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2022.3.24 大人の卒業はふんわりと

10年間と3カ月ばかり続けてきた毎朝のスープ作りを卒業しようかと思っています。卒業というほど、きっぱりしたものでもないかな。毎日のようにSNSにはアップしないということだけで、もちろんスープは作り続けますし、作家活動を止めるというわけでもなく。毎日の投稿をかちっとした決まりごとにするのをやめる、というだけです。

私が2011年からSNSでアップし続けてきたスープは、もともと受験生の息子のために作っていたものです。それが趣味になり、スープ作家の仕事になりました。
この10年で息子は独り立ちし、私はスープ作家として仕事が忙しくなり、2年前からは夫もリモートワークへと移行。家族の生活のスタイルが大きく変わる中で、私は変わらずにスープを作り続けてきました。

ひとつは仕事のためでもありました。ありあわせのものしかない短い朝時間に作るという縛りによって、思いがけない発想が生まれます。なにより生活の中で作るスープには撮影のために作る料理にはないリアリティがあります。

でもそれ以上に、私は面白かったのです。スープを作るのも写真を撮るのも、SNSで多くの人とスープで交流するのも楽しかった。

今朝は豆腐とわかめの味噌汁です。だしは昆布とかつお、味噌は赤味噌のブレンド。柔らかい絹豆腐にすっと包丁を入れます。どのお椀にしようか迷い、汁をたっぷりとすくってよそい、顔を出した豆腐の上にさらしねぎをそっと乗せる。
写真を撮る間も、お椀の中はどんどん表情を変えていきます。湯気がぽわんと可愛らしく上がる瞬間は、写そうと思ってとらえられるものではありません。撮影した写真を画面で確認すると、豆腐やねぎの切り口に朝の光がやさしくたまっている。その様子に癒されます。

10年間、一日として同じ日はありませんでした。

日常の中にある美しさ、心躍るさまざまなことを私はスープから教わりました。私がもらったものを多くの人と共有したい気持ちは同じです。その一方で、自分の技術や知識の浅さを思うと先はまだ長い。修行は続きます。

このひと月とちょっと、noteに日記のようなことを綴りながら、どうしようかと迷っていました。でも、今日起きてみたらすっきり心が決まっていました。これからは朝のスープにとらわれず、食の見聞を広げながら新しいスープ、あるいは面白いと自分が感じる発信をしていきたいです。

noteでは別にドラマチックな変化はないのですが、続けてきたスープ・カレンダーは最後にします。レシピなどを少し積極的に発信していきますね。
おいしいスープも研究したいので、この汁はぜひ食べて!というものがあれば教えてください。

これからも、よろしくお願いいたします。

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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。