教えないコーチング~自分ができない事をどうやってコーチングするのか?
「私たちがやっているコーチングでは
楽器が弾けないコーチが
プロの演奏家のコーチングをしたりできます。」
と言うと
相手の方が「?????」となります。
従来型のスポーツコーチや「先生」と呼ばれるコーチが行っている事は
おそらくこれでしょう。
ここで言う「コーチング」の基本的な考え方は
1.答は「クライアントの中」にある。
2.問題や課題を解決する能力も「クライアントの中」にある。
3.その答や解決能力をクライアントから「引き出す」プロセスがコーチングである。
例えば、チューバが引けないコーチが、
オーケストラのプロチューバ奏者のコーチングをした時の会話はこんなふうでした。
C:コーチ
M:プロチューバ奏者
C「一番学びたい事はなんですか?」
M「高音部のアーティキュレーション(鮮明な事を出す事)が苦手です」
C「では吹いてみててください」
コーチはアーティキュレーションが何かも知りません。
その演奏はすばらしく何も問題がないように聞こえました。
C「何か自分で気づいた事は?」
M「やりアーティキュレーションが思わしくない」
C「なぜそう感じるのですか?」
M「興味深い質問ですね・・・」
ここで初めて、奏者は吹いている時の自分の感覚を細かく
思いだし始めます
M「チューバの口は先端から離れているので、
実は自分の音は良く聞こえていないんです。
舌の感覚で音の良し悪しはわかります」
C「アーティキュレーションがうまくいっている時の
舌の感覚はどうですか?」
M「湿った感じがします」
C「うまくいっていない時は?」
M「乾いた感じです」
C「では、舌が湿っているように意識して吹く事はできますか?」
M「やってみます」
オーケストラ全員がスタンディングオペレーションするような
すばらしい演奏になったそうです。
(コーチ自身は、コーチ前後の演奏の違いもわからなかったそうですが)
更にこの後、うまく行った時とそうでない時の違いを確認し、
次からもできるよう、定着させる作業を行いました。
ティモシーガルウェィ著 「インナーワーク」より
このように
私達が行う「コーチング」において、
コーチは、プロセスを扱います。
これは、自分が良く知らない業務の管理職になった時など
幅広く応用できる技術です。