掌編【切るキル見切る】
「――――我は『切る』神だ。お前たち七人それぞれに我の能力の欠片として『なにかを切る』能力持つ刃物を与えた。存分に力を振るい、最後のひとりになるまで戦うがよい」
「クソ雑なデスゲームに巻き込まれた」「雑過ぎますわね」「もうちょっとなかったの?」「なかったんでしょうなぁ」「勘弁してほしいっす」「帰りたい」「……ぬふう」
「あーとりあえず現状把握するか。お前、お前は能力なんだった?」
「『大見得を切る』ナイフですってよ」
「ハッタリで勝ち抜くタイプか……お前は?」
「僕『押し切る』包丁だった」
「営業向きだな……お前は?」
「どうやらアタシにゃ能力の告知がないようですなぁ」
「『シラを切る』か……お前は? っていうかお前さっきいたか? 誰?」
「あ、おれ『成り切る』メスでしたわ」
「変身系か……あれ? ひとりいなくね?」
「さっきシュンって姿消してたっすね」
「『逃げ切る』か……で、最後のお前は?」
「……『首切る』斧だ」
「ひとりだけガチじゃねーか。ていうかもう終わったようなもんじゃねーか」
「……そういう主はなんだったのだ」
「俺? ここまでの流れでわかんだろ『仕切る』だよ。ていうかこれどうすんだよ、ひとりだけガチ能力が居るとかもう面白味ゼロだろ。どうすんだよ。おい神様もう俺らやる気ねーよ。勘弁してくれよ」
「――――参加者たちよ、本当にやる気がないのか?」
「ないよ。頑張る余地ねーもん」
「――――左様か。ではこの物語はここでおしまい」
神は打ち切りになさった。
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