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なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか : 人間の心の芯に巣くう虫

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

はじめに 私たちの行動の原動力となるもの

一九七三年一二月、雨降りのどんよりした日、『サイコロジー。トゥデイ』誌に寄稿していた哲学者のサム・キーンは、カナダのブリティッシュコロンビア州バーナビーにある病院の廊下を足早に歩いていた。医師から余命数日と言われた末期がん患者にインタビューするためだ。「君はギリギリで間に合ったよ。これで私が死について書いてきたことすべてをテストできる。人がどう死ぬか……人がどう死を受け入れるか、それを試すチャンスというわけだ」

なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか : 人間の心の芯に巣くう虫(シェルドン・ソロモン、ジェフ・グリーンバーグ 、トム・ピジンスキー)

なんだかおどろおどろしいというか、いきなり死の間際に行われるインタビューシーン。
ちょっと覗き見したい気持ちが駆り立てられてしまいます。

本書の内容

本書のテーマは「恐怖管理理論」

「死」というものを意識する生き物は、人間しかいないらしい。
まあ、そんなこと、言われるまでもないわけですが、逆に言うと意識することもないわけです。
非常に特殊な生き物であり、その「死」に対する意識が、人の行動をかなり支配している。
本書の中心に据えられているテーマがそういったことになるようです。

それを解き明かしたのが、キーワードとなる「恐怖管理理論」というものだそうです。

HOZによる解説ページを見ると、こうあります。

恐怖管理理論には二つの柱がある。ひとつは、「文化的世界観」であり、もうひとつは「自尊心(自尊感情)」だ。もともと幼児には母親のような<安心感の源>が欠かせないが、それは成長するにつれて周囲の文化的世界(モノゴトの成り立ち)への帰属感へと移っていく。一方で、人間は生きていくうえで、自分は有意義な世界の価値ある参加者だという感覚(自尊心)も求める。そして自尊心が高い者ほど、心の奥深くにひそむ恐れを食い止めることができるのだ。
たとえば、自分を褒められ、自尊心が高まった被験者は、生理的にも不安を和らげていることがわかっている。電気ショックを手首に与えるという実験(じっさいには電気ショックは起こらない)で、自尊心を高められた被験者は、高められなかった者より、汗をかく割合がかなり少なかった。自尊心は、メンタルはもちろん、カラダにも効くのである

後者の自尊心と、恐れの関係はとても興味深いような気がします。

例えばですが、以前テレビで見た、「お化け屋敷での反応」が人種ごとに違う、という実験がありました。
恐怖に対して、日本人は立ちすくむのだけど、白人や黒人はそこに立ち向かっていました。
どちらが優れているという話ではありませんが、あるいは自尊心が低そうな日本人は、こういった恐怖に対する耐性が低いのかもしれません。

その根源となる「死」とどう付き合うかは、本書でご確認いただければと思います。

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