせて、適切なトレーニング方法を選択することが重要です。それに合わせてEMSを活用する際には専門家のアドバイスを受けることや、適切なトレーニングプログラムを設計することが大切です。