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幽霊人命救助隊
※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です
はじめの一行
ここはどこ?私は誰?
断崖絶壁に、高岡裕一はへばりついていた。履き古したスニーカーが、うまい具合に岩壁のくぼみに収まっている。左右の手を交互に宙に浮かせて手首を振ると、疲れも癒されているようだった。
自分がどのくらいの高さにいるのか、眼下を見下ろしても地面は見えなかった。すでに雲の上に出ているのだ。頭上には抜けるような青空が広がり、上へ上へと裕一を誘っている。
いきなりの断崖絶壁のシーン。
唐突感のあるスタートは、それはどこで、なぜそこにいるのか。
ついつい読み進めたくなってしまいます。
よく、人の思考は不安定な状態を嫌う、と言われますが不安定の極みから物語のスタートです。
まさに、ここはどこ?私は誰?という状態から始まり、少しずつ空白が埋められていく。
そんな形で物語が進み始めます。
個性豊かな登場人物
この後すぐ、今回の登場人物が次々と現れます。
多くは語りませんが、その登場人物はみな個性的です。
たとえば、ドラえもんには、いじめられっ子ののび太、のび太を助けるドラえもん、
いじめっ子のジャイアン、ちょっといけずなスネ夫、みんなのアイドルしずかちゃんなど、
明確なキャラクターがいます。
こういった小説でも、やはり個性豊かで、キャラ立ちした登場人物が出てきます。
本書の内容
自殺した人が自殺志願者を救う
Amazonに掲載されていた、本書のあらすじはこんな感じ。
浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で3人の男女に出会った。老ヤクザ、気弱な中年男、アンニュイな若い女。そこへ神が現れ、天国行きの条件に、自殺志願者100人の命を救えと命令する。裕一たちは自殺した幽霊だったのだ。地上に戻った彼らが繰り広げる怒涛の救助作戦。
なんとも奇天烈なお話ではありますが、別にスピリチュアルに傾倒した話ではありません。
娯楽的要素が強い中にも、社会的なメッセージも込められているようにも感じました。
主人公が救う自殺志願者には、それぞれに相応の理由がある。
そして、主人公は彼らの救出を重ねる中で、ある事に気づきます。
他人の姿を自分に映し出していた・・・と言えばいいのでしょうか。
そんな過程を描いています。
タイトルや設定をみると、軽い印象を受けますが、内容は結構骨太だったように思います。
ホラーでもないし、単なるドタバタ劇でもない。
微妙な位置取りをした本作品、読んでみると結構面白い。
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