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カピバラによるサイコチェックポイント〜祈りの黎明卿編〜

こんにちは。
硫化カピバラです。

今回もフィクションから
選出しました。
フィクションだからこそ
“胸ギュンサイコポイント”に
共感いただけるのでは無いでしょうか?

(“胸ギュンサイコポイント”とは
胸キュン、というには
あまりに悍ましく不謹慎、
しかし怖いもの見たさや
誰の心にも潜む反社会的要素をくすぐる、
そんなポイントです。)

今回は、
度し難く外道であるにもかかわらず、
読者の中で根強い人気のあるキャラクター
つくしあきひと作 メイドインアビス より
黎明卿 新しき ボンドルドです。

メイドインアビスは
深さ不明の未知の縦穴『アビス』がある世界で
主人公のリコという少女と、
謎のロボット少年のレグが
アビスに潜ったリコの母を追って
深淵への旅に出る
ダークファンタジー漫画です。

その最たる特徴として
可愛らしい画風から想像できないような
慈悲のない世界観や展開が挙げられます。

ボンドルドの存在は
それを象徴する1つと言えます。

ボンドルドは
メイドインアビスの世界で英雄視されている
伝説級の探窟家階級、『白笛』の1人です。
良き伝統も、探窟家の誇りや矜持も、
丸ごと踏み躙ってアビス攻略に夜明けをもたらすことから
黎明卿と呼ばれています。

ではでは
胸ギュンサイコポイント1
『上昇負荷の克服』

上昇負荷とは
通称『アビスの呪い』と呼ばれる
アビス内でみられるとある現象のことです。

読んで字の如く、
アビスを潜る際には問題はありませんが、
地上に戻ろうと上昇すると発生する
様々な身体症状を指します。

アビスは深さごとに層が分かれており、
その層に応じて発見される遺物(アビス由来の宝)の価値や
襲い来る原生生物の強さ、上昇負荷の内容が異なります。

1層:軽い眩暈、吐き気
2層:重い吐き気、頭痛、末端の痺れ
3層:上記に加え平衡感覚の異常、幻覚や幻聴
4層:全身の激痛、穴という穴からの出血
5層:前感覚の喪失、それに伴う意識混濁、自傷行為
6層:人間性の喪失、もしくは死
7層:確実な死(詳細不明)
となっております。

ボンドルドが特に注目したのは
6層の上昇負荷である人間性の喪失です。
この人間性の喪失とは
知性だけでなく、
肉体も人間らしさを失うものです。

具体的には
肉が張り裂け、膨張したようになって
体毛に覆われたデロデロとした怪物『成れ果て』に
なってしまうのです。

これのせいで6層以下に潜る場合は
ラストダイブと言われ、
2度と地上に帰ってこないことを意味します。

しかしボンドルドはこれを乗り越えるための
研究と実験を完成しました。
……倫理観度がえしで。

その方法とは
『カートリッジ』と称するアイテムを
使うというものです。

『カートリッジ』とは
人間が最低限生存できる器官のみに
削ぎ落とされた状態を
箱詰めにしたものです。

脳と最低限の臓器を皮膚で包み、
それをかたい箱に詰め、
装備することによって
箱の中の人間に上昇負荷を押し付けることが
できるという代物です。

書くだけでも悍ましいですが、
原作ではより生々しく描写されているので
そちらも是非ご確認ください。

胸ギュンサイコポイント2
『子供達との愛情』

字面からだと全くサイコパス味を
感じないかもしれませんが、
1での説明を踏まえると
嫌な予感しかしないと思います。

『カートリッジ』の材料は
人間だということは前述しましたが、
ボンドルドは効率を大切にします。
ですのでより箱詰めにしやすく、
携帯にも向いているということから
子供を材料として採用しているのです。

加えて『カートリッジ』の材料には
重い条件があります。
それが使用者と愛情を育んでいることです。

『カートリッジ』は愛ゆえに
使用者にかかるはずだった上昇負荷の
負の側面を肩代わりするのです。

負の側面、と特筆したのは
ボンドルドの研究で判明した
上昇負荷の正の側面が存在するからです。
それが『成れ果て』ることそのものなのです。

人間性を保ったまま『成れ果て』ることにより
対象はアビスの呪いの正体を
目視できるようになるのです。
これにより探窟家はより安全に効率よく
探窟を進めることができるのです。

ただ上昇負荷を克服するだけでなく、
呪いの対となる、
祝福をも手にすることができる装備。
それが『カートリッジ』なのです。

『カートリッジ』の絶対条件である
愛情を、ボンドルドは一切の嘘偽りなく
子供達と育んでいくのが
彼の真の狂気といえます。

胸ギュンサイコポイント3
『博愛主義者』

嘘偽りなく愛を育むのが
ボンドルドの最も不気味なところです。

ボンドルドは非常に物腰柔らかな紳士であり、
博愛主義を掲げています。
そのため娘や、スラム街から“調達”した孤児にも
惜しみなく愛情を与えます。

これは『カートリッジ』化に必要だから、
という側面もありますが、
ボンドルドは子供達を欺くのではなく、
本気で全力で愛情を注ぐのです。

事実、それぞれの『カートリッジ』の
名前、性別だけでなく、好きなことや将来の夢まで
事細かに把握しているのです。

命を慈しみ、愛し、
それでいてそれらを無慈悲に利用できる。
そこに悪意が一切存在しないのが
ボンドルドの恐ろしさです。

何を言っているかわからないかと思いますが、
とにかく原作を是非お読みください。
読むことによって意味のわからなさを、
それでいて僕の書いていることが嘘でないことを
きっと体感できるはずです。

胸ギュンポイント4
『愛娘』

もう嫌な予感しかしないと思いますが、
ボンドルドは愛娘である少女、プルシュカを
『カートリッジ』に加工しています。

プルシュカの父への愛は非常に深く、
生命維持に不要な身体の部分を
削ぎ落とされていく激痛の中でも、
父であるボンドルドを思い、
“彼の冒険の一助になること”を
心の底から喜んでいたのです。

プルシュカはボンドルドの実の娘ではありません。
彼の部下の娘であり、5層の上昇負荷により
自我を喪失し、錯乱しているところを発見されます。

使い物にならないから、適当な実験材料として
活用したのちに廃棄することを提案する部下に、
ボンドルドはそれを拒否。
そして彼女にプルシュカと名付け、
娘として育て始めるのです。

その後もボンドルドの愛ある治療と育児により
プルシュカは可愛らしい年頃の少女に
成長します。
そして主人公であるリコやレグ、
道中で仲間になったボンドルドの実験によって
祝福を受けた最初の個体、ナナチと出会い、
冒険を夢見るのです。

プルシュカ、とは夜明けの花を意味するそうです。
プルシュカはいつの日か父であるボンドルドと
まだ見ぬ地上の夜明けを臨むことに憧れていました。

そしてリコたちの冒険譚を聞くことで
冒険への憧れを募らせていきます。

そこにきてボンドルドによって
『カートリッジ』にされてしまうのです。

彼女は消費され切る最後の最後まで
父を愛し、冒険に焦がれ、父との最後の冒険を
心の底から喜び、苦しみを受け入れていたのです。

胸ギュンサイコポイント5
『主人公たちとの対峙』

ここまでの記述を読むと
最高にヴィランなボンドルドですが、
主人公たちとはバトルこそしますが、
敵として立ちはだかったわけではないのです。

主人公たちが6層へ進むための通過地点である
前線基地(イドフロント)の主人であり、
防人のような存在としてボンドルドは登場します。

尤もこの時点で
主人公たちはナナチの証言を聞いているので、
非常に警戒しているのですが、
ボンドルド自身は彼女たちを
全面的に歓迎しているのです。

主人公たちとの戦闘に陥ったのも、
ボンドルドとしては主人公たちに
仕掛けられたことがきっかけですし、
謎のロボット少年、レグを
研究するための機会、
『カートリッジ』を利用してみる実験の機会
でしかなかったのです。

戦闘後、
主人公たちの旅路に心からの(呪いと)祝福を
祈っていることからも
敵意は一切ありません。

この異様な立ち位置が
ボンドルドという男への理解を
妨げています。

いかがでしたでしょうか。
愛情深く、未知の恐怖渦巻く深淵に
子供達の愛を(物理的に)背負って臨む
ボンドルドというキャラクターの
魅力は伝わりましたでしょうか?

メイドインアビスは
度し難いキャラクターが他にもいますので
またこのシリーズで扱っていこうと
思っておりますので、
楽しみになさってください。

硫化カピバラ

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