SENSHU RUGBY 2018 ~開幕戦プレビュー

2018年、関東大学ラグビーのリーグ戦がいよいよ開幕する。
2012年に就任した村田監督にとって2015年以来2度目の1部となる。前回は山梨学院相手に1部で13年ぶりの勝利をあげたものの、法政、中央に惜敗。入替戦にも負けて1シーズンで2部に逆戻りしてしまった。
が、ワールドカップ&創部90周年を迎える2019年にリーグ戦の優勝争いを掲げる村田監督としては同じ轍を踏むわけにはいかない。今季は1部残留、さらに上位争いへの手応えを摑むための大事なシーズンとなる。
発表されたメンバーは以下の通り。

1.石田楽人(181cm/111kg・3年・桐蔭)
2.宮本詩音(172cm/99kg・3年・東福岡)
3.栗山塁(176cm/110kg・2年・桐蔭)
4.山極大貴(198cm/103kg・3年・保善)
5.殿元政仁(178cm/96kg・4年・東福岡)
6.坂本洋道(173cm/97kg・3年・國學院栃木)
7.佐藤匠(184cm/95kg・3年・仙台育英)
8.石川恵韻(171cm/96kg・4年・東京)
9.酒井 亮輔(172cm/68kg・2年・長崎北)
10.石原武(170cm/80kg・4年・東福岡)
11.夏井勇大(182cm/89kg・3年・秋田中央)
12.郡司健吾(184cm/91kg・3年・日川)
13.夏井大樹(173cm/82kg・2年・秋田中央)
14.水野景介(169cm/84kg・2年・東京)
15.松浦祐太(177cm/80kg・4年・小倉)
16.網谷 龍太(177cm/103kg・4年・高岡北)
17.原 健将(176cm/94kg・2年・桐蔭)
18.束田 涼太(182cm/117kg ・4年・目黒)
19.小野 悠太(183cm/106kg ・4年・湘南工科大附属)
20.志賀 亮太(175cm/88kg・3年・國學院栃木)
21.片岡 領(181cm/82kg・3年・昌平)
22.光吉 謙太郎(175cm/88kg・4年・佐賀工)
23.水野 晋輔(171cm/81kg ・1年・東京)

石田は今春、U20代表に入り「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2018」に出場、全5試合のうちニュージーランド、オーストラリア、ウェールズ、ジョージア戦で先発出場を果たした。外国の強豪との試合をこなしたことで、今季から3人が同時に出場可能となった留学生に対しても強みを発揮するだろう。
宮本、栗山は昨年、すでにAチームのリザーブ入りをしており、不安はまったくない。栗山は体重が110kgを超え力強さが増している。

身長198cmの山極は専大の数少ない他校に対する絶対的なアドバンテージ。ラインアウト、敵ボールのキックオフのキャッチのみならず、自チームのキックオフへの働きかけも素晴らしい。その長身を利してアタック時にハンドオフでタックラーを寄せつけず、ディフェンス時には逆にちょっと離れた相手に対してもからみつく。
西村龍馬(コカ・コーラウェスト)が抜けた5は殿元。サイズは西村より小さく見た目の迫力では劣るが、仕事をするタイプの選手でAチームでの出場経験も多い。

FLの6は昨年と変わらず坂本。身長は173cmだが身体はボディビルダーのような逆三角形。その身体でタックラーを引きずりながら突進する。
問題は松土(2017年度キャプテン)、徳田の抜けた7、8。昨年の2部全勝、入替戦勝利の原動力となった2人が卒業した後の7は佐藤。昨年はBチームで活躍。身体のサイズが大きく、密集の厳しいところでボールを受けながらしっかりキープができ、まだまだ伸びしろがある。
石川はバイスキャプテン。徳田がケガをした2016年はレギュラー入りをしている。声を出してチームを鼓舞し引っ張る。

9は本来、高橋昂平キャプテンだが、ケガからの復帰にもう少し時間がかかりそうな模様。そんななかで開幕戦のスタメンを摑んだのは酒井。今春、SHにコンバートされた片岡の予想もあったが、専門職の色合いが濃いポジションだけにボール捌きを重視した起用だと思われる。先週、行なわれた日大との練習試合ではなかなかいい動きを見せた。
石原は現メンバーで唯一1部の舞台を経験しているが、当時とは身体の大きさがまったく違う。昨年はジュニアで活躍、カテゴリー2昇格の原動力となった。郡司とはタイプが異なるが、パスの精度は高くバックスを走らせるのはうまい。

11の夏井勇大は昨年からのレギュラーだが、決定力に磨きがかかっている。身体も一回り大きくなっておりフィニッシャーとしての風格が出てきた。一方、14の水野景介は4年間レギュラーだった池田のポジションに入る。身長は170cmに届かないが腿の太さは競輪選手のよう。小柄ながら強烈なハンドオフを見舞って突進する。この両WTBは1980年代前半の長岡、佐藤龍にタイプとしては似ているかもしれない。

12は昨年不動のSOだった郡司が入り13夏井大樹とコンビを組む。春季大会で負傷した郡司に変わって入った石原がいいパフォーマンスを見せたことで、復帰した郡司がセンターへ回ったことから始まった、いわばケガの功名の布陣だが、「ワンランク上感」がさらに強くなった郡司にディフェンスが気を取られてできたギャップに、センス抜群の夏井大樹が切れ込んでのラン、パスは観戦者をわくわさせる。

15松浦は専大史上でも屈指のスーパーブーツ。どんな位置からでもキッチリとゴールを決め、ほとんど失敗はない。現代のラグビーではキック力の差が勝敗を分けることがままある(昨年の入替戦もそうだった)。多少のリードを許しても粘り強く戦ってトライ後のゴール、PGをきっちりと決めていけばそうそう点差は離れるものではない。さらに今季の松浦はキック以外の力も上がってきており、高橋キャプテンが不在の間のゲームキャプテンを担ってチームを引っ張る。

バックスについては、CTBの突破力、WTBの決定力はともに十分。それだけに今季、とくに開幕の大東戦では、ここまでうまくボールを運べるか、突き詰めればFWが頑張ってボールを出し、HB団が素早く捌けるかにすべてがかかっているといっても過言ではない。
大東の強いスクラムに多少、押されても、コントロールされたボールを出すことができれば攻め手はある。
またスクラム以外のセットプレーでは、山極を中心にマイボールはもとより敵ボールにもできるだけプレッシャーをかけたい。

前半を凌ぐことができれば、後半はSHに片岡を投入、郡司をSOに上げて、より攻撃のギアを上げる(CTBは12夏井、13光吉)。前半のHB団はバックスへのつなぎ目としての役割が重視されるが、このセットになるとHB団が自らボールを前へ運んでいくことができる。それをフォローした3列陣がうまく攻撃に絡むことができれば、よりチャンスは広がるだろう。

総じて2015年シーズンより選手個々の体力、能力とも上回っていることは間違いない。前回の1部では勝利まであと一歩届かなかった試合もあったが、今年はそこを乗り越えて勝ち切るだけの力はついている。
大東大との対戦は前回も開幕戦で、31-71で敗れている。現在、サンウルブズで活躍するサウマキに4トライを取れたのが第一の敗因だったが、一方で攻撃では5トライを挙げた。ディフェンス力も上がっていることを考えれば、この差は十分に詰めていくことができるはず。
専大ラグビー復活の第二章となる今シーズンの開幕戦、王者大東を相手に臆することなく堂々と戦って「専大、手強し」を印象づけ、勢いに乗りたい。

2018 関東ラグビー リーグ戦
9/16 大東文化大学 秩父宮 12:30
9/24 法政大学 上柚木 12:30
10/8 流通経済大学 上柚木 11:30
10/20 東海大学 東海G 14:00
10/28 中央大学 熊谷B 14:00
11/17 日本大学 セナリオH三郷 14:00
11/25 拓殖大学 前橋敷島 11:30

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