こうるさい妖精(イライラする挨拶代わり)【#毎週ショートショートnote】
ぱぁん!
「うわ! びっくりした!」
彼がとっても驚いてくれたので、あたしは満足。
鼻先で火花を散らしてやったの! 遊びにきたよって、あたしの挨拶代わり。
「ちょっと、やめろよ」
彼がしっしっと手を振る。いつもこうなの。ひどいと思わない? あたしのこと邪魔モノみたいに扱うんだよ。
だから、あたしは言ってやるの。
「なによ! こんなので怒っちゃって、ばっかみたい」
「そっちこそ、普通に来いよ」
「ふん!」
あたしはつんと顔を背ける。その拍子に、背中の羽根がびびびと鳴る。
「こんなので怒っちゃうような心の狭い奴には、力を貸してあげないんだから!」
「お前に力を借りなくたって大丈夫だよ」
彼があたしの首根っこをつかまえる。
「やめてよ! レディーの扱いがなってないでしょ!」
「はいはい、小さなレディーさん」
ふくれたあたしの頬を、魔法使いはそっと突ついた。その手つきが好きだから、あたしはむくれながらも彼の肩に座るのだ。
(本文404文字)
こちらの企画に参加させていただきました。
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