選択
こんにちは。新年如何お過ごしでしょうか。皆さまの今年1年のご健康とご多幸を祈念致します。
突然ですが、皆さまは、何かを選択するのは得意ですか。私は苦手です。正確には、決められない時の精神にかかるプレッシャーにとても弱いのです。人生の大半をこの苦しみと付き合って過ごして来ました。選択にかけているエネルギーや時間で、もっと本当にやるべき事に取り組みたいのですが、人生において選択が必要な場面からは逃れられません。どうしたら選択ができるようになるのでしょう。私にとって、真剣に向き合わねばならない課題です。
選択できることは、裕福で幸せなことかもしれません。ですが、年齢を重ねるにつれて、一番進みたい道への扉は閉ざされるようになりました。
「ということは、それまでの努力が足りなかったんだろう。」
そう言われるかもしれません。努力。私は、自分が努力をしなかったとは思いません。必死に生きて来ました。ただ、道が年齢で閉ざされた時に気がついたのは、その努力の内容が、私の進みたかった道に期限内に効率的に繋がるものではなかったのだ、ということでした。
認めたくはないけれど、人生にはどうしても期限があるのでしょう。生物学的にも、社会の制度的にも。30歳を過ぎ、絶望して生きたこの数年間、色々なことに手を出したけれど、結局地道にこつこつと鍛練を積み重ねるという方法に勝るものは無いのだなと気付きました。それは、絶望するまでの私の生き方でありました。紆余曲折の末に、元いた道を改めて正しく評価することになったのです。
私は大学中退者で、退学後は非正規労働者として生きて来ました。
「正社員になる努力をしなかったんだろう。」
「大学中退なんて、遊び呆けていたからだろう。」
どれも見当違いなのですが、反論するのも説明するのも疲れたので、相手にすることは止めました。私は遊ぶのが嫌いで、勉強と運動と仕事に時間を捧げて来ました。就職活動をした頃は、学科試験や論文試験や体力検査で受かっても、最後の面接で落ち続けました。帰国子女であることで協調性を疑われ、大学中退者であることで勤勉さを疑われ、アルバイトであることで責任感や職務遂行能力やコミュニケーション能力を疑われました。
「自分のわがままで留学した人なのかと思ってました。」
「帰国子女は日本の厳しい受験競争を乗り越えていない。必死に勉強していなくて、努力せず遊んでいるだけで外国語ができるようになったんだろう。」
これらも見当違いなのですが、言い返すことはしませんでした。面接だけでなく、色々な場で言われて来ました。
帰国してからの15年ほどの長い年月、約12年間の非正規労働者として生きた年月は、私にとっては必死で日本社会に溶け込み受け入れて貰おうと努力した年月でした。国民に求められる義務を果たそうと必死に働いた年月でした。そして、日本の人々や社会のお役に立ちたいとの一心で己を律し鍛練した年月でした。日本に帰らなければ良かったと思っています。強く後悔しています。でも、時は決して巻き戻らない。若さは決して返ることが無い。今の年齢で出来ることをやって行くしかない。社会の見る目や就職活動の状況が昔とは変化していますが、今更望まぬ非正規労働者であることをやめても、一番望む道はもう今生で叶うことはない。その惨めさに、たとえようもない苦しみに襲われます。それでも、絶望して生きて行くことは、自分だけでなく、育ててくれた家族にも、先生方にも、先祖にも、申し訳ないことで、それは絶対にしたくありません。残された人生で、何ができるか。今後の人生は、国民の義務を果たそうと躍起になるだけでなく、自分の人生のことをきちんと大切に考えて、諦めずに鍛練しながら、自分や周囲にとってより良い道を選択して行くべきなのだろうと思うのです。
ずっと、社会は正しくて全て自分が悪いのだ、努力が足りないのだ、やればできるはずだ、まだまだ頑張りが足りないからだ、と自分を責め続けて生きて来たので、ここでは、自分についての悪い点を書くことをしませんでした。だから、お読みくださった方には、他責ばかりでそういうところが正社員になれなかった原因だろうと思われるかもしれません。そうではないのです。自分についての反省と改善だけでなくこのような社会の問題点を考えることができるようになったのは、ここ数年間のことなのです。自責にも他責にも偏ることなく、冷静に真摯に世界と己を見つめて行ける人間になりたいと思います。だから、直ぐに役立つことばかりでなく、博く教養を磨いて行きたいと思います。これまでは、年齢や経済状況や成人の義務や長女の義務や家族の声を鑑みて再びの大学進学を我慢して来たけれど、先日両親が私の想いを認めてくれました。今後の人生の為に、大学に入ってしっかり勉強し、世の中や家族をしっかりと支え導ける人になりたいと思います。
一番望む道が閉ざされていても、絶望せずに良い道を選択する。今と将来の為に、今年はこの課題に本腰を入れて取り組んで行きたいと思います。きっと一人一人状況も対策も異なるかもしれませんが、同じような悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、貴方の心にも平安が訪れることを願っております。
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