悪質な不動産会社や瑕疵のある賃貸物件に起因した賃貸借トラブルとの闘いかたを考えてみる。
賃貸、売買の別なく、不動産がらみのトラブルの経験があるという人は、全日本人人口の約2人に1人は経験があるといわれています。過去で何かしら思い当たる方も多いのではないでしょうか?それでは実際、国民生活センターに対する賃貸・売買不動産トラブルの相談件数はどれくらいあるかご存じですか?
調べたところ賃貸不動産に限ったトラブルというだけでも、国民生活センターの2021年度統計で、なんと年間約32700件です。これは年間約92万件ある国民生活センターのすべての相談件数の中で、カテゴリ別相談件数で堂々第三位という相談件数の多さです。そして賃貸不動産の年間契約数(全宅連の『不動産市場動向調査』による居住用賃貸の首都圏・近畿圏のみの年間成約件数)が、2021年度約36000件であることを鑑みれば、年間の成約件数の約90%近くの割合で何等かの賃貸借トラブルが発生していることになります。しかしながら単に相談件数を聞いただけではなんとなく漠然とした数字にしか見えません、そこで比較対象として、よく相談するといえば思い浮かぶ、サラ金問題に関する相談は年間約18000件、ネット通販、架空請求に関する相談件数が年間約19000件と比較してみると、いかに日常的に賃貸借不動産トラブルが起こっているのかが実数・概念の両方で分かると思います。しかもこの件数は、不動産賃貸借トラブルの年間総数の実数ではなく、あくまでも氷山の一角である事です。不動産賃貸借トラブルを抱えている人々の大多数は、不動産賃貸借トラブルを解決するための知識や方法も知らず、手続きも面倒であるため結果的に相談できず、泣き寝入りしてしまうほうが圧倒的に多いのではないでしょうか?
そこで、私が現在も事実上賃貸借トラブルと闘っている立場であるため、現在不動産賃貸借トラブルを抱えている人達に対し、巷で流布されている、根拠のない不確かな情報よりは多少なりとも役立つ可能性があるかもしれません。
それでは、実際に賃貸借トラブルにどうやって対処していくべきなのかを考えていきたいと思います。
●大切な予備作業;闘う前に必要な最低限の準備。事前に個でできることはたくさんある。
まず、不動産トラブルと闘う前に、必要なこととして、まず訴求するための論点(何に関して争いたいか?)そして、その論点が法律的に有効か無効かと言うことと最終的な着地点(結果的に相手に要求できると想定して、具体的に相手側に何を要求し、結果的にどんなことを達成したいのか?;必要最低限の目的・目標)を明確にすること。また、そのために賃貸借トラブルの主要因に関する事実認証がしやすい状態にすることが闘いの為の第一段階です。訴求することが紛れもない事実であることを証明しなくてはいけないので、画像、音声、映像、SNS情報、必要書類(契約書・重要事項説明書等約定を表す捺印後の書類)は必須です。それも時系列で分かりやすくまとめないといけません、問題発生時~現在でも解決していなければ現在、そしてすでに解決した場合は、解決時の両方で事実を証明できるものがあれば、事実認証されやすいと思います。これは問題が発生した日時から起算し、法で定められている一定の免除期間を除き、損害賠償を請求する根拠と期間を確定するため、当該争議における責任の所在を決定づけるためです。
長文になってしまいました。次回は具体的な方法論について考えていきたいと思います。
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