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果たしてニホンカワウソは絶滅していないのか〜自然に負荷をかけない調査を願って〜

このようなニュースが、ふと飛び込んできた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0dd9f294674745082a80a0137d129af2d90b3659

ニホンカワウソらしき生きものの撮影に成功したとのことだ。

個人的な見解として、仮にカワウソであるとするならば、ニホンカワウソである可能性がとても高いと考えている。

例の画像をもう一度見てみてよう。

画像2

これをみた上で日本に生息しているカワウソ以外のイタチ科の仲間の可能性は排除できる。というのも、イタチ科は小さい生きものなので、ここまで大きなイタチ科はカワウソ以外だとアナグマくらいしかいない。イタチの大きさは尻尾を含めてもおよそ50cmほどにしかならない。オコジョやテンなども、これほど大きくないのだ。

ではアナグマなのかといわれると、下の画像を見てほしい。(画像はWikipediaより)

画像2

アナグマであれば尻尾は短いのであるが、画像の生きものは尻尾が長いのだ。

次に、コツメカワウソやユーラシアカワウソなどのカワウソが捨てられた可能性について考えよう。

コツメカワウソの大きさは、記事でも触れられている通り、尻尾を含めても60cmほどだ。ユーラシアカワウソに関しては、分類上はユーラシアカワウソ亜種ニホンカワウソということもあり、映像での見分けは困難ではある。2018年に対馬でカワウソが発見された際、ニホンカワウソである可能性も指摘されたが、糞を用いたDNA調査の結果、大陸由来のユーラシアカワウソである可能性が高いと判断された。仮に飼育していたユーラシアカワウソの個体が逃げ出したとするには、高知県の大月町は人口が少ないこともあり、さすがにユーラシアカワウソを飼育できるような環境を整備できる人は少ないのではないかと考えている。同じように大陸由来の可能性にしても、対馬と比べてもわかるように、大陸からはとても遠い。さすがにここまで流れてくる事は考えにくいだろう。

そう考えると、イタチ科であればニホンカワウソの可能性が高いというわけである。

では、イタチ科以外ではどうだろうか。

まず考えられるのはハクビシン(ジャコウネコ科)だろう。記事でも触れられているが、尻尾の形が違うとしている。

画像3

画像は同じくWikipediaのものであるが、シルエットはとても似ている。だからこそ、まだハクビシンの可能性は排除していない。むしろ、個人的にはカワウソでなければ恐らくハクビシンだと思っている。ハクビシンの大きさも、尻尾を含めれば120cm近くにはなるので、まさに画像の通りの大きさになる。

そう考えると、ハクビシンを見間違えただけとも言えるのだけれど、発見者は「ハクビシンではない」と主張している。それをそのまま信じるわけではないが、画像があまり鮮明ではないこともあり、ハクビシンの可能性は捨てきれないと考えている。

では、思い切って調査すべきではないかと考える人もいるだろう。しかしながら、僕は、勝手な調査は決してしてはいけないと考えている

勝手な調査をすべきでない理由

なぜそう考えているのかというと、大勢で踏み込んでしまえば、環境を破壊してしまう恐れがあるからだ。テレビなどのメディアやYouTuberが自分勝手に踏み込めば、植生を荒らしたり水質を汚染させてしまう可能性がある。そうなってくると、カワウソたちが暮らしていけれる環境を、再び人間が破壊してしまうという構図になってしまう。少なくとも、きちんとした学術調査が行われることを待つことが求められるのだ。

あくまで今回の発見は、小さな任意団体によるものなので、本格的な学術調査とは言い切れない部分もある。とはいえ、調査方法などを鑑みるに、ある程度の知識を持ったうえで行っていることが確認できた。とはいえ、あの規模での調査となると、大規模調査は難しいだろう。

だからといって、素人が勝手に調査に参加するのはやめてほしい。最低限度の負荷で、効率よく調査する必要がある以上、素人が手を出したところで負荷を大きくしてしまうだけなのだ。カメラトラップを仕掛けるにしても、きちんと回収できるようにすることが求められる以上、設置から回収まできちんと行えるようなところでもない限り、信用してはいけない。

また、カワウソを発見したいとして協力を求めるクラウドファンディングにも気を付けてほしいと考えている。きちんと出自を調べた上で、どのような調査方法を採用しているのか、環境への負荷をきちんと考慮しているのかなど、信用していないところに対して金銭を払うのはやめてほしいと考えている。

そして、個人での調査も、僕はでできる限り控えてほしいと願っている。YouTubeでのネタにするとか、そういったことはもちろん言語道断だ。たくさんの人が来ることで環境が破壊されてしまうことこそが、問題なのである。

重ね重ね主張するが、決して個人が好奇心に任せて勝手な調査は行わないでほしい

そのうえで我々ができることは、カワウソが戻ってくるような環境整備を100年単位で考えたうえで進めていくことだと考えている。もしかしたら戻ってこないかもしれない。けれど、それであっても、もしかしたらいるかもしれないからこそ、生息できる環境を、人間が壊してしまった環境を、整えていくということが大切なのではないか。

そして、日本のカワウソ市場の見直しも同時に行うべきであると考えている。ペットとして人気が出てしまったことで密輸入が発生していて、その過程で多くのカワウソが犠牲になっていることを含めて、ペットをたくさん購入している国として日本が取るべき責任を持って行動すべきことがたくさんあるのではないかと考えている。密猟が発生しないように、ペットの商取引で珍しい生きものを買う・飼うということが減っていくように、そういった心がけをなによりも行うべきではないかと考えている。

最後にだが、ニホンカワウソは大きいこともあり噛む力が強いので、コツメカワウソと同じように接してしまえば指を持ってかれることを覚悟した方がいい。それくらい噛む力が強いので、もしも発見したとしても触らないようにお願いしたい。

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