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2022.2.26 しいたけと青ねぎのスープ、ロルフィングと私のからだ

買ってきたしいたけがコロンと丸くて可愛かったので、四つ割りにしてから、白だしを薄めに割っただしで、ゆっくり煮込みました。あとは塩で味を整えて青ねぎを多めに刻んで入れるだけ。しいたけのうまみが出た、おいしい和風のスープです。歯ごたえもしっかりあって食べごたえあり。

予約をしていたレストランから電話がかかってきまして、シェフが濃厚接触者になってしまいお店が空けられませんということでした。こればかりは仕方ないですよね。お気の毒です。
シェフや料理家にとって一番大切なもの、それは体。誰かの口に入れるものを作る責任があるから病気はいけません。
また、料理は肉体労働です。重い鍋を持ったり食材を運んだり。長時間立ちっぱなしなので、疲れやすい人や体の弱い人は向かないと思います。

私は高校生の頃からかなり年季の入った腰痛持ちでした。もともと骨に若干弱いところがあり、接骨院、理学療法、鍼治療、カイロプラクティック、オステオパシー…と、いくつもの治療を試してきましたが、なかなか完治しませんでした。

そんな私が10年以上前「ロルフィング」という施術方法に出会って、腰痛がぴたりとおさまったのです。それまでは腰をかばう気持ちが強かったのですが、からだ全体が軽くなって何もかも前向きに活動できるようになりました。(なんだか怪しい勧誘みたいですね。一度お話するだけですので安心してください)

ロルフィングは整体の一種です。骨と筋肉をつなぐ筋膜に働きかけて、全身の組織を調整し、バランスの取れた体に変えていく手技です。ごくソフトな整体で、ゆっくりストレッチしてもらう感じ。バキバキ!と動かしたりすることはありません。きわめて合理的な体の仕組みをもとに考えられています。

ロルフィングのことは、雑誌の仕事で一度だけ取材させていただいた、能楽師・安田登さんの著書で知りました。

安田さんによると、ロルフィングはアスリートやダンサーなど、体のパフォーマンスを上げたい人たちが受けている施術で、痛みなども軽減するというようなことが書かれていました。安田さんも能楽師として体の使い方を意識されているため、興味を持たれたのだと思います。

ただ、当時はほとんど知られていない存在で、施術を受けられるところも限られていました。私も初めての体験だったので安田さんが書籍で紹介されていた中村直美さんというロルファー(ロルフィングをやる人をロルファーといいます)に連絡しました。
このサイト内にはリンボウ先生こと作家の林望さんが文章を寄せています。興味のある方はぜひ読んでみてください。どんなものかが伝わると思います。

整骨院やマッサージ、カイロプラクティックなどの治療院では、1回4000円とか5000円で治るまで通う、というのが普通です。ロルフィングの場合、10回がワンパッケージで、そこで終了。面白いのは施術が終わったあとに体がどんどん改善していく、ということなのです。体のバランスが整うと、その体で動くこと自体が治療になるというようなイメージ。私は整体と同時に歩き方も教わりました。この歩き方を覚えるだけでもずいぶん違うのです。

最初は足、次は背中、それから骨盤底、というように体の部分を少しずつ調整していきます。顔、頭蓋骨まで、順番に全身やるんです。4回目ぐらいで、ベッドから降りたときに体がスッと軽くなったのを実感しました。そして興味深い体験なのですが、その日の夜にお風呂に入っていたら、別に悲しくないのに涙がボロボロあふれ出てきて驚きました。これ、直接の関連があったかどうかはわかりません。でも何か自分の中で明らかに変わったんだと思いました。こんな不思議な体験は後にも先にもこのときだけです。

今は、体がこわばっているなと思うと、ちょっと歩いたりストレッチで体をゆるめます。年齢とともにあちこちにまた痛みが出るようなことも出てきましたが、そんなときにはピンポイントで施術してもらえば、スッと楽になります。体が気持ちよく整うのです。

ロルフィングはそもそも何かの治療法ではありませんし、個人差もあると思います。私がおすすめするのは、自分の体に自覚的な人、本気で体のことを考えたい人です。自分の体を意識できるようになります。少し高いと感じるかもしれませんが、10回で終わりなのでむしろ安心です。

がっつり整体の話をしてしまいました。料理は非常にフィジカルなもので、体とひとつながりになっているようなところがあります。気持ちよく動くために、筋力をつけるだけでなく、自分のからだをやわらかくしなやかに、楽にしておくように、気をつけています。最近はちょっと運動不足なんですけどね。

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有賀 薫
読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。