実存的変容 人類が目覚め「ティールの時代」が来る
※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です
はじめの一行
まえがき
天外さんの本は時間がなければ、まえがきだけ読めばだいたいの内容はわかるようにできています。そこそこながいまえがきでは、かなりしっかりした内容の要約が行われています。もし本屋さんで見つけたらまずはまえがきを読んでみていただくと本書のあらすじがわかるんじゃないでしょうか。
本書の内容
「ティール組織」の本当
ティール組織という言葉がここ数年独り歩きしている感があります。その本質を知らずブームだけで語る人も少なからずいるような気がします。しかしまあ、本書を読むと結構むずかしい。というのも、組織そのもの以前に、人の成長が必須であるということです。では、その成長とは何ぞや、ということになると、これが天外さんが以前から主張する「実在的変容」である、というところにつながるのが本書です。
実在的変容というのは、私の理解で言えばこんな感じです。
そもそも人は、生まれたときからトラウマというか、特定のコンプレックスを持っていたりします。それは大きく分けて4つのタイプがあります。価値なし、愛なし、ひとりぼっち、欠陥欠損と呼ばれるもの。価値なしモデルは、自分が価値のない人間だという痛みを持って生まれてきて、その痛みを埋める活動を行っています。たとえば、仕事で実績を上げるとか、スポーツや特定の行動で褒められるとか、自分そのものに価値がないんじゃないのではないかという恐れがベースにあるので、自分を補完するために目に見える価値を作りたがります。良くも悪くもこれが生きる原動力で、社会における実績を作る強いモチベーションになるのですが、一方、自分の本心においては違った世界観を持っているので、いくら実績をあげても、どこか空虚な感覚はずっと付きまとうと言います。なぜかというとこの価値なしモデルの人は、「本来自分はその存在そのものが十分価値のある事である」という信念を持っているからです。価値があるはずなのに、そのことから目を背け、外側の価値を一生懸命繕おうとする人生を送りがち。これで社会的な成功を果たしたとしても、「自分そのものが価値ある存在」であることの証明にはならないので、いつまでたってもどこか空虚さを感じざるを得ないのです。
そういった現実社会での努力が、その人の人生のどこかのタイミングでうまくいかなくなり、そういったときに本来の想い、「自分には価値がある」ということに思い至るわけです。しかし、そこに至るまでにはそもそも自分が自分を価値がないと思っているということに気付かなくてはなりません。人はそういった痛みを見ようとしないのでなかなかそこには至らないのですが、先ほど言ったような今までのパターンでは現実社会を生き抜けないような問題が起こることで私たちはそこに気付くきっかけを得るわけです。
たまたま「価値なしモデル」で説明しましたが、他のメンタルモデルも同様です。愛なしモデルは、デフォルトで人には真の愛があるという信念を持っているにもかかわらず、愛がないという前提で生きてしまっているパターンが非常に多い。ひとりぼっちモデルでは、本来、人は一つにつながっているという前提が大事だと思っているにもかかわらず、今の世界は一つではない現実を前提に生きていたりします。
そういった自分の本質的な感情というか信念に向き合い、それについて自分なりの折り合いをつけること。それが実在的変容というものだと理解しています。
そして、ティール組織を作るにあたっては、そういった一つのヤマを越える必要があるわけです。これは人が生涯をかけて行う成長でもあるように思うので、ティール組織ってそれくらいに難しいことなんだ、という感触を得たのが偽らざる感想です。
人類の目覚め
ところで、スピ系の世界ではちょうど2020年あたりを目指してアセンションだとか、次元上昇だとかいろんなことが言われています。もしかしたら、それを天外さんが料理するとこんな感じになるのかも、というのが本書の印象でもあります。人は今までどちらかというと、「痛みと向き合わず生きる」ほうが楽だった社会のように感じられます。先に、「価値なしモデル」を取り上げましたが、これまでの成功者のイメージが、価値なしモデルそのものなんですね。頑張って会社で出世するとか、ビジネスで成功してお金持ちになるとか、こういった夢とか目標を設定する時点で、実はティールとは少しかけ離れたところにいます。というのも、ティールの段階では、今ココというところにフォーカスするから、目標や夢を持たないのだといいます。目標設定し、そこに向かうのは、オレンジ(達成型)組織。だから、実在的変容前の価値なしモデルの人は、オレンジ組織にはぴったりで、実際に、そういった人が社会の中心にいると言います。
しかし、どうも最近の若い人はこの価値なしモデルの人は少なくなってきているようで、どちらかと言えばひとりぼっちモデルの子たちが多いのだとか。それも社会の構造が変わりつつある一つの目印なのかもしれません。
このメンタルモデルの背景には、実はその人が実現したいミッションのようなものが同梱されていると言います。たとえば、愛なしモデルの人は、世界を本当の愛で埋め尽くすことだったり、ひとりぼっちモデルの人は世界がワンネスでみんながつながった世界であるといったこと。こういった理想に向かって動き出すとき、人は最大限の力を発揮すると言います。そこに至るには、「こういう世界が見たい」とりきむというより、自然にそんな方向に身体が動いている、というのがあるべき姿のようです。これを著者である天外さんは人類の目覚めと言っているように思います。
ということで、「ティール」と書いてあるので、組織マネジメント論的な内容を期待されると少し肩透かしを食うかもしれません。本書はビジネス書というより、自己啓発とかスピ系の棚に入るべき一冊。とはいえ、多くの人たちに読んでほしい一冊でもあるのですが。
いやーーー、読書って素晴らしいですね。
私はこんな本書いてる人です。