11/1の「ダーウィンが来た!」の感想〜海のオオカミと、カワウソの命のやり取り〜
毎週というわけにはいかないけれど、見るようにいている「ダーウィンが来た!」。今回はカナダに暮らす、海辺で生きるオオカミたちが取り入れられていた。
その中で個人的に印象が残っているのが、オオカミがカワウソの子どもを狩で捕まえて、直接的な捕食のギリギリのところまでを流したことだった。
このオオカミたちは、分類上はタイリクオオカミと同じ種ではあるけれど、遺伝的にはちょっと差が出てきているようだった。島々で暮らしていて、ラッコやカワウソにアザラシ、魚や貝類などを食べる、オオカミとしてはとても変わった生態をしているのだ。単独で狩を行うことが多く、それでも家族間で縄張りを持つという、群と個の使い分けをしているというような生態をしている。
そして今回のクライマックスが、成長して泳げるようになったオオカミの娘が、単独で海で暮らすカワウソ(カナダカワウソ)の子どもを仕留めるというシーンだった。
直接的な流血シーンこそなかったけれど、狩で捕まえた瞬間や、食べるギリギリまでを放送していた。
カワウソといえば、カワイイというようなイメージが先行している生きものであるし、オオカミといえば残酷なハンターとして描かれることも多い。けれど、そういった固定概念がなく、ただ単に狩る側と狩られる側として、この2種の関係を撮影していたのだった。
オオカミを主役としていたからこそ、カワウソをカワイイとして取り上げるのではなく、狩という命のやり取りをしっかりと伝えて、命の輝きを最後まで表現していた。
もちろん中には、カワウソに感情移入して、見ていられないという人もいた。けれど、それでも僕は、最後まで映したことは良かったと思っている。
テレビ番組で、ショッキングにもなり得るような生きものの狩のシーンをあまり流さなくなってからどれくらいになるだろうか。今回はカワウソではなくオオカミがメインだから「成功」という喜ばしい結果で締められたけれど、カワウソからすれば悲しい結末ではある。勝者がいるから敗者が生まれて、敗者がいるからこそ勝者が目立つ。それは当たり前のことではあるけれど、時に残酷なことにもなる。
残酷だから目を背けたくなるけれど、それでもきちんと流した姿勢を僕は評価したい。カワウソ側にもオオカミ側には非はないけれど、だからこそ、流したことに価値がある。
カワウソがかわいそうだと思ってしまうけれど、オオカミもそうしなければ生きていけなかった。
そこに悪者がいないという姿をきちんと流してくれたことが何よりも、僕としては満足だった。