パソコンデータ

壊れたパソコンのHDD。
修理するお金も新しいものを組むお金も足りなくて、でも中のデータは取り出したかった。特にYouTube用のオリジナル曲と、書籍編集時のPDFはどうにかしたかった。iTunesに入れたApple Musicでは配信されてない音楽たちもできれば救い出したかった。
HDDの故障なら終わっていたけれども。

まずはHDDの取り外し。いやむり。何がむりって手首のこと。
プラスドライバーの小さいのが必要かもしれないと言われてF先生に相談したら、リハビリの時に一緒にやりましょうかとのありがたい言葉。

よろしくお願いします!!!

パソコン本体の中を見るのは初めてだったらしい。掃除する時に開け慣れてはいるものの、どれか何かいまいち私もわかってなかった。
これがマザーボード。これはDVDプレイヤー。これはブルーレイ。消去法でHDDはこれだな。待って、このパソコンはHDD二つ載せてたはず。
SSDはどこ……。
潔く降参して指導してくれる人にスピーカーで通話をかける。
細かい作業は先生にお任せしながら取り外していく。SSDはブルーレイドライブの下にコバンザメみたいに存在していた。思ってたより小さいんだな……。
そこで恐ろしい一言がきた。

送ってって言ってたけど、中身吸い出す機械を送るから自分でやってごらん。

いやいやいやいやいやいやいやいや!
そんな!そんな作業無理!
……はい。はい、はい。はい。わかりました……。

やります……。

HDD二つ。SSD一つ。バスタオルで包んで保管した。筐体はそのまま蓋をして、回収まで保管。下に敷いて作業してたシーツ類を洗って待つ。
届いたのは思ったより小さな部品だった。また説明してもらいながら、今度は一人で作業する。SSDをつなぐ。中身なし。HDD一つ目。バックアップフォルダのみ。二つ目にデータは存在した。

わーって思わず声が漏れた。

教えてくれてる人が想像してた10倍以上の重さがある曲データをまずノートパソコンに移す。時間がかかるだろうからあとは放置でねと言ってもらって通話を切った。スマホにも残っている写真たちは移さなくていいだろう。
フォルダを探って探って、PDFを見つけた。消えたりしないのにそっと作業する。ノートパソコンに移植した上でHDDは外付けメモリとして保存することにした。編集さんがくれた言葉たち。初めて見た校正記号たち。記憶が蘇って震えるような気持ちになった。
YouTube用の曲もいた。ずっと使ってたサムネイル画像もきちんと保存する。

そうこうしてたら曲の移植が済んだ。ここからが試行錯誤だった。

iTunesアプリっていつなくなってたの……!

Apple Musicアプリになったのはわかった。ケーブルでつないでもiPhoneに曲を移植できないのも納得はいかないがわかった。iTunesフォルダをそのままApple Musicに移行したが、iPhoneには反映されない。あるある。あるよな。

結局スマホでCDから取り込んだ音源を聴けるようになったのは翌朝だった。同期にめちゃくちゃ時間がかかったからなのたけれど、ほぼ諦めて寝たので聴けることに気付いて本気で踊った。ライブのセットリストで作ったプレイリストも、欠けることなく聴ける。

最高か。

何から何まで用意してくれて、作業に付き合ってくれた人には頭が上がらないどころではない。いつもありがとうすぎる……!最近紹介したライバー女子にどハマりしてくれてるのが恩返しか!?
作業そのものを手伝ってくれたF先生には月曜日報告しよう。まだ本体捨てる作業を手伝ってもらう予定だけれども。お礼は山椒のおすそ分けになった。知らなかったけれど死ぬほど山椒が好きらしいF先生は、めちゃくちゃ香り高い山椒に悶えていた。山椒くれたお友達よ、ありがとう。

こうして私を甘やかしてくれる人達のおかげで思い出を未来につなぐことができた。マジでありがたい。

そのタイミングで二ヶ月ぶりのコンテストが発表された。パソコンで音楽聴きながら、パソコンでカタカタ打ち込めちゃうよ! 幸せだね。

インド土産のダージリンファーストフラッシュをいれて、仕込んでおいたレモンシロップでアイスティーにする。何だかんだはっぴーなはずなのに、面倒事は山積してる。逃げ出したい気持ちを何とかするために幸せを探す。助けてって叫んでもどうしようもないこともあって、一日に一度は沈むけれど。

自動的に人生を退席になるまでは生きなくてはならないと、高校生の時に読んだ漫画に描いてあった。あれから一度も読み返したことはないけど、あの日に「そういうものか」と心に刻まれてしまったから仕方ない。

そんなものが書けたら、いいな。

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