身体感覚の形あれこれ 線という形
※11/21(木)に予定していた甲野善紀先生の浜松稽古は延期になりました。申し込まれた方には個別に連絡済みです。
身体感覚とは何か?と考えると、複雑すぎて迷います。私たちの「頭」はすでに、複雑な物語を理解し、緻密な画像も認識します。
身体に比べて、頭の進化は止まらず、凄いところまで行ってしまっています。
身体の感覚を考える時、手がかりは「形」です。
形とは何か?だなんて、おそらく多くの人は考えません。これ、幼稚園児が積み木で遊ぶようなものだからです。いまさら、そんな勉強したくない、必要ない、と思っています。
稽古を始めた30年ほど前、私はその「形」を頭でしか理解していませんでした。自分の身体を通して、形を維持する力を持っていなかったのです。
今、いくつかの形を見つけ、保持をする力を得て、そこに驚きを持って迎えられる事もありますが、その理由がまさか、形に集中しているからとは思われません。
だからこそ、相手の中に隙が生まれるようです。
さて、今日は「線」の話です。
身体の中に線をどう見つけるか、いくつか方法があります。
身体は「繋がっているもの」です。切り離されては存在できません。
その「繋がり」を意識し、集中する。いくつかの線が見えてくれば、線の感覚を自覚するのは簡単です。
ゲンコツを握ってみます。ゲンコツという点が見えてきます。
そのゲンコツの点をビー玉のように見て、それを手首、肘の方向へと転がします。
そして、肘から肩に上げていきます。
肩に上がったなら首の後ろに転がします。
その後、背骨に沿って降ろして、腰に溜まるのを感じます。
お尻を後ろに突き出し、踵で立てば、さらにビー玉は転がり落ちます。
足裏にまできたビー玉は親指で地面を踏む事によって、つま先に行きます。
膝を内側に絞ればつま先のビー玉は膝へと上がります。
そしてお腹を伸ばせば、へそ下にビー玉は収まります。
このビー玉の「軌跡」が線です。
いったり来たりさせず、一方通行から始めてみれば、それほど難しくありません。
身体の中にある線を見つけて、その線に「主役」を渡す。これが点から線への次元の変化です。
また、こんな線もあります。
それは鎖骨、肩甲骨、上腕骨の線。
腕の始まりは鎖骨です。のどの下あたりにある鎖骨。
そこからビー玉を転がします。
胸が開くように外へとビー玉は転がります。肩にぶつかった後、ビー玉は背中に回り、肩甲骨の三角内側を回るようにして、上腕へと行きます。
ポイントは肩甲骨。慌てて、鎖骨から腕へと行かないように気をつければ、骨という確かなものによって、ビー玉の軌跡が見えてきます。
線の身体感覚が磨かれてくれば、より小さい線も見えてきます。
線が出来ればそこに「方向」が現れてきます。
背骨には腰椎があり、5つそれぞれ、違った方向を持っているのが分かってきます。
腰椎の1番と5番では得意な方向が違います。ある方向へと行きたいなぁ、と思ったならば、そこにまず腰椎を揃える。負担なく動こうと思った時にはこれが非常に大切になります。
これだけ「合理的」が求められる時代なのに、身体が勢いを向けている方向にはほとんど興味が向けられていません。もったいない事です。
また、腰椎のような小さな線だけではなく、もっと大きな線も見えてきます。
それは「時間」という線です。
過去から未来へと続く線。それを身体感覚で捉えられるようになれたならどれだけ楽しいだろうか・・・そんな想像をぜひ、してもらいたいものです。
知識という点は得られるようになりましたが、そこに線を作るにはちょっとだけ線に対する意欲が必要です。
生まれてからの時間だけではなく、父や母、祖父や祖母、先祖を合わせた家の時間、また、歴史という学び方から見える国の時間。そして、人類へと至るまでを表す生命の時間。
地球が生まれてからの時間、宇宙が生まれてからの時間、膨大な時間であっても、そこにあるのは線というシンプルな形です。
きっと、歴史好きな人は自然と線の感覚を持っているのでしょう。
私はそうではありませんでしたが、後天的に線の力を知り、興味を持てるようになりました。
そして、その直線的な線の中に感情的な波が見えてきたりもします。
勢いというのも線の力。線が波へと形を変えていくのが感じられてきます。
点が分かるからこそ、線が分かってきます。
すでに複雑なものを知っていても、それは高機能な脳に任せての結果です。
上から降りていく時、複雑な形をシンプルにしていく作業はなかなかに大変です。
しかし、点から始まる作業は簡単です。
点を繋げれば線になるから、疑う事は必要ありません。
ただ、複雑な脳にとってこの単純な作業は面白くないかもしれません。
だからこそ、ここにマニュアルやルールは似合いません。
生命が試行錯誤でこの身体にまで至ったように、それぞれがそれぞれの興味を使い、点と線を試し続ける。
すると出来上がってくるのは面の世界です。縦糸と横糸が出会い続ける事で生まれて来る織物のように面の世界が生まれてきます。
面の世界は思考の世界です。
三角形のように「閉じた世界」が心に安心を与えてくれるのかもしれません。
次回は面の話をしていきます。
※甲野先生の名古屋稽古近づいてきました!
ぜひ、ご参加ください!
「甲野善紀先生の名古屋稽古」
稽古日時:11/17(日) PM1:00~PM3:30
稽古場所:浄泉寺
会場住所:名古屋市緑区鳴海町字上中町9
アクセス:名鉄本線鳴海駅から徒歩5分
参加費:8000円
※11/21(木)に予定していた甲野善紀先生の浜松稽古は延期になりました。申し込まれた方には個別に連絡済みです。
参加資格はありません。見るだけ、聞くだけでも参加可能です。
服装自由、持ち物自由、受講スタイルも自由だし、入退室も自由です。気楽にご参加いただけます。
申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/
関東稽古があります。
「つくば稽古」
稽古日時:2024/12/1(日)13:00-18:00(入退室自由)
※稽古後、おさらい稽古もあります。個別に聞きたい事があれば、ぜひ聞いてください。
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1 ←クリックでマップが開きます。
参加費:10000円
「東京ロングヒーリング」
稽古日時:2024/12/3(火)10:00-17:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費24000円(当日払い)
定員6名
「東京夜稽古」
稽古日時:2024/12/3(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
定員はありません
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円
久しぶりの浜松ヒーリング稽古です。
「浜松ロングヒーリング」
稽古日時:2024/11/18(月)10:30-16:00
会場:浜松市武道館(ハママツシブドウカン)
住所:浜松市中央区西浅田二丁目3番1号
参加費:参加費24000円(当日払い)
定員5名