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カロリー不問!バター味比べ 2016.9.14 スープラボ・レポート(リスト編)

バターがないなら牛を飼えばいいのにと、誰が言ったとか言わないとか。まだ慢性的な品薄ではあるものの、スーパーへ行くと「お一人様1個まで」と厳しく購入を制限されていた状態もやや落ち着いてきた感があります。そこで満を持して行われた、バターの食べ比べ。

この記事では、今回味見したバターを3つに分類し、簡単なコメントをつけたリストを作りました。比較的手に入りやすいバター中心ですので、よかったら購入の参考にしてみてください。

1.スーパーで気軽に!大手企業のスタンダード・バター

まずは、300円/100g以下の国産バター。量販店やスーパーで手に入るものを集めました。全て有塩。(無塩がある製品もあります)万人向けにバランスよく作られており、また料理にも使いやすいクセのないタイプです。

よつ葉バター 150g 344円(229円/100g)
なめらかで口どけがよく、食べ心地が良い。このクラスのバターとしてはかなりミルキーでコクがあるが、それでいて、くどすぎない上品な味わい。

明治北海道バター 200g 398円(199円/200g)
バターの風味は十分ながら、すっきりキレがよいバランスタイプ。トーストに。ニュートラルで他の味を邪魔せず、料理に使うにも良さそう。

雪印北海道バター 200g 395円(197円/100g)
上2つに比べるとかなりあっさりしていて、乳製品独特のミルクっぽさが控えめ。そのためか塩味が濃く感じる。(実際に入っている塩分量は他のブランドに比べると少ない)

セブンプレミアム北海道バター 150g 318円(212円/100g)
セブンイレブンのPBだが、高級志向か値段も高め。製造はよつ葉乳業。よつ葉のバターよりもうまみは淡いが、舌の上で少し留まり、その分味わいを感じられる。

西友 みなさまのお墨付き北海道バター 200g 338円(169円/200g)
西友のPB。舌の上に長く残る感じがあり、バターの風味は薄い。塩分も低く感じられるが、実際にはこの中では多め。製造は森永乳業。

2.個性もさまざま、国産高級バター

つぎは、100gあたり300円以上の国産高級バター。通常のバターと、発酵バターがあります。有塩、無塩も混ざっています。それぞれに個性が強いので、好みが分かれそうです。

トラピストバター(有塩)200g 1,279円(639円/100g)
明治29年に創立されたトラピスト修道院の製酪工場で作られる発酵バター。コクやうまみは強いが、発酵バターとしては極めてすっきりした仕上がりで後味がよい。パンに塗っても料理に使っても。昔の洋菓子的な風味。

町村牧場新鮮純良バター(有塩) 200g 1,250円(625円/100g)
北海道石狩平野にある農場で育てた牛の乳をそのままバターに。いわゆるバターらしさのある濃い香りと味で、塩味もしっかり感じる。なめらかさはあまりない。ちなみに読み方は「ちょうそんバター」ではなく「まちむらバター」。

●カルピス特選バター(有塩) 450g 1,533円(340円/100g)
カルピスを作るときにできるクリームから作られるバター。色白で口どけがよく、後味もすっきり。最初のインパクトは弱いが、舌の上で溶けるうちにミルクの香りや甘さが立ってくる。

●酪農家限定バター(有塩) 120g 452円(376円/100g)
群馬のノンホモジナイズ牛乳で有名なタカハシ乳業のミルクを使ったバター。色が白く、クリームそのままというイメージ。なめらかさはあまりないが、口どけは悪くない。牛乳の風味が後味として残る。素朴な手作り感あるバター。

●よつ葉 北海道発酵バター(有塩) 125g 650円(520円/100g)
よつ葉乳業の、北海道限定の発酵バター。伝統的なチャーン製法で作られている。発酵バター特有のヨーグルトのような酸味と香り。濃いうまみがある。口あたりは軽く、なめらか。

●木次バター(無塩)150g 700円(466円/100g)
島根県雲南市で約50年の伝統を持つ木次(きすき)乳業。非遺伝子組換えの配合飼料、野草の混ざった牧草を飼料とした牛の乳で作るバター。バターなのにまるで水のようなクリアな味わいで、無塩であることを差し引いても今回比べた中ではもっとも味が淡い。素材の味わいを生かすバター。

3.フランスのバターは、リッチでミルキー

最後は、フランスのバターをいくつか集めました。フランスには原産地呼称制度(A.O.Cから現在はEU共通のA.O.Pとなっている)があり、味や品質が保証されています。バターでは、ノルマンディー地方のイズニーと、南西部のシャラント・ポワトゥー地区、ブレス州がバターのAOPに当たります。値段は高めですが、都内のスーパーやデパートで比較的手に入りやすいものからご紹介します。

ヨーロッパでは、バターといえば、クリームをそのまま使うのではなく乳酸菌で発酵させた「発酵バター」が主流。今回集めたのはすべて発酵バターです。

●ボルディエ(有塩)125g 1,550円(1,240円/125g)
フランス・ブルターニュにあるボルディエ社のバターは、フレンチの三ツ星レストランが愛用する高級バターとして知られる。木製攪拌器による昔ながらの製法。感じる個性はミネラル分の多さか。強い乳の味とともに、海のような香りもする。テクスチュアが独特でチーズに近い感じのバター。塩味しっかり。


●エシレ(有塩) 100g 1,144円
フランス中部ポワトゥ・シャラント区域のエシレ村で1894年以来、伝統製法の木製樽・チャーンで作られている、日本で最も有名なフランスバター。「発酵バターらしさ」が最もはっきりとわかる、香りと味わいの強いバター。ヨーグルトのような酸味も。塩はその味わいとバランスをとるような強さ。AOP特定品。

●グランフェルマージュ バイオグラスフェッドバター(有塩) 250g 2,700円(1,080円/100g)
ポワトゥ・シャラント地区のユーリアル社製バター。有機農法の牧草で育てた牛の乳で作るAOP発酵バター。今回選んだフランスバターの中では最もおだやかだが、うまみは濃く生クリームを連想させる。鼻に抜けるかすかな香りも。やわらかくなめらかな口当りで、塩も淡い。


●グランフェルマージュ セル・ドゥ・メール(有塩) 125g 1,026円(820円/100g)
グランフェルマージュの発酵バターで、中にフルール・ド・セルと呼ばれる塩田からとれる一番塩を使ったAOPバター。フランスのバターコンテストで金賞を受賞した商品。粗塩が溶け切っておらず目でも見え、舌に乗せると塩の粒が感じられる。バターとしては非常に華やかな香りと風味。

●イズニー(有塩) 250g 1,500円(600円/100g)
バターのもう一つのAOPである、ノルマンディー地方のイズニー社製バター。色は黄色くうまみも強いが、口どけがよいため引きはよく、いつまでも口に残らず後味がよい。ほのかにナッツ?のような香り。

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さて、どれが一番おいしいの?とみなさん聞きたくなると思いますが、個性が全く違うため、これが一番!とは言えません。あっさり、すっきりしたバターが好きな人、乳製品らしいコクのあるバターが好きな人、発酵バターの香りが好きな人で美味しさはそれぞれ、おすすめするバターも違います。

一番おいしい、とは少し違いますが、こんなときはこのバターというのを独断と偏見で私が選んでみますね。

毎朝のトーストに塗るなら…「よつ葉バター」
あまり後味を引かず、それでいてバターの魅力も持ち合わせたトースト向きのバター。毎朝使うことを考えるとこのぐらいの値段に抑えたい。

夜、バゲットにのせてワインと合わせるなら…「ボルディエ」
チーズのような味わいで、存在感が強い。パンに塗るというよりたっぷりのせて食べるバター。個性も強くて印象的。

料理に使うなら…「木次バター」
どのような料理に使うかにもよるが、日本人に合うのはこれ。素材の味を邪魔せずに深めるバター。

発酵バターを一度味わってみたい、という方は、少し高いですがフランスの「イズニー」か「グランフェルマージュ」あたりを味わってみると、どういうものかが理解できそうです。逆に「トラピスト」はじめ日本の発酵バターはすっきり仕上げてあるものが多く、発酵バターの特長がわかりにくいかも。その中で「よつ葉 北海道発酵バター」は発酵バターの特長がよく出ていると思います。
ちなみによつ葉の発酵バターで業務用のものがあります(450g 879円)。こちらはずっとあっさりしていて、発酵バター感は薄いです。

バゲットにたっぷりのせながらバターを直に味見してみた後で、料理にも使ってみました。想像以上に楽しい個性の差が出ました。

この続きは、レポート続編へ!といってもまだ、実験も終わっていないんですが…気長にお待ちください。

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2016.9.14 プレ・スープ・ラボ『バター食べ比べ』




読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。