「取締役会」について
取締役会は、3ヵ月に1回以上、つまり年4回以上開催しなければならないことになっている(会社法363条2項)。逆に言えば、別に毎月開催しなくても、四半期に1回やれば大丈夫ということになる。
さらに言えば、リアルに取締役会を開催しなくても、書面決議という選択肢もある。書面決議をやるためには、定款の定めがあることとか、提案につき取締役全員の書面等による同意があることとか、監査役の異議がないこととかの前提条件はあるものの、それらをクリアできれば手間を省くことは可能である。文字どおり、「省エネ」である。
しかしながら、法的に「省エネ」が許容されていることと、実際にそれを行使するかどうかは別問題である。
取締役会は、経営トップが暴走するのを抑止する役割もある。だから監査役とか社外取締役とかが任命されている。できればちゃんと意見交換をして、ホントに問題がないのかどうか、きちんとチェックを行うべきであろう。取締役や監査役は権限もあると同時に重大な責任を負っているからである。
ここからは僕の私見であるが、書面決議をしても差し支えないような議案というのはかなり限定されるのかなと思う。たとえば以下のようなことくらいではなかろうか。
・株主総会の招集についての決定(単に招集することだけ)
・各種規程類の技術的な修正(組織変更等で所管部門の名称が単純に変わるとかだけ、中身が変わる場合は別)
・取締役会メンバーを含めて、既に別の場で議論が尽くされている議案について、形式的に取締役会決議を取る必要がある場合
わずかな可能性であっても、意見が割れることが想定されたり、口頭で説明を聞かなければ判断が難しいような議案に関しては、どれだけスケジュールがタイトであろうと、ちゃんと取締役会を開催した方が良いと思う。
いくら忙しくても、寝る時間くらいはあるはずだ。早朝とか深夜とか、短時間であれば必ず(作る気があれば)時間を作れるに決まっている。
真に必要なコミュニケーションに関しては、省エネはNGであり、後々に禍根を残さないためにも、ヘンなところで骨惜しみはしない方が良い。