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2022.2.27 カニかまとパプリカとしょうがのスープ、目をつぶって違う世界を探している

カニかまとパプリカ、しょうがのスープ。冷蔵庫にあった赤い食材の組み合わせで、ビジュアルかわいい一皿です。鶏がらスープでカニかまとパプリカ、針しょうがを煮ました。ソフトなカニかまとシャキシャキした甘いパプリカの相性もよいし、しょうがの香りがアクセントになっておいしいです。

夜遅くに歩いていてふと上を見上げたら、こんな美しい風景があって、思わず携帯で撮影しました。

この景色を見たのは、ほぼ毎日歩いている道です。この地に住むようになって30年近く、この風景はずっと私の近くにありました。それなのに今まで見られなかった。なぜだろうと思いました。

買い物に出かけるときは重い食材を両手に持っていることも多く、重力にひっぱられ、うつむいて歩いています。駅に向かってせかせか歩いているときは、心がはやってまっすぐ前を向いています。あるいは携帯で電車の時間を調べていることも。かといって夜道を一人で歩くときは周囲からふらふら見えないよう、上より自分の背後に意識を集中しながら歩いています。
いつもと全く違う景色はいつもそこにあったのに、そしていつもと違う風景を探し求めていたのに、自分が目をつぶっていただけなのでした。

日々の生活や仕事のことばかりに気持ちが行き過ぎると、こういう瞬間を見逃します。裏を返すと、お金や時間をかけて旅に出なくても、私たちはあたらしい景色を見られる。たとえばいつも歩く道で天を仰いでみたとき、振り返ったとき、しゃがんだり走ったりしたとき。バス停のベンチに座ってみたことはあるでしょうか。落ち着きのない子供のようですね。子供はものをよく見ています。

そういえば料理のとき、私は伝えていました。ありふれた味噌汁が、具材の切り方で、煮る時間で、味噌の種類で、ちょっとしただしの濃さで全く違うものになりますよって。
風景と同じです。日々の食事作りに飽きている人は、手を抜いているわけではない、その逆です。作ることに意識が行き過ぎて目の前のことから目をつぶってしまっているのです。
子どもが遊ぶぐらいの感覚で、小さな日々を楽しんだほうがいいんだなと思いました。

夜は、花も違って見えます。

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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。