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松雪泰子さんについて考える(25)『アフリカの夜』

松雪さん出演シーンの見所:7点(/10点)
作品の面白さ:7点(/10点)
制作年:1999年(フジテレビ)
視聴方法:FOD
 
※以下、多少のネタバレを含みますが、決定的なオチや展開には触れないようしております。
 
1年前の『きらきらひかる』と同じ山口雅俊氏プロデュース作品。しかも今回も鈴木京香さんが出演(主演)。
 
さらに、山口P作品としては、『タブロイド』に続いて佐藤浩市さん・ともさかりえさんが出演。
 
この4人(鈴木京香・松雪泰子・佐藤浩市・ともさかりえ)に、室井滋さん・國村隼さんを加えた6人が主な出演者。
 
タイトルにある「アフリカ」は、この6人が暮らすアパート(マンション)の名前に由来。ご近所付き合いに巻き起こる、6人のドタバタ群像劇…かと思いきや、ラスト2〜3話でとんでもない展開に転調する。
 
転調すると言っても、そうなる伏線はちゃんとある。いや、隠していたわけではないから「伏線」ですらないのだが、あまりにもテイストがガラッと変わるので驚いた。
 
この結末をどう受け止めるかは人それぞれだと思うが、少なくとも、転調手前までのドタバタ劇はのんびり観られて楽しい。特に松雪さん演じる有香と、ともさかりえさん演じる緑は、2人共チャラチャラしているわりに憎み切れない性格で、2人に振り回される八重子(鈴木京香)の間で育まれる歪(いびつ)な友情がコメディタッチに描かれる。
 
そんな友情とも近所付き合いともつかない関係に、礼太郎(佐藤浩市)が絡んでくる。この礼太郎(佐藤)をめぐり、八重子(鈴木)と有香(松雪)の駆け引きが繰り広げられるが、これも終盤で思わぬ転調と結末を迎える。
 
松雪さんの演じたキャラクターは、なかなか売れない女優の卵。うまくいかない憂さばらしのため遊んでチャラチャラしているが、奥に秘めた義侠心が様々な場面で顔を覗かせる。これ以降の作品ではあまり見受けられない役柄。
 
冒頭に記した通り、個人的には、松雪さん出演シーンの充実度、作品の面白さとも7点といった感じ。面白かったが、何度も観返したくなるほどのシーンは正直言って無かった。予想外すぎる結末は一長一短。
 
ちなみに、この作品のBGMのひとつが、後年の同じく山口P作品『ビギナー』で使われている。しかも、第6話では室井滋さんがゲスト出演し、山口P作品として4年ぶりの共演を果たしている。『ビギナー』放送当時(2003年)、自分は『アフリカの夜』を知らなかったが、分かる人にとっては感慨深かったに違いない。

*このシリーズの記事一覧はこちら*

*松雪泰子さんについて考える(51)「歌は語れ、セリフは歌え」*

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