ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか?
※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です
はじめの一行
第22章 エキスパートの直感は信用できるかーーー直感とスキル
一応形式を重んじて、下巻とはいえはじめの数行を取り出してみましたが、あまり意味はありませんね。
ということで、本書のまえがきを参照されたい方は、こちらの上巻のレビューをどうぞ。
本書の内容
二つの思考システム
本書は上巻から引き続き、人がもつ二つの思考システムについて、様々な実験例を挙げながら解明していきます。
この二つのシステムというのが、一つ目が瞬時に判断する、ほぼ直感ともいえるシステム。
これは無意識に動くため、本人はその思考システムが動いている事すら意識していません。
とっさに何かをするとか、とっさに答えを出す、という時この思考システムが働いています。
ほぼ反射と言えそうなこの思考システムは、あっていることも多いけど間違っていることも多い。
たとえば、同じリスクがあるのに、失うことに対しては非常に過敏に反応するとか、いろんな特徴を持っているのです。
一歩引いて、論理的に考えれば容易にわかることでさえ、知らず知らずのうちにこの思考システムが瞬時に働くため、時として判断を誤ることがある、と本書は言います。
結論
さて、本書としては、この早い思考と遅い思考のギャップをどうやって埋めるかが提案されています。
それはいったん立ち止まって考えてみる、という事。
いつもは早い思考が決めてしまっているものを、遅い思考が作動するよう少し待て、というのです。
シンプルではありますが、確実な方法なのかもしれません。
本書の後半には、上巻でもでてきた「ピーク・エンドの法則」がしばしば出てきます。
ピーク・エンドの法則というのは、最後にいい状態を経験できると、その経験全体が良いものという印象を受けやすいというもの。
たとえば、2時間の内、1時間50分を不幸のどん底で過ごす少女が主人公の映画があったとします。
しかし、最後の10分でその少女がこの上ない幸福と出合うと、その瞬間、その映画のイメージは一転し、最後の幸福のシーンだけが頭に残るのではないでしょうか。
リアルな生活においてもたとえば、苦痛の絶対的時間の長さよりむしろ、苦痛の後に良い印象を得られる時間があれば、それだけで人は苦痛の印象が薄らぐ。
例えば歯医者の治療においては、治療後に気持ちいマッサージとかを受けられると、歯医者に行くのが楽しくなるかもしれません(笑)
さて、そのピーク・エンドの法則を本書は採用しているように思います。
最後の最後、幸福について論じています。
そしてわざわざ結論という章を立てて、わかりやすい話で結びます。
こうやって読者にピークエンドの法則を体感させている、といったら考えすぎでしょうか?
心理学者でありながらノーベル経済学賞をとったという著者のほくそ笑む姿が見えるような気がします。