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書くことはすなわち考えることである
いっぱしのビジネスパースンの中にも「書くことが苦手」という人は多い。
けど、その人が書いた文章を見ると取り立ててヘタクソというわけでもないし、なかなか味わい深かったりする事も多い。
なのに、なぜ書くことが苦手と感じているのだろう。
書くという行為は頭脳労働だ。
話し言葉のように、相手の反応を見ながら話し方を変えたり、内容を変えることができない。
一方通行のコミュニケーションであるから、メールなどは入念な設計が必要になる。
読み手の理解レベル、
読み手の関心ごと、
読み手への読みやすさへの配慮、
長すぎず、わかりやすい説明であること、
情報の優先順位付け、
こういったことを事前に考え、一つの文章、メール、ブログに織り込んでいく必要がある。
「書ける人」はこのことを短時間で行えるし、「書けない人」はこれを考えることを拒否しているということになるのではないだろうか。
つまり、書くのが苦手な人は、考えるのが苦手である可能性が高い。
現場仕事で同じことを繰り返しやる職務についている人はそれでも問題はない。ただし、経営者といった「新しい課題を発見し、未来へ向けて会社の在り方を考える」といったつかみどころのないことを考える職責にいる人だとちょっと問題である。
経営者の仕事の大部分は、考えることで占められているのではなかろうか。
もう少しレベルを落としてみるとまた違った側面も見えてくる。
「書くのが苦手」といっていて、本当に書いていることが意味不明の人だ。
こういう人は、実は「書くのは苦手だけど、話すのは得意」と思っている人が多いように思う。
しかし、書くことも、話すことも頭脳労働であることには違いはない。
話すことだって、事前にあれこれと考えなければ伝わる話し方はできないのだから。
この場合、「書く」ことは「残り」、「話す」ことは「残らない」ということに注目してみる。書くことは残るから、自分で読み直すとフィードバックを得ることもできる。しかし、話すことは残らないので、上手く話せたかどうかは自分ではわからないのだ。
こういう人は、どちらかと言えば、「伝わる」ことよりも「話す」ことが目的となっていることが多くはないだろうか。正しく伝わる以前に、自分が言葉を吐き出している時点で、満足をしている可能性がある。それがどのように受け止められているかは、あまり関心がない。そんな風に見えてしまう。
もしそうだとすれば、対応はシンプルだ。
1)話す(書く)ことが目的ではなく、相手に伝わる事が目的であるとする
2)言葉を発する前に1秒から数秒でいいから、上記に沿った話し方、書き方なのかを考えるようにする(立ちどまる)
の二つを習慣にすればいい。
つまり、勢いだけで云ったり書いたりするのをやめればいいだけ。
とはいえ、だ。
これは程度の問題で、一定レベルの人であれば無理に矯正する必要もない。
なぜなら、その勢いこそが彼の持ち味だから。
しかし、多くの場合その持ち味を認識していないことも多い。
だから、「僕は勢い担当。君は、理論担当」ときちんと線引きできればいいだけ。線引きするには、正しく自分を知ったほうがいいだろう、と。
書けない人は、話せていない・・・かもしれないということを。
中小企業の後継者向けブログ、更新しています。
今日のテーマは、弱さについて。
よかったらどうぞ。
https://jigyo-shokei.com/archives/3678
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