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2022.3.10 鯵の骨汁、残りものではなく残しもの

スーパーでアジが安かったのでお刺身にして食べ、残った頭と骨でだしをとり、味噌をときます。頭と骨は塩をして少し置いてから熱湯をかけると生臭みも消えて、おいしいあら汁に。今日は新たまねぎと、えのきも少し足しました。盛り付けも見栄えを気にしない、ざっかけない感じが似合います。

残りもの、という言葉が好きではありません。
毎日ごはん作りをしている人たちにとって、冷蔵庫に〇〇が残っているから使ってしまわなきゃ、賞味期限近づいてきたからどうしよう、というのは本当に大きな悩みです。実際に私自身も日々の中で残り物と闘う、みたいな気持ちになることはよくあります。

でも、ときどき残った白菜の芯のところを刻んでいるときに、思うのです。この白菜の一枚外側にあった葉は買ってきた日に鍋に使われて、おいしいね、と喜ばれた。その内側にあったこの葉っぱは冷蔵庫に放置され、少し端っこが黒ずんできたりしてしまった。残り物どうしよう、味噌汁にでも入れちゃえみたいな雑な扱いをされている。もとは同じ株から生まれた白菜なのに…。
幼いときに生き別れた双子が、片方は裕福な家の子供として育てられたのに、もうひとりはひどい境遇で育つといった、お昼のドラマみたいな運命を感じてしまうのです。

あまり感情移入するのはこのぐらいにして、現実的にこれを解決する方法を考えます。ひとつのやり方として、買ってきたときにざっくり役(料理)を割り振っておくと、いいのかなと思うことがあります。

白菜なら外の数枚は鍋にするとしたら、そのあとどうするかイメージしておくということです。白菜の内側ってやわらかいんですね。小さい葉があるから鍋や炒め物には使いにくいですが、縦に細く切って生のままサラダもいいし、ハムと一緒に煮て中華の鶏ガラスープで煮てミルク入れたスープにしたりしたらおいしいです。こういうのはむしろ芯のところが合う料理です。

魚の身は刺身で食べて、骨はスープに。鶏の皮をはがして肉を使って、鶏皮はもやし炒めに刻んで入れて。この時期に出回るうどなんて、むしろ中身よりも皮が好きなぐらい。炒めたらおいしいです。

ちょっと上級者編ですが、具沢山の豚汁もこの方法でいけます。一度に具材をそろえるのが大変だから、ごぼうのきんぴら、にんじんサラダ、里芋は煮っころがし、豚肉は野菜炒め、他の料理をするときに食材を少しずつとりわけて残しておく。すると、数日後に具沢山の豚汁が無理なく作れます。

残り物には福がある、なんていいますが、こういうのは残りものというよりはむしろ「残しもの」といえて、それを楽しみにするようなところがあります。残り物をどうしよう、となるよりも、残しておいたあれでこうしよう、と考える方がワクワクしませんか。

そうはいっても、現代の少人数家庭で残り物をゼロにするというのは、非常に難しい部分もあります。だからあまりとげとげした気もちにならないでください。やらなきゃ!と眉間にしわ寄せるより、パズルをやるぐらいの感覚で楽しむほうがいいです。

みんなで知恵を寄せて、幸せになる道を考えましょう。



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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。